『読んだら忘れない読書術』(樺沢紫苑)(◯)
著者はベストセラー本を連発されている精神科医でその行動力には驚かされます。読書面で言えば月30冊ペースで読書されているようで、そのほとんどの時間が電車などの移動時か隙間時間。その状況は脳科学的にも裏付けされるようです。本書は、精神医学、心理学、脳科学に精通されている著者が医学的裏付けと自身の経験に基づいて読書をより効率的により深く進めるためのコツが満載です。私も普段はあまり読書本を読まないのですが、同意できるところが多数。新しい発見もありました。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯文章力をつけたければ本を読め
・「作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことが二つある。たくさん本を読み、たくさん書くことだ。私の知る限り、その代わりになるものはないし、近道もない」(米国小説家スティーヴン・キング)
・月10冊以上読書をしていれば、文章りょも磨かれる。それは作家にもなれる読書量だと言える。
◯記憶に残る読書術
・「本を読んだ」の定義は、「内容を説明できること」「内容について議論できること」
・最初のインプットから7〜10日以内に3〜4回アウトプットする。
・脳が重要な情報と判断する基準は2つ。「何度も利用される情報」と「心が動いた出来事」
・4つのアウトプットで記憶に残す
①本を読みながらメモを取る、マーカーでラインを引く。
②本の内容を人に話す。本を人に勧める。
③本の感想や気づき、名言をFacebookなどでシェアする。
④Facebookなどに書評、レビューを書く。
・最初のステップが、本を読みながらマーカーでラインを引くこと。インプットしながらアウトプットを同時にしていることになる。
・脳科学的にラインを引くことは間違いなく脳を活性化する。脳の中で「字を読む」ことと「手にペンを持って線を引く作業」は全く別の領域で行われている。さらに「文字を書き込む」のは、また脳の別の部分で行われる。「音読」も脳の活性化に有効。
◯複数の切り口で人に勧める
・具体的にどこがためになったのか、本の内容を要約しながら相手に伝える。
・数行でもいいので、Facebookなどに感想をアップする。
・自分にとっての「名言」を投稿する。
・「アウトプットをしないといけない」という軽いプレッシャーを自分にかけながら本を読むようにすると、不思議なことに、今まで気づかなかったことにたくさん気づける。
◯出かける前に今日読む本を決めて読み切る
・目標を設定するだけで記憶強化物質であるドーパミンが分泌される。
・制限時間を決めると、制限時間が迫ったハラハラした状態ではノルアドレナリンが出る。集中力がアップし、脳が高いパフォーマンスを発揮する。
・隙間時間の15分で本を読むと、「初頭努力」と「週末努力」で5分計10分「記憶力が高い状態での読書」が可能になる。この隙間時間読書の繰り返しは連続読書以上の効果が得られる。15分は人間が非常に高度な集中力を維持できる限界。
◯パラパラ読書術
・本を読む前にゴールと方法を決める
①全体を把握する
②本を読む目的を設定する
③「速読」か「精読」かを決める
◯ワープ読書術(知りたい部分を先に読む)
・この本で一番知りたいことを考える
・目次を見て、知りたい部分を先に読む。
・そのページを読んでさらに知りたいと感じたところ、深掘りしたいところ、疑問に感じたところがあれば、再度目次で目星をつけて、そのページにワープして読む。
・何回かワープすると、その本で一番知りたい部分の要旨がわかる。ここまで5分はかからない。最初の5分は記憶に残りやすいので、本の最も重要な部分が忘れにくくなる。
・大体のアウトラインを掴んだところで、最初のページに戻り、そこから読み始めていく。
◯ギリギリ読書術
・人間の脳は、「自分の能力よりも少し難しい課題」に取り組んでいるときに、ドーパミンが分泌され、集中力が高まり、最も活性化する。タイムプレッシャーをかけることが大切。
本書の中でも「ワープ読書術」は、私も試したことがない魅力的な読書方なので、ぜひトライしてみたいと思います。こうやって、実績にに裏打ちされたノウハウを知って、自分で試すことは、本という媒体がノウハウの集約であり、読み手はわずかな投資でノウハウを学ぶ時間の節約ができる有益な手段だなと感じます。