MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

論語コンプリート(野中根太郎)

論語コンプリート』(野中根太郎)

 いろいろな本を試してみたけれど全部途中で積ん読行きとなっていた『論語』。ようやく本書で最後まで読めました。各話につき、①一文超訳、②現代語訳、③書き下し文、④原文、⑤注釈で構成され、とても読みやすいことが特徴です。将来のことを考え、「あり方」について改めて考え直したいと思っていたタイミングでもあったので、その観点から心に残った話を取り上げてみたいと思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯毎日反省すべき3つのこと

■曾子曰く、吾は日に三たび吾が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか。朋友と交わりて信ならざるか。習わざるを伝うるか。

⇨曾子は言った。私は1日に何度も次の3つのことを反省する。

①人と話していい加減なことを言わなかったのか

②友人と接していて信義に欠けるようなことをしなかったのか

③学んでいて、まだよく身につけていないのに人に教えていないか

こうした反省によって日々成長していきたい。

 

◯40歳ごろまでに生き方の迷いを去りたい

■子曰く、吾十有五にして学に志し、三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳順い、七十にして心の欲する所に従って矩を超えず。

孔子先生は言われた。私は、

15歳で志を立て、

30歳で一人立ちする自信を持てた。

40歳で生き方に迷うことがなくなり、

50歳で自分の進む道が天命であることがわかった。

60歳になると何を聞いても素直に受け入れるようになり、

70歳で何をやっても脱線することがなくなった。

 

◯人の能力と性質を見抜く方法

■子曰く、其の以ってする所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人焉んぞ廋さんや。

孔子先生は言われた。人のことがわかる方法がある。

まず、その人の行いをよく視る。

次に、その人行動の動機、原因はどこにあるのかを観る。

そして、行為の後、その結果をどう思っているのかを察するのである。

この視、観、察の3つで観察すれば、必ず人のことがわかるようになるものだ。

 

◯人からよく学びつつ、自分でもよく考える。

■子曰く、学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思って学ばざれば則ち殆うし。

孔子先生は言われた。教わるばかりで、自分で考えることが少ないと力はつかない。自分で考えてばかりで、人に学ばないようだと、考えが偏るので危険このうえない。

 

◯流行ばかりを追わず、基本を無視しないこと

■子曰く、異端を攻(おさ)むるは、其れ害あるのみ。

孔子先生は言われた。基本を無視して、本質とは違う偏ったものばかりを学んでも、弊害になるだけだ。

 

◯自分を常に戒める

■子曰く、約を以って之を失う者は鮮なし。

孔子先生は言われた。自分を戒めて、行き過ぎないようにしている人は、失敗が少ない。

 

◯素直さ、人情の自然さが大事

■子曰く、人の生くるや直し、これを罔(な)くして生くるや、幸いにして免るるなり。

孔子先生は言われた。人がこの世に生きていけるのは、その素直さ(人情の自然さ)のためである。これなしに生きておられるというのは、幸いにして、まぐれで難を免れていけるだけである。

 

◯楽しく勉強、仕事をする人にはかなわない

■子曰く、之を知る者は、之を好む者に如かず。これを好む者は、之を楽しむ者に如かず。

孔子先生は言われた。これを知るものは、これを好きである者には及ばない。これを好きという者は、これを楽しんでいるという者には及ばない。

 

◯基本からしっかりと学びたい

■子曰く、中人以上は以って上の語るべきなり。中人以下は以って上を語るべからざるなり。

孔子先生は言われた。中級以上の実力に達した人には、より上の高尚なことや上級のことを教えてもいいが、まだ中級に至っていない人には、上級のことは教えないで、基本をしっかりと教えるべきである。

 

◯本をよく読み、自分を高め、礼を忘れない人は正しく成長する

■子曰く、君子は博く文を学び、これを約するに礼を以ってすれば、亦た以って畔(そむ)かざるべし。

孔子先生は言われた。君子は広く書物を読んで学び(こうして他者、先人に教養と学問をよく学び)、それを実生活で礼を失わないように実践していけば、正しい道(人生)を歩んでいけるだろう。

 

◯仁とは自分が望むことを自分の周りの人にさせることである。

■夫(そ)れ仁者は己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近くに譬えを取る仁の方と謂うべきのみ。

⇨仁者というのは、自分が立ちたいと欲した時には、まず人を立たせる。自分が到達したい時には、まず人を到達させる。このように、身近なことが自分においてできるようになれば仁の人になれるのだ。

 

◯いつも自分を省みる基準を持ちたい。

 

■子曰く、徳の脩(おさ)めざる、学の講ぜざる、義を聞きて徒(うつ)る能わざる、不善の改むる能わざる、是れ吾が憂えなり。

孔子先生は言われた。

①道徳が身につかなくなっていないか

②勉強と学問がとどこおっているのではないか

③正しいことを聞いても実践できないのではないか

④よくないことと気づいているのに改められないのではないか

この4つのことをいつも自戒している。

 

孔子の人柄

■子、四を絶つ。意するなく、必するなく、固なるなく、我なるなし。

孔子先生は、人が陥りやすい4つの態度をなされない円満な方であった。

①意地を張らない

②決めつけない

③頑固にならない

④我を張らない

 

 約500の教えが詰まった『論語』。東洋哲学は今後10年でじっくり学んでいきたい分野。今後の人生を考えるに、「あり方」を探求していくことは、切っても切れないと考えています。

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