『世界のDXはどこまで進んでいるか』(雨宮寛二)
ITやデジタル化に変わり、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を目にする機会が増えてきましたが、そもそも何なのか、どんないいことがあるのか、ビジネスや生活にどんな影響があるのか?整理して理解できているわけではなく、なんとなく知っていて、デジタル化の新鞄的な感覚で捉えている方も多いのではないでしょうか。本書は、DXを理解する基礎編、DXを生かす戦略編、そしてDXを活用する企業事例という3段構成になった一冊です。「DXの概要を把握したい」という方に向けた基礎的な一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯デジタル化の3つのフェーズ
①単純にアナログをデジタルに置き換えること(デジタル化1.0)。いわゆる「ツールのデジタル化」
②特定の業務プロセスをデジタル化すること(デジタル化2.0)。いわゆる「プロセスのデジタル化」
③個別の業務プロセスに留まらず企業組織全体をデジタル化する。もしくは産業や業界の仕組みを再構築すること(デジタル化3.0)。いわゆる「ビジネスのデジタル化」
◯4つの戦略的アプローチ
①「エクスペリエンス戦略」。カスタマーエクスペリエンスの視座に立った戦略的アプローチとして、顧客体験を最適化することが目的。顧客が製品やサービスを購入するために必要なプロセスを単純化することや顧客のニーズに合わせて個別化されたサービスを提供することも含まれる。
②「データドリブン戦略」。データドリブンとは、データとロジックに基づく意思決定を指す。必要となるデータを収集してアルゴリズムなど、判断するための最適ロジックを用いてデータ主導型で意思決定行うこと。
③「ヒューマンスキル戦略」。スキルに焦点を合わせた戦略的アプローチとして、DXを推進するために必要となる社員のスキルや能力の最適化を図ることが目的。
④「アジャイル戦略」。アジャイルな開発手法を基本とする戦略的アプローチとして、社会やビジネス環境の変化に対応するために、迅速かつ柔軟な開発を行えるよう組織の最適化を図ることが目的。
◯本書で紹介されている企業事例
①テスラ:自動運転を見据えたDX
②ウーバー:「スケーラブルなAIシステム」の構築
③ウォルマート:「インテリジェント・リテール」の確立
④アリババ:「新小売」から「新産業」へのデジタルシフト
⑤ネットフリックス:三度のDXでスケールアウト
世の中が恐ろしいほどのスピードで変化し、便利になり効率化されたことによって生み出された時間は、また次の効率化のために投入される。この流れが続いているので、「昔よりも変化のスピードが速い」と感じることになります。その時間を動かしていると言っても良い、自動化、IT化、デジタル化、そしてDX。世の中を理解しておくことは、次のアクションを考える際にも必要な知識なのだと思います。サッと読んで感覚を掴むだけでも十分で、まったく知らないのとは大きな違いが生じるように思います。