『GRIT やり抜く力』(アンジェラ・ダックワース)(〇)
2016年のビジネス本ベストセラー。本書は著者が「やり抜く力」について学んできたことの集大成の一冊。「やり抜く力」は固定したものではなく変化する。長い目で見れば才能よりも「やり抜く力」が強い人のほうが成功する確率が高い。「情熱」と「粘り強さ」を併せ持ったこの力とは何か、どのように身につけるのか。
(印象に残ったところ‥本書より)
〇努力は二重に影響する
・「才能」×「努力」=「スキル」
・「スキル」×「努力」=「達成」
⇒努力をしなければ、たとえ才能があっても宝の持ち腐れ。努力をしなければ、もっと上達するはずのスキルもそこで頭打ち。努力によって初めて才能はスキルになり、努力によってスキルが生かされ、さまざまなものを生み出すことができる。人生の長いマラソンでどこまで頑張れるかは、圧倒的に「努力」にかかっている。
〇「ものすごく頑張る」のは「やり抜く力」とは違う
・ものすごく頑張るだけでは不十分。一流になるための近道はない。ものすごく時間がかかること。自分が本当に好きになることに打ち込む。好きになるだけじゃダメ。愛し続けないと。
・自分に「なぜ」を問いかけると、常に「~するため」という答えが見つかる。やがてピラミッドの頂点、すなわち最上位の目標にたどり着くだろう。最上位の目標は、他の目的の手段ではなく、それ自体が最終的な目的。
〇ウォーレン・バフェットの目標達成法
①仕事の目標を25個紙に書き出す。
⇒興味深いことに次々と頭に浮かんだ目標の大半は、重要度が中位の目標だった。どうやら私たちは、一つではなく複数の目標を書こうとすると、中位の目標を書いてしまうらしい。
②自分にとって何が重要かをよく考え、もっとも重要な5つの目標に〇をつける(5個を超えてはならない)
③〇を付けなかった20個の目標を目に焼き付ける。そしてそれらの目標には、今後は絶対に関わらないようにする。なぜなら気が散るから。余計なことに時間とエネルギーをとられてしまい、もっとも重要な目標に集中できなくなってしまうから。
〇成熟した「やり抜く力」の鉄人たちに共通する4つの特徴
①興味:目標に向かって努力することに喜びや意義を感じる。
②練習:慢心しない。何が何でももっとうまくなりたい!と口にする。
③目的:一つのことに興味を持ち続け、何年も鍛錬を重ねたのちに「人の役に立ちたい」という意識が強くなる。
④希望:不安になってもひたすら自分の道を歩み続ける姿勢。
〇エキスパートは「ニュアンス」に興味を覚える
初心者にとっての「目新しさ」とベテランにとっての「目新しさ」は、別物。初心者は初めて経験することばかりで何でも目新しく感じるが、ベテランが目新しいと感じるのは微妙な差異(ニュアンス)。
〇取り組むべきことを発見する簡単な質問
・私はどんなことを考えるのが好きだろう?
・いつの間にかよく考えているのはどんなこと?
・私が本当に大切に思っているのはどんなこと?
・私にとって最も重要なことは?
・何をしているときが一番楽しい?
・これだけは耐えられないと思うことは?
〇練習の法則
・「やり抜く力」の鉄人たちは、誰もがカイゼンを行っている。つねにもっとうまくなりたいという強い意欲を持っている。自己満足とは正反対。
・1万時間の法則:時間の長さだけでなく、質も関係している。どれだけ集中して、質の高い取組みを行ったか、「意図的な練習」を行っている。
・「意図的な練習」ができるのは最大1時間で、そのあとは必ず休息を入れる。どんなに頑張っても1日に3~5時間が限界。
・「意図的な練習」は準備段階で、フローは本番で経験するもの。
〇エキスパートの練習:3つの流れ
①ある一点に的を絞って、ストレッチ目標を設定する。
②しっかり集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す。
③改善すべき点が分かったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する。
〇鉄人は楽観的に考える
アーティスト、起業家、コミュニティ活動家など職種は様々でも答えはほぼ同じ。「そう言えば、私はあまり失望することがないかもしれない。どんなできごとからも、何かしら学べることがあるはずだと思う。しょうがない、今回はうまくいかなかったけど、また頑張ろうか、そう思ってやっている」
〇最後に
・「やり抜く力」は伸ばせる。
・「やり抜く力」を自分自身で内側から伸ばす。
興味を掘り下げる、自分の切るを上回る目標を設定してそれをクリアする方法を習慣化する、自分の取り組んでいることが自分よりも大きな目的と繋がっていることを意識する、絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ。
・「やり抜く力」を外側から伸ばす。
親・コーチ・教師・上司・メンター・友人などまわりの人々が個人のやり抜く力を伸ばすために重要な役目を果たす。
「やり抜く力」を伸ばすには、「情熱」と「粘り強さ」。情熱を注げることが見つかったら、あとはそこに投入する時間の質を上げて取り組む。失敗しても楽観的に考える。これを繰り返して1万時間or10年やってみると、その結果が「やり抜く力」を証明してくれるのではないでしょうか。
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
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