MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

メモの魔力(前田裕二)

『メモの魔力』(前田裕二)(◯)

 メモをとことん追求し、徹底してメモを活用されている取り組みが素晴らしく、探究心を煽られました。メモを単に記憶がわりに使うのではなく、日付、サマリー、標語、ファクトを見開き2ページにまとめた後⇨抽象化して⇨転用するという活用をされており、その先の効果として、①アイデアを生み出す、②思考を深める、③自分を知る、④夢を叶えるという切り口から活用されています。また、巻末の自己分析1,000問にも圧倒されます(1問につき、ノート見開き2ページで回答していかないといけないので、ノート2,000ページ必要)。とにかくメモという身近なものがテーマであることと、活用度合いが半端ないので、一読の価値があります。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯メモによって鍛えられる5つのスキル

①アイデアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)
②情報を「素通り」しなくなる(情報獲得の伝導率向上)
③相手の「より深い話」を聞き出せる(傾聴能力の向上)
④話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)
⑤曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる(言語化能力の向上)

 

◯ノートを見開きで使う理由

①書き込む場所が狭いと思考が窮屈になる

②左側に左脳的な事実、右側に右脳的な発想というように脳の使い方によって切り分ける

③「右側が空く」という狙い。空欄は埋めなくてはならないという潜在意識を持つ

 

◯ノートの使い方(ファクト⇨抽象化⇨転用)

・①具体⇨②抽象⇨③転用という思考フローを経る。

・自分の意識に目を向ける(具体化)×Whyで深掘りする(抽象化)

・左ページ1/5くらいのところに縦線を引いて、「標語」(要は何の話か)のための列を作る。

・右ページは真ん中に縦線を引く。そのうち左側は左ページの具体的な内容を抽象化する。

・右ページの右側は「転用」の要素を書く。「◯◯という真理・命題を受けて、これをこう変えてみよう」という、実際のアクションにつながる粒度まで落として書くことが重要。

・具体的に見聞きする情報から、「ここから何か他にも当てはまることが言えないかな?」「これはなぜかな?背景は何かな?」「あらゆるこの種類のものって、◯◯ということが当てはまるよな」「これの特徴はこうだな」といったことを考えて、より抽象度の高い(より多くの具体的な何かにも当てはめることができる)概念を導き出す。

 

◯4色ボールペンによる「色分け」で判断能力を上げる

・軸は、「主観or客観」と「重要度」

・主観的な発想は緑色、その他3色は客観。黒は普段使いの色でファクトを書く。青と赤は重要度で使い分ける。緊急度は外部要因で決まるので色分けしない。

 

◯記号の使い分け

 ◉:抽象・気づき・学び・主旨

 ◎:具体・心が動いたこと・感動

 ★:仕事のタスク

 ☆:プライベートのタスク

 ▼:箇所書き(大項目)

 ▪️:箇所書き(中項目)

 「:箇所書き(小項目)

 

◯メモで思考を深める

・一番重要なのは抽象化するときの問い。自分に「What?」を投げかけるのか、「How?」を投げかけるのか、「Why?」を投げかけるのか。シンプルだが、抽象化のコツをつかむ上で、これがとても重要。

・「How型」と「Why型」は知的創造。特に「Why型」が大きな価値を生み出す。

・自分の意識に対して、「なぜその意識を持ったのか」と”Why"を向けて、そこから滲み出てくる思いを逃げずに言葉に変えていく。そうすることで、自分の言語化されていない深層意識に目を向けてみる。

 

◯メモで自分を知る

・ブレない人生の軸が、自分の人生のアンカー、錨の役割を果たす。

・抽象化まで行っても、転用まで行かないので、行動に落とし込めずに夢が夢のままである人がどれだけ多いことか。自分に対する問いに100問答えて、全て抽象化し、転用までやれば、きっと、自分が心からワクワクする何かが、少なくともその重大なヒントが見つかるはず(巻末に100問どころか、1000問の問いが掲載されています)。

 

◯ゴール設定時に有効な「SMART」

・Specific:具体的である

・Measurable:測定可能である

・Achievable:達成可能である

・Related:関連性がある

・Time:時間の制約がある

 

◯ストーリーを語る際に重要な3つのポイント

①エピソードを可能な限り「具体的に」話すこと

②「間」を恐れずに使いこなすこと

③一方通行ではなうなや、なるべく双方向、インタラクティブに話すこと

 

 やはり、突き詰めていらっしゃる方のノウハウの背景にある考え方はおもしろいです。やり込んでいるからこそ見えてくる世界観。なかなか真似できないというのが、ますます希少価値を生んでいくと思います。自分のスタイルにどう取り込むか、ワクワクしながら考えさせられる一冊でした。

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

 

f:id:mbabooks:20190124220633j:plain