『エイトマインドフル・ステップス』(バンテ•H•グラナタナ)
マインドフルネス(気づき)はブッダの教えの一つ。帯に、スリランカ初期仏教のアルボムッレ•スマナサーラ長老が「ブッダの教えを正しく理解したい。実践して心の安楽機を体験したい。実践中に起こるさまざまな問題を解決したい。このような希望がある方々に最適」とコメントを寄せている本書。「幸せになるための完全な実践法」が8つのステップ(八正道)に分けてまとめられています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯究極の幸せに達する道
・「新しい習慣を取り入れ、新たな見方でものごとを見、みずからの生き方を改善しよう」という強い意欲を持つこと。
・気づきは、ものごとをあるがままに見られるように心をトレーニングすること。
◯苦しみの罠
・「世俗の幸せを絶えず追い求めれば、原因と結果、そして欲と怒りの終わりなき回転の罠にとらわれる」
・苦しみがどのように回転するかについてブッダが説いたこと
「感覚によって、欲(渇愛)が生まれる。
欲(渇愛)によって、求める。
求めることによって、(ものを)獲得する。
獲得することによって、(価値を)判断する。
判断することによって、熱望と貪りが起こる。
熱望と貪りによって、執着する。
執着によって、所有欲が起こる。
所有欲によって、ものおしみが起こる。
ものおしみによって、(所有したものを)守る。
(所有したものを)守るがために、闘争、喧嘩、非難、嘘など、
あらゆる悪しき不善な諸現象が起こる。
(長部経典十五)
◯正しい見方(正見)
・「原因と結果」を理解する
・「四つの聖なる真理」(四聖諦)を理解する
①第一の真理:苦
②第二の真理:苦の原因
③第三の真理:苦の滅
④第四の真理:苦を滅する道
◯正しい思考(正思惟)
・欲から離れる(手放す、施す)
・慈しみ
・あわれみ
◯正しい言葉(正語)
・真実を話す
・言葉は武器ではない
・やさしい言葉
・無駄なおしゃべりをしない
◯正しい行動(正業)
・五つの戒律(五戒)
①殺さない
②盗まない
③淫らな行為をしない
④嘘をつかない
⑤放逸の原因となり、酔わせる酒や麻薬類を使用しない
・行動をするときの道徳
◯正しい生計(正命)
・正しい生計かどうか判断する
①仕事は本質的に悪い仕事ではないか
②仕事をすることで五つの戒律を破っていないか
③仕事には心を妨げ、落ち着かせないようにしている要素がないか
◯正しい精進(正精進)
・十種類の束縛
①我があるという見解
②疑い
③儀式儀礼への執着
④感覚器官の対象への欲
⑤怒り
⑥⑦存在への微細な欲(色貪・無色貪)
⑧自分がいるという潜在意識
⑨うわつき
⑩真理を知らないこと
◯正しい気づき(正念)
・四つの気づきの対象
①身体の気づき
②感覚の気づき
③心の気づき
④法(心の対象)の気づき
◯正しい集中(正定)
・善い集中
・禅定のステージ(第一の禅定〜第四の禅定)
八正道の教えは修行のようなイメージがありますが、これをマインドフルネスと繋げて一般の人にわかりやすいように取り上げているところが本書の特徴のように思います。心を集中させ、1分間のマインドフルネスを実践する。1時間毎に15回呼吸をする(これで1分間)、1分経ったら「次の1時間後にまた1分間15回呼吸をすること」を決意する。これで1日15分ほど瞑想したことになる。その積み重ねが夜寝る前にしばらく瞑想しようという気持ちにもつながる。八正道の教えを理解し、日々の生活の中で気づき(マインドフルネス)をを得ていくことで生活を改善していく。この積み重ねによって、幸福感を感じる世界があるのだろうと思います。