『腸活酵素断食』(白石光彦)
生活習慣病や慢性の疾患に、薬による治療や手術等を主とした西洋医学だけで対処しようとするのは、非常に難しいもの。近年、西洋医学的な視点でも、腸の働きや、腸内フローラと人間の健康との因果関係を調べる研究などが驚くほど進み、腸の重要性が次々と明らかになっているようです。
本書は、薬剤師であり、大阪にある光る堂薬店の代表が書かれた酵素断食に関する一冊。著者は、漢方、健康食品、食事療法、断食法などに造詣が深い方で、読むとすぐに試してみたくなります。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯酵素断食
・断食をして、食事の代わりに酵素を含むドリンクを飲むこと。
・断食だけでも、酵素だけでも、十分な効果は得られない。
・現代人の多くが抱えている肥満や、がん、心臓病、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの健康問題の最も大きな要因が「食べ過ぎ」にある。
・多くの人の場合、「健康のためには、1日3食を食べなくてはならない」という固定概念を捨てて、腹八分目、七分目程度まで減らす必要がある。
◯断食を行うと・・
・食べ物かなのであるの余分な糖や脂質の摂取が抑えられて、血液中にだぶついている血糖や中性脂肪、コレステロールなどを減らすことができる。すると、体についた余分な脂肪がエネルギーとして利用されやすくなり、どんどん消費されて行くし、腸内での悪玉菌の増殖も抑えられる。
・胃腸や肝臓、腎臓をはじめとする内蔵の働きがよくなり、知らないうちに体に溜め込んでしまった老廃物や食品添加物、洗い流しきれなかった農薬などの有害物質のデトックス(排毒)を促すことができる。
・普段は食べ物の消化や吸収をするために休まず働き続けている胃腸や、アルコールや食品添加物の分解に必死で機能している肝臓などに休息を与えて、排泄と解毒に専念させる。
◯オートファジー
・断食と健康につながりに密接に関わる細胞のメカニズムについての研究がノーベル医学・生理学賞を受賞した(2016年)。
・オートファジーとは、細胞がその一部を自ら分解してリサイクルし、新鮮な状態に生まれ変わらせるという、人の生命の営みに欠かせない機能のこと。
・オートファジーの3つの役割
①タンパク質を生み出すこと
②細胞自身を生まれ変わらせること
③細胞内に侵入した最近ウィルスに対抗すること
・私たちの細胞は日々、体を保つのに必要な2万種類以上のタンパク質を作り出している。通常1日に必要なタンパク質、約200gのうち、約70gは食べ物からとったタンパク質をアミノ酸に分解して材料にしているが、残りの約130gは細胞内のタンパク質を用いて、つまり「オートファジー=自分を食べて」によって、生み出している。
・寿命の長い神経細胞や、心臓の心筋細胞、肝臓などの細胞にとって、オートファジーによる浄化作用はとても大切。
・断食をして空腹を感じると、細胞は「タンパク質が必要な状態だ」と判断して、オートファジーを働かせる。1〜2日程度の飢餓状態が、オートファジーを活性化させる最も有効な方法と言われている。
・必要最低限の栄養をとりながら行う酵素断食をすると、オートファジーが非常に望ましい状態で機能するきっかけになり、病気や体調不良の改善に通じる一助になる。
◯サーチュイン遺伝子(若返りの遺伝子)
・サーチュイン遺伝子がオンになると、その他の遺伝子の修復作用を高めて傷つくのを防いだり、老化や動脈硬化の元となる体内の参加(サビ)を引き起こす活性酸素を減らしたり、同じく動脈硬化や血栓の元となるアテローム(血管内にできるコブ)が作られることを防ぐと言われている。
◯全身の栄養状態の改善
・酵素断食によって腸内細菌を増やすことは、全身の栄養状態の改善にもつながる。
・酵素断食を行うことによって、「腸の漏れ」が改善される。腸内環境が悪化すると網目が広がってしまう。すると、必要な栄養素がキャッチされにくいために、吸収されにくくなる。体調を整えようと、さまざまなサプリメントを一生懸命て追っていても、腸が漏れていれば、あまり吸収されていない可能性がある。
◯酵素断食の事前に知っておきたい注意点
・酵素断食中は水分の不足に注意する
・持病のある人は、主治医の指示に従うこと
・酵素断食中、激しいスポーツや長時間の入浴は避けること
◯初心者向け・酵素断食のやり方
・続ける期間はまずは3日間。
・朝食や昼食の代わりに、100ml程度の酵素ドリンクを飲む。
・水か白湯で薄めて、ゆっくりと噛むように飲むのがコツ。
・優勝区は、通常通りの食事をよく噛んで食べましょう。
他にも具体的なやり方が書かれていますが、そこは本書にて。また、光る堂薬店のホームページも参考になります。ファスティングやデトックスが流行る中、酵素断食という方法もなかなか興味深いなと思いました。