MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

まんがでわかる論語(著:齋藤孝、まんが:備前やすのり)

『まんがでわかる論語』(著:齋藤孝、まんが:備前やすのり)

 本書は、タイトル通りまんがで論語の代表的な言葉を理解していく内容です。音楽サークルを舞台にしたストーリー展開と、節目節目でまとめ・解説が入っており、すっと頭に入ってきます。これから論語本を本格的に読むにあたり、まずはとっつきやすさ、ハードルを下げるという意味で読んでみましたが、そういう点では正解だったと思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯出発点として大事なのは「どうしよう」という疑問を持つこと

・子曰く、如之何(いかん)、如之何と曰わざる者は、吾れ如之何ともすること末(な)きのみ。

⇨先生が言われた。「『これをどうすればよいか、これをどうすればよいか』と懸命に考えないものは、私にもどうすることもできない」

 

◯人のせいにしたくなったら、一度相手の立場になって考えてみる

・子曰く、君子は諸(こ)れを己に求む。小人は諸れを人に求む。

⇨先生が言われた。「君子はことの責任や原因を自分に求めるが、小人は他人に求め、責任を転嫁する。

 

◯落ち着いて対処すること

・君子固(もと)より窮す。小人窮すれば斯(ここ)に濫(みだ)る。

⇨君子ももちろん困窮することはある。小人は困窮すると心が乱れてでたらめなことをするが、君子は乱れない(そこが違いだ)。

 

◯目の前の利益や成果を急ぎすぎることで得るものは少ない

・遠からなんと欲すれば、則ち達せず。

⇨成果を急げば達成しない

 

◯間違ったこと子を素直に認め、正そうとする謙虚な姿勢

・子曰く、過ちて改めざる、是れを過ちと謂う。

⇨先生が言われた。「過ちをしても改めない。これを本当の過ちという」

 

◯理解してほしいと思うなら、まず相手を理解する努力をすべき

・人の己れを知らざることを患(うれ)えず、人を知らざることを患う。

⇨自分をわかってもらえないと嘆くより、人を理解していないことを気にかけなさい。

 

◯もともとの本性をねじ曲げないこと

・人の生くるは直し

⇨人が生きていくには、人としての良い本性が曲げられない真っ直ぐさが大切だ。

 

◯学びの中でも最上なのが「とにかく楽しむ」というウキウキした気持ち

・これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

⇨学ぶことにおいて、知っているだけでは好む者に及ばない。また、学問を好む者は、学問を楽しむ者に及ばない。

 

 ◯人間は学業や知識のみの優秀さだけでは計れない

・子、四つを持って教う。文、行、忠、信。

⇨先生は、文(書から学ぶこと)、行(学んだことを実践すること)、忠(人に真心を持って接すること)、信(言行一致して、嘘偽りのないこと)の4つのことを教えられた。

 

◯志を持つものは、寛大な心と強い意志で突き進まなければ達成できない。

・士は以って弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。

⇨学に志す者は、心が広く強くなければならない。担うものは重く、道は遠い。

 

 ◯現状に適応すべく変化し続けたものだけが、激しい生存競争を勝ち抜くことができる。

・子、四を断つ。意なく、必なく、固なく、我なし。

⇨先生には、次の四つのことが決してなかった。自分勝手にする「意」がなく、なんでもあらかじめ決めた通り(無理)にやろうとする「必」がなく、ひとつのことに固執する「固」がなく、利己的になって我を張る「我」がない。

 

◯たいていのトラブルは、筋を通さないためにどんどん被害が拡大していく

・子曰く、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。

⇨先生が言われた。「君子は物事の筋である『義』がわかっている。小人は損得がわかっている」

 

◯多すぎるのも少なすぎるものよくないので、真ん中あたりの「中庸」がいい

 ・過ぎたるは猶(な)お及ばざるがごとし

⇨中庸が大切だ。行き過ぎは足りないのと同じだ。

 

◯本で学ぶ場合は、いつでも「どう活かすことができるか」ということを考えながら読むことが重要

・子曰く、学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あや)うし

⇨先生が言われた。「外からいくら知識や情報を得ても自分で考えなければ、物事は本当にはわからない。逆に、自分で考えるだけで外から学ばなければ、独断的になってしまう危険がある。

 

◯「仁」の本質は、人を愛すること

 ・樊遅、仁を問う。子曰わく、人を愛す。知を問う。子曰わく、人を知る。

⇨樊遅が「仁とはなんでしょうか」と聞くと、先生は「人を愛することだ」とお答えになった。「知とはなんでしょうか」と聞くと、先生は「人を知ることだ」とお答えになった。

 

◯仁を心から求めるという気持ちこそが大事

 ・仁遠からんや。我れ仁を欲すれば、斯に仁至る。

⇨仁ははたして遠いものだろうか。仁を心から求めるならば、仁はすぐここにある。

 

 本書のストーリーで語られた論語の言葉以外にも巻末に有名な言葉が解説されています。これから論語を本格的読んでいこうかと思っていますが、まずは自分が気に留めておきたいお気に入りの言葉から入っていきたいと思います。論語の教えどおり、好む以上に楽しむことが大切ですね。

まんがでわかる 論語 (Business Comic Series)

まんがでわかる 論語 (Business Comic Series)

 

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