『アイデアのちから』(チップ・ハース、ダン・ハース)(◯)
プレゼンテーションのベストセラー本『プレゼンテーション・ZEN』でも引用されている本書。全米150万部のベストセラー本で、アイデアが記憶に焼き付く特徴を6つの原則にまとめた分かりやすい内容です。何かを伝えるときに、この6原則を満たしているかチェックしてからプレゼンや投稿をするということを習慣づけると伝える力がめちゃくちゃ増すと思います。
そう言えば、何かを話すときに「もっとストーリー性を持ったエピソード伝えれば良かった」とか「抽象的すぎたかな」といった反省が多いなという自分のクセにも気付けます。
(印象に残ったところ)
◯記憶に焼きつくアイデアの6原則
①単純明快である
②意外性がある
③具体的である
④信頼性がある
⑤感情に訴える
⑥物語性がある
◯単純明快である
・単純明快なメッセージとは、核心をついていると同時に簡潔。
・キャッチフレーズのような表面的なインパクトではなく、諺のように濃い内容がギュッと圧縮されたメッセージ。
・人間は不確実なことがあると、それ何の関係もないものでも判断停止に陥る可能性がある。
・メッセージには優先順位が必要。3つ言うのは、何も言わないのに等しい。
・軍事シミュレーションを行う戦闘演習訓練センターでは、士官が「司令官の意図」を作成する際に、次の2点を自問するように奨めている。
①明日の任務に全力を注げば、我々は必ず「 」だろう。
②我々が明日行わなければならない唯一にして最も重要な事項は「 」である。
◯意外性がある
・関心を掴む最も基本的な方法は、パターンを破ること。同じ感覚の刺激を繰り返し受けると、それに注意を払わなくなる。
・「どうやって関心を掴むか」「どうやって関心を繋ぎ止めるか」という問題の解決策を理解するには、「驚き」と「興味」という2つの基本的感情を理解する必要がある。
・優れた文章は、全て謎かけで始まっている。辻褄の合わない問題状況を書いた上で、読者を謎解きの世界に誘って、物語を展開している。謎には威力がある。
・「隙間理論」:好奇心が生じるのは、自分の知識に隙間を感じたとき。隙間を埋める前には、隙間を作る必要がある。メッセージの必要性を相手に納得させるための秘訣は、まず欠けている知識に光を当てること。相手の知識の隙間を突く質問やクイズでもいい。
◯具体的である
・アイデアに意外性を持たせるには、かなりの努力と創造性を要する。だが、具体性を持たせるのは難しくないし、それほどの努力もいらない。唯一の問題は、「自分は知っていても他人は知らない」ということをつい忘れてしまうこと。
・具体的であることは、目標をわかりやすくする。具体的なアイデアは記憶しやすい。
◯信頼性がある
・「人間的尺度の原則」:統計に実感を湧かせる方法
・次の科学的記述を比べるとどちらが正確に感じる?
①「ある研究チームがある重要な物理的制約を極めて正確に計算した。その正確さは、太陽から地球に石を投げ、的から0.5㎞以内に命中させるようなものだ」
②「ある研究チームがある重要な物理的制約を極めて正確に計算した。その正確さは、ニューヨークからロサンゼルスまで石を投げ、的から1.7cm以内に命中させるようなものだ」
⇨非常に印象的と答えた人は、①が58%、②が83%
◯感情に訴える
・「大衆を見ても私は行動しない、個人を見たときに私は行動する」(マザー・テレサ)私たちの心の中では、大衆より個人に軍配が上がる。
・自己利益を受ける本人を主語にすることが大切。「グッドイヤーのタイヤを使うと、誰でも安心できます」と言わず、「グッドイヤーのタイヤを使うと、あなたは安心できます」というべき。
◯物語性がある
・シミュレーションも元気付けも行動を生み出す効果がある。
・頭の中でシミュレーションすると、なぜうまくいくのか。
①出来事や経緯を思い描くと実際に活動していたときと同じ脳の部位が呼び覚ませるから。
②感情を処理しやすくなる
③未来の状況に先手を打ち、適切に対応する助けとなる。
④意外なのは、シミュレーションを行うと、技術力も向上する。
・物語は娯楽と強く結びついている。映画、書籍、テレビ番組、雑誌どれもそう。子供が「お話をして」というとき、彼らは何かを教わりたいわけではなく、娯楽を求めている。
・物語が効果的なのは、抽象的な文章にない文脈を与えてくれるから。
アウトプットするときに、立ち止まって考えたい内容。6つに纏まっていることも分かりやすい。コツを覚えて実験してみる。前と何が違うのか。そんな次の行動が楽しみになる一冊でした。