MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

論語(訳注:金谷治)

論語』(訳注:金谷治

 岩波文庫ワイド版です。ワイド版になって読みやすい!漢文、読み、注釈、解説と、基本パターンの1冊として、やはり岩波文庫はいいですね。今年の主要テーマの一つである論語。すでに何冊か読んでいますが、本書は基本書としてずっと手元に置いておきたい1冊です。これに加え、サラリーマン著者が書いたわかりやすい解説書『明日の論語(上)(下)』とビジネスと結びつけた解説書『論語講義』(渋沢栄一)、そのコンパクト版『渋沢栄一論語」の読み方』。この4冊を手元に置いて掘り下げていきたいと思います。以下では、印象に残った章を備忘的に残しておきます。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯「君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝悌なる者は其れ仁の本たるか」(学而第一②)

⇨君子は根本のことに努力する。根本が定まって初めて(進むべき)道もはっきりする。孝と悌ということこそ、仁徳の根本であろう。

・孝:父母によく仕えること

・悌:兄や年長者によく仕えること

・仁徳:仁は孔子のとなえた最高の徳目。人間の自然な愛情にもとづいたまごころの徳である。

 

◯「和を知りて和すれども、礼を以ってこれを節せざれば、亦た行われず」(学而第一⑫)

 ⇨調和を知って調和していても、礼でそこに折りめをつけるのでなければ、やはりうまくいかないものだ。

・礼:主として冠・婚・葬・祭その他のさだめをいう。社会的な身分に応じた差別をするとともに、それによって社会的な調和を目指すのである。

 

◯「子の曰く、君子は器ならず」(為政第二⑫)

⇨先生がいわれた「君子は器のものではない(その働きは限定されなくて広く自由である)」

 

◯「子の曰く、学んで思わざれば則ち罔(くら)し。思うて学ばざれば則ち殆(あやう)うし」(為政第二⑮)

⇨先生がいわれた「学んでも考えなければ(ものごとは)はっきりしない。考えても学ばなければ、(独断に陥って)危険である」

 

◯「子の曰く、人にして仁ならずんば、礼を如何。人にして仁ならずんば、楽を如何」(八佾第三③)

⇨先生がいわれた「人として仁でなければ、礼があってもどうしようぞ。人として仁でなければ、楽があってもどうしようぞ。

・楽:音楽。礼儀と並んで人間の容儀・品性をととのえる。

 

◯「子の曰く、人の過つや、各々其の党(たぐい)に於いてす。過ちを観て斯に仁を知る」(里人第四⑦)

⇨先生がいわれた「人の過ちというのは、それぞれの自分の種類に応じておかす。過ちを見れば仁かどうかがわかるものだ。

 

◯「仁者は難きを先きにして獲るを後にす、仁と謂うべし」(雍也第六㉒)

⇨仁の人は難しい事を先にして利益は後のことにする。それが仁といえることだ。

 

◯「子、四つを以って教う。文、行、忠、信」(述而第七㉔)

⇨先生は4つのことを教えられた。①読書、②実践、③誠実、④信義である。

 

◯「子、四つを絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし」(子罕(しかん)第九④)

⇨先生は4つのことを絶たれた。①勝手な心を持たず、②無理押しをせず、③執着をせず、④我を張らない。

 

◯「子の曰く、徳のある者は必ず言あり。言ある者は必ずしも徳あらず。仁者は必ず勇あり。勇者は必ずしも仁あらず」(憲問第十四⑤)

⇨先生がいわれた「徳のある人にはきっとよい言葉があるが、よい言葉のある人に徳があるとは限らない。仁の人にはきっと勇気があるが、勇敢な人に仁があるとは限らない。

 

◯「子の曰く、其の言のこれ怍(は)じざれば、則ちこれを為すこと難し」(憲問第十四㉑)

⇨先生がいわれた「自分の言葉に恥を知らないようでは、それを実行するのは難しい(言葉は慎んでこそ、それを実行できる)」

 

◯「子の曰く、君子の未知なる者三つ。仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は懼れず」(憲問第十四㉙)

⇨先生がいわれた「君子の道というものが3つある。仁の人は心配がない。智の人は惑わない。勇の人は恐れない」

 

◯ 「子の曰く、人の己を知らざることを患え図、己れの能なきを患う」(憲問第十四㉜)

⇨先生がいわれた「人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、自分に才能のないことを気にかけることだ」

 

◯「子の曰く、君子固(もと)より窮す。小人窮すれば斯に濫(みだ)る」(衛霊公第十五②)

⇨君子ももちろん困窮する。だが小人は困窮するとでたらめになる。

 

◯「子の曰く、人にして遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り」(衛霊公第十五⑫)

⇨先生がいわれた「人として遠くまでの配慮がないようでは、きっと身近い心配事が起こる」

 

◯「子の曰く、君子は諸れを己に求む。小人は諸れを人に求む」(衛霊公第十五㉑)

⇨先生がいわれた「君子は自分に(反省して)求めるが、小人は他人に求める」

 

◯「子の曰く、君子に九思あり。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌(かたち)には恭を思い、言には忠を思い、事には敬を思い、疑わしきには問いを思い、忿(いか)りには難を思い、得るを見ては義を思う」(李氏第十六⑩)

孔子が言われた「君子には9つの思うことがある。

①見るときにははっきりと見たいと思い、

②聞くときには細かく聞き取りたいと思い、
③顔つきには穏やかでありたいと思い、
④姿にはうやうやしくありたいと思い、
⑤ことばには誠実でありたいと思い、
⑥仕事とには慎重でありたいと思い、
⑦疑わしいことには問うことを思い、
⑧怒りにはあとの面倒を思い、
⑨利得を前にしたときは道義を思う。

 

 『論語』には2500年以上を経ても変わらない普遍の哲学が詰まっています。自分がこれは自分の人生に生かしたいという言葉を拾って、普段その言葉を意識するだけでも、十分に価値があると思います。一度は読んでみたい名著中の名著ですね。

論語 (ワイド版岩波文庫)

論語 (ワイド版岩波文庫)

 

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