『売れるもマーケ当たるもマーケ』(アル・ライズ、ジャック・トラウト)(◯)<2回目>
著者の書籍は好きでほとんど読んでいますが、その中でも好きな1冊です。マーケティング22の法則として、マーケティング実務で重要な観点が端的にまとめられていて、理解しやすい内容です。一消費者として普段購入している商品をイメージしながら読んでも「確かに、そうそう!」と共感できるのではないかと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯22の法則
①一番手の法則
・一番手になることは、ベターであることに優る
(マーケティングの基本的な課題は、あなたが先頭を切れる分野を創造すること)
②カテゴリーの法則
・あるカテゴリーで一番手になれない場合は、一番手になれる新しいカテゴリーを作れ
(新製品開発で真っ先に問題にすべきは、「この商品は競合商品よりどこが優れているか」ではなくて、「どこが新しいか」ということ)
③心の法則
・市場に最初に参入するより、顧客の心の中に最初に入るほうがベターである
(最初に顧客の心に入り込むことのほうが、最初に入り込んだ商品より自分の商品がベターであると人に納得させることよりもはるかに容易)
④知覚の法則
・マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである
(ベストな商品などありっこない。知覚こそ現実。他の者はすべて幻)
⑤集中の法則
・マーケティングにおける最も強力なコンセプトは、見込客の心の中にただ一つの言葉
を植え付けることである
⑥独占の法則
・2つの会社が顧客の中に同じ言葉を植え付けることはできない
(いったん固まった大衆の心を変えることなどできはしない)
⑦梯子の法則
・採用すべき戦略は、あなたが梯子のどの位置にいるかによって決まる
(顧客の心の中には、購買決定をするにあたって用いる序列尺度が存在する)
⑧二極分化の法則
・長期的に見れば、あらゆる市場は二頭の馬の競争になる
⑨対立の法則
・ナンバー2の座を狙っているときの戦略は、ナンバー1のあり方によって決まる
(ナンバーワンの対極に位置することによって、ナンバーワン以外のすべての企業からビジネス機会を奪う)
⑩分割の法則
・時の経過とともに、一つのカテゴリーは分割し、二つ以上のカテゴリーに分かれていく
(カテゴリーは分割されこそすれ、結合することはない)
⑪遠近関係の法則
・マーケティングの効果は、長い時間を経てから現われる
⑫製品ライン拡張の法則
・ブランドの権威を拡げたいという抗しがたい圧力が存在する
(製品ライン拡張病の解毒剤はただ一つ、このところ品薄気味の、企業の勇気である)
⑬犠牲の法則
・何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない
(犠牲にできるのは、製品ライン、ターゲット、絶えざる変更)
⑭属性の法則
・あらゆる属性には、それとは正反対の優れた属性があるものだ
(あなたの競合会社が顧客の心に植え付けている言葉やポジショニングと同じものを、あなたが植え付けることはできない)
⑮正直の法則
・あなたが自分のネガティブな面を認めたら、顧客はあなたにポジティブな評価を与えてくれるだろう
(まずネガティブ面を認める。ポジティブな発言は、せいぜい疑って見られるのが落ち)
⑯一撃の法則
・各々の状況においては、ただ一つの動きが重大な結果を生むものである
(マーケティングにおいて実効を上げうる唯一の行動は、一回きりの、大胆な一撃)
⑰予測不能の法則
・自分で競合相手のプランを作成したのでない限り、あなたが将来を予測することはできない
(将来を予測することはできないが、トレンドを読むことならできる。これこそが変化を利用する方法)
⑱成功の法則
・成功はしばしば傲慢につながり、傲慢は失敗につながる
(エゴ、つまりうぬぼれはマーケティングを成功させる敵。求められるのは客観性)
⑲失敗の法則
・失敗は予期することもできるし、また受け入れることもできる
(たいていの会社は物事を見限るよりも、何とか取り繕ってみようとする。上手なやり方は早いうちに失敗を認め、損害を食い止めること)
⑳パブリシティの法則
・実態は、マスコミに現われる姿とは逆である場合が多い
(万事が順調であるとき、会社はパブリシティを必要としない。パブリシティを必要とするのは、たいてい困った時)
㉑成長促進の法則
・成功するマーケティング計画は、一時的流行現象(ファッド)のうえに築かれるものではなく、トレンドの上に築かれるものだ
(マーケティングにおいて利用するべきベストにして、最高に利益をもたらしてくれるものは、長期に渡るトレンド)
㉒財源の法則
・しかるべき資金がなければ、せっかくのアイデアも宝の持ち腐れとなる
(まずアイデアを掴むこと。次にアイデアを活かすための資金を調達すること)
久しぶりに読み返してもやはり良い本だなぁと思います。著者の書籍は日本語訳も多数発売されていますが、最初に一冊読むなら本書が良いと思います。1994年の作品ですが、それを感じないのは、本質的な内容だからだと思います。