MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

完訳 7つの習慣(スティーブン・R・コヴィー)<その5><第4の習慣>

『完訳 7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)(◯)<その5><第4の習慣>

 深い良書なので、分割してまとめています。第1〜第3の習慣は、依存⇨自立への変革(私的成功)でしたが、今回からの第4の習慣化から第6の習慣化は、自立⇨相互依存への変革(公的成功)です。さて、第4の習慣は、「Win-Winを考える」です。みんな、そうだ、そうだ!と賛成するテーマですが、実際どうやるの?っていう具体論で止まることも多いと思います。人間関係は、そんなにうまくはいかないし・・。でもできれば嬉しいWin-Win!そんなテーマについてまとめていきます。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯人間関係の6つのパラダイム

Win-Win:自分も勝ち、相手もかつ

②Win-Lose:自分が勝ち、相手は負ける

③Lose-Win:自分が負けて、相手が勝つ

④Lose-Lose:自分も負けて、相手も負ける

⑤Win:自分が勝つ(他人の勝ち負けはどうでもいい)

Win-Win or No Deal:自分も勝ち相手も勝つ、それが無理なら取引しないことに合意する

・相互依存で成り立つ社会で人間関係を長く続けようと思ったら、Win-Win以外のパラダイムは次善の策にするにしても問題がある。必ずネガティブな影響を残す体。どのくらいの代償を払うことになるのか、よくよく考えてみなければならない。本当のWin-Winに達しないのであれば、ほとんどの場合はNo Deal、「今回は取引しない」とした方が得策である。

 

Win-Winの5つの側面

Win-Winの原則は、あらゆる人間関係の成功を築くための基礎であり、互いに関連し合う5つの側面でできている。

・まず、人格があって、それによって人間関係が築かれ、そこで協定ができる。合意に至るまでの流れを円滑に進めるためには、Win-Winに基づく構造とシステムが要る。さらにプロセスも重要。

Win-Win 人格

・誠実

 「自分自身に価値を置くこと」。自分の価値観を明確にし、その価値観に従って主体的に計画を実行するにつれて私たちは自覚を持って意義ある約束を決意し、守り続ける意志を育てていくことができる。誠実さは、人格という基礎の要石。

・成熟

 成熟とは、勇気と思いやりのバランスが取れていること。「成熟」は、人格を補完するものであり、段階的に発達していくもの。Win-Winを目指す人は、優しさと同時に厳しさを持ち合わせている。勇気と思いやりのバランスを取ることが本当の意味での成熟であり、Win-Winの前提条件。

・豊かさマインド

 この世のすべての人に行き渡るだけのものがたっぷりあるという考え方。豊さまインドは、内面の奥深くにある自尊心と心の安定から湧き出るもの。この世にはすべてのものが全員に行き渡ってもなお余りあるほどたっぷりとある、と考えるパラダイム。豊かさマインドを持つには、まずは第1、第2、第3の習慣を身につけ、個人としての喜び、満足感、充足感を得ていなければならない。関わった全員のためになる結果に達するように効果的な人間関係を築くことが「公的成功」。

 

Win-Win 人間関係

 Win-Loseのパラダイムで物事を考える人が相手でも、鍵となるのは人間関係。そのためにはまず、フォーカスするところは、影響の輪の中である。

 

Win-Win 協定

 業務契約やパートナーシップ協定などと呼ばれ、人間関係のパラダイムは、上限関係から対等な立場で成功をめざすパートナーシップの関係に変わる。

1)望む成果

 いつまでに何を達成するのか(手段を決めるのではない)

2)ガイドライン

 望む結果を達成するときに守るべき基準(規則、方針など)

3)リソース

 望む結果を達成するための使える人員、資金、技術、組織のサポート

4)アカウンタビリティ(報告義務)

 結果を評価する基準、評価する時期

5)評価の結果

 達成度合い、貢献度愛、評価の結果としてどうなるのか。

 

Win-Win システム・構造

 Win-Winとは、ガイドラインと使えるリソースをはっきりと決め、その範囲内で具体的な結果を達成する責任を個人に持たせる考え方。

 

Win-Win プロセス

 Win-Winの解決策を求める人や組織にアドバイスをするときは、次の4つのステップを踏むプロセスを勧めている。

1)問題を相手の視点に立って眺めてみる。相手のニーズや関心事を当の本人と同程度に、あるいはそれ以上に理解しようとし、言葉にしてみる。

2)対処すべき本当の問題点や関心事(立場ではなく)を見極める。

3)どんな結果であれば、双方が完全に受け入れられるのかを明確にする。

4)その結果に到達するための方法として新しい選択肢を見つける。

 

Win-Winは、個性主義の表面的なテクニックではない。人と人との関係を総合的にとらえるパラダイムである。このパラダイムは、誠実で成熟し、豊かさマインドを持った人格から生まれ、信頼に満ちた人間関係の中で育っていく。それは、期待することを明確にし、効果的に管理する実行協定になり、Win-Winを支えるシステムによってさらに強いパラダイムになっていく。

 

 第4の習慣は、Win-Winにならなければ、取引しないことに合意するという考え方もあるのだというのがわかると、ぐっと楽になりますね。やはり、Win-Winのベースは、第1〜第3の習慣、つまり自分のことができていないのに、Win-Winにはたどり着けないということですね。実際には、第1〜第3も意識しながら並行して、第4にも取り組むことになると思いますが、何れにしても第1〜第3の習慣は毎日磨き続け、積み上げ続けていく必要がありますね。あらためて、「7つの習慣には順番がある」ということに気づかされます。

7つの習慣特装版「ウィークリー・チャレンシ?」付属

7つの習慣特装版「ウィークリー・チャレンシ?」付属

 

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