MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

AGELESS〜「老いない」世界の最前線〜(アンドリュー・スティール)

『AGELESS〜「老いない」世界の最前線〜』(アンドリュー・スティール)

 老いは治療できる障害。老化治療は①悪いものの除去、②失われたものの再生、③壊れたものの修復、④リプログラミングによる若返りの4つ。などなど、本書は、「老化」をテーマとして14カ国で刊行された医学会絶賛の一冊。技術的に理解の難しいところも多々ありますが、なんとなくこんな感じなんだという枠組みや現在研究されている老化を越えるための取り組みに接することができる内容となっています。「へ〜」「ほ〜」と驚かされる内容もあれば、日常取り組めることというのは、意外とよく言われていることに集約されるのだなと感じるところもあります。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯25000年前の寿命

・寿命は短く、おそらく30〜35歳。5人産んだ子供のうち、二人が死んでしまう。おそらく15歳まで生きられるのは全体の60%。10代後半まで生きられれば、その後35〜40年は生きて50代に入る公算が大きい。

 

◯有史時代

・最も古い記録があるのは、イギリスとスウェーデンで、どちらも平均寿命は19世紀初期で40歳前後となった。

1840年代以降、世界の最大平均寿命が正確に毎年3カ月ずつ伸びている。1年生きるたびに死亡予定日が数ヶ月先延ばしになる。1日生きるたびに追加で6時間生きることができる。人生は1800年代初期に比べて2倍の長さになった。

1800年なら統計的には40歳で死んでいるが、今はもう1回同じ長さの人生を生きることができる。現在の20歳のお祖母さんが生きている可能性は、1800年の20歳の人のお母さんが生きている可能性より高い。

・2019年に平均寿命が世界一長いのは日本で、84.5歳だった。すぐ後に多くの国が続いており、世界のトップ30はすべて平均寿命が80歳を超えている。

 

健康寿命の延び

・イギリスの1991〜2011年の変化を調べた研究では、65歳の人の平均余命は約4年延び、認知機能障害なしで生きた年数も増えていた。

・1982年〜2005年のアメリカの85歳を超える層では、障害者に分類される人が3分の1減った。同じ期間で施設に入れられた人も27%から16%と半分近く減った。

・このデータの中で唯一暗い部分は、重度の障害が減っている一方で、軽度の障害が増えているように見えること。

・今は平均寿命が65歳を超える国に世界人口の90%が住んでいる。60歳を超える国で見れば99%が住んでいる。

 

◯老化を治療する

・老化細胞除去薬(セノリティクス)の誕生

・「ゴミ捨て機能」オートファジーを向上させる

・ラパマイシンは単なる抗真菌薬にとどまらず、強力な免疫抑制剤であり、しかも細胞の増殖を抑える。ラパマイシンは、カンジダ症を引き起こす「カンジダ菌」の隣に置くと、凄まじい殺傷能力を発揮した化学物質。

コレステロールを噛み砕く酵素

などなど、老化治療の最先端が解説されています(難しい・・)

 

◯新きを得る

・悪者を追い払うだけでなく、より良い何かと取り替えることが必要。

・補充療法を4つに分けて説明されています(これもまた難し・・)

①幹細胞治療

②免疫システム

③胃腸や皮膚やそこらじゅうにいる細胞、ウィルス、真菌による壮大な生態系

④細胞の外側にいて、加齢による化学的ダメージに苦しんでいる長寿の足場タンパク質。

 

◯今すぐすべき、寿命を延ばす方法(ここは非常に身近なテーマ)

①タバコを吸わない

②食べすぎない

③少し体を動かす

④夜は7〜8時間の睡眠をとる

⑤予防接種を受け、手を洗う

⑥歯を大切にする

⑦日焼け止めを塗る

⑧心拍数と血圧を観察する

サプリメントに煩わされない

⑩長寿薬に煩わされない

⑪女性に生まれる(染色体的に女性の方が長生きする)

→これは生まれつきなので、どうしようもないが・・

 

 100年人生と言われるようになり、長生きの次は、健康寿命を延ばしたい、いつまでも若々しくいたいといった願いが生まれてくるもの。日々の食事や運動、仕事や趣味などの生きがいといったことを通じて、今を楽しみ未来を楽しむ素地を作っていく。そして、技術の進化という恩恵も受けながら長く人生を楽しんでいければ良いなぁと思います。