『直感と論理をつなぐ思考法』(佐宗邦威)(◯)
友人がFacebookで書評をシェアしているのを拝見し、「これはおもしろそう!」と思って読んでみたら、期待以上の良書でした。「うんうん」って共感するところ多数、学びも多数。これからの時代に求められる思考法がまとめられた一冊です。外侮ばかり見がちで、「そもそも何がしたかったのか」という自分の原点に立ち返り、その原動力となっているビジョンの素(直感や得体の知れない妄想)に気づき、直感を論理につなげていこうという一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯全体像
・現実に見える地上世界
①改善の農地
②戦略の荒野
③デザインの平原
④人生芸術の山脈
・「4世界」の地下に広がるビジョンのアトリエ
①妄想の部屋
②知覚の部屋
③組替の部屋
④表現の部屋
◯4つの思考サイクルの違い
・「0→1思考」と「1→♾思考」の縦軸、「Vision Driven」と「Issue Driven」の横軸。
・カイゼン思考(「1→♾思考」×「Issue Driven」)
計画(P)→実行(D)→検証(C)→改善(A)→計画(P)のサイクル
・戦略思考(「1→♾思考」×「Vision Driven」)
目標設定→資源棚卸→選択集中→検証→目標設定のサイクル
・デザイン思考(「0→1思考」×「Issue Driven」)
課題設定→共感→発想→プロトタイプ→課題設定のサイクル
・ビジョン思考((「0→1思考」×「Vision Driven」)
妄想→知覚→組替→表現のサイクル
◯妄想(妄想を形にする)
・欲望や好きなこと、ワクワクすることに向き合うこと
・手を動かしながら「妄想」をかたちにしてみて、それと向き合う
・「もしも〜だったら?」という魔法の問いかけに落とし込むことで開く。
・妄想を引き出すワーク
①「紙×手書き」が基本
②「モーニング・ジャーナリング」(感情アウトプット)
③「何もしない時間」をスケジュール予約する
④「妄想クエスチョン」(質問も「余白」)
⑤「偏愛コラージュ」(思考の「錨」を下ろす)
⑥ひみつ道具プロトタイプ(「考える→手が動く」を逆転する)
⑦魔法の問いかけ(想像の「テンション」を引き出す)
◯知覚(ビジョンの解像度を上げる)
・ぼんやりとしていた妄想の輪郭をはっきりさせ、未来の可能性に彩られた構想を1枚の絵や設計図にまとめ上げていく
・センスメイキングの3プロセス
①感知(五感全体を使って物事をよく感じ、ありのままに観る)
②解釈(インプットを自分なりのフレームにまとめる)
③意味付け(イメージ脳から言語脳へと移行し、考えに意味を与える)
・センスメイキングの3プロセス
・知覚を引き出すワーク
①「ペットボトルスケッチ」でモードの切り替わりを体感
②「逆さまスケッチ」(言語脳を遮断する)
③「カラーハント」(1日をイメージ脳で過ごす)
④「ビジョンスケッチ」(妄想を1枚の絵にする)
⑤「視覚化トレーニング」(1単語・1イラスト)
⑥「クラウドハント」(モード切り替え力を高める)
⑦「ムードボード」(知覚力を磨く)
◯組替(自分なりの切り口を与える)
・他人の目を気にせずに主観的にアウトプットしただけの構想を、他人の目線で外から眺め直し、自分らしい世界観に基づいた独自のコンセプトへと磨き上げていく。
・箇所書きはアイデアを固定化してしまう→分解する必要
①「当たり前」を洗い出す
②「当たり前」の違和感を探る
③「当たり前」の逆を考えてみる
・組替を引き出すワーク
①「可動式メモ術」(組替力を飛躍的に高める)
②「違和感ジャーナル」(ツッコミのアンテナを鍛える)
③あまのじゃくキャンバス
当たり前の洗い出し→当たり前の違和感を探る→当たり前の逆を考える
⑤セルフ無茶振り(いっきにアイデアをまとめ上げる)
◯表現(自分らしい表現に落とす)
・ビジョンを簡単にプロトタイピングしたもので十分
・小規模グループで批評し合い、そこで得た感想やフィードバックによってモチベーションを高めたり、次なる妄想の種を作る。
・表現(プロトタイピング)する時の注意点
①表現の「動機づけ」をする
②表現を「シンプル」にする
③表現に「教官の仕掛け」を作る
・組替を引き出すワーク
①ビジョンアートの作品展示会
②「ビジュアルメモ」(記憶力と創造性が高まる)
③「ビジョン・ポスター」(類推を促す)
④「英雄の旅」フレーム(人の心を強く動かす)
冴えない現実→特別な世界→変化した現実世界
要点が多いので、ワークについて詳しいところは、本書でご確認ください。この中でも私も日頃から取り組んでいて、これはいいなと思っているのが、①何もしない時間のスケジュール登録、②可動式メモ(付箋の活用)、③ビジュアルメモ(iPadでテキストと絵と表組みでメモを取る)です。①は余白作り、②③は感覚を見える化という目的で取り組んでいましたが、本書の発想とも重なり嬉しいところでした。一方、その他多数紹介されていることは、自分の知らないことだらけ。この中から自分に合うものを取り入れ、全体像のどこにいるのか、自分の位置を確認していきたいと思いました。