MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

チーズはどこへ消えた?(スペンサー・ジョンソン)

チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン)(◯)

 世界累計2800万部、日本でも400万部売れているベストセラー本です。この続編が発売され、それが読みたかったので、まず本書から読みました。本書はある迷路で起こった出来事をめぐる物語で、登場人物はチーズを探し求めるネズミ2匹と小人2人とシンプル。チーズは、人生で求めるもの、つまり、仕事、家族や恋人、お金、大きな家、自由、健康、人に認められるもの、心の平穏などを象徴しています。100ページにも満たない文量で、とっても読みやすいです。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯物語の前提(環境)

・迷路はいくつもの通路と部屋からなる迷宮で、どこかに美味しいチーズがある。しかし、暗がりや袋小路もあって、すぐに道に迷ってしまいかねない。

・迷路にはいい暮らしができるようになるチーズが隠されており、そこにたどり着くことさえできればチーズが手に入る。

 

◯ネズミと小人の行動

・ネズミ2匹は、単純で非効率な方法、つまり試行錯誤を繰り返しながらチーズを探した。案の定2匹は道に迷い、袋小路に突き当たることもしばしば。

・小人2人は、過去の経験で得た教訓と思考による方法を取っていたが、複雑な頭脳に頼り、もっと高度な方法を作り上げた。2人は、うまくいくときもあったが、強力な人間の信念と感情が物の見方を鈍らせてしまうこともあった。

 

◯好みのチーズを発見して・・

・うまくいったことを喜び、自分たちは安泰だと思った。小人の日課が変わった。ただそこにあるのが当然のことになっていた。格言は「チーズを手に入れれば幸せになれる」。2人は慢心するようになった。

・ネズミ2匹の日課は変わらなかった。

 

◯ある日チーズがなくなって・・

・ネズミたちは事態を詳しく分析したりはしなかった。状況が変わったのだから、自分たちも変わることにした。すぐさま次のチーズを探しにかかった。

・小人2人は小さな変化が起きていることに注意を払わなかったから、いつも通りチーズがあるもの通っていた。2人には青天の霹靂だった。うろうろするばかりで、「明日もチーズがなかったら、どうなるだろう?あのチーズをもとに将来設計をしていたのに」。「この事態は我々のせいじゃない。誰か他の者のせいなんだから、我々はこうなったことで何かをもらうべきだ」「何としても真相を究明するんだ」

・「自分のチーズが大事であればあるほど、それにしがみつきたくなる」

 

◯その後の展開・・

・ネズミ2匹は、新しいチーズを見つけることしか頭になかった。やがてこれまで行ったことのなかったエリアに入っていった。2匹は歓声をあげた。探していたものを見つけたのだ。

・小人2人。「もうそんな元気はないよ。それに、道に迷ったり馬鹿な真似をするのを面白がることはできないんじゃないかと思う。そうじゃないかい?」そう言われると、しくじるのではないかという不安がよみがえり、新しいチーズを見つける希望もしぼんだ。事態を無視しようとしてみたが、だんだん寝つきが悪くなり、元気もなくなり、苛立ちがつのっていった。

 

◯小人のうち1人の変化

・「お前は何をしてるんだ。繰り返し同じことしかしないでおいて、事態が好転しないのを不思議がるなんて。本当にどうかしている」。もう一度迷路を走り回るのは気が進まなかった。きっと道に迷ってしまうだろうし、どこにチーズがあるか皆目見当がつかなかったから。しかし、そんな不安から二の足を踏んでいると思うと、自分の愚かさをあざ笑いたくなった。

・「どっちがいいんだろう。ここにいてチーズが戻ってくるのを待ったほうがいいのか、迷路を探し続けたほうがいいのか」。想像してみた。笑みを浮かべ、思い切って迷路へ入っていく自分を。その姿には自分でも驚いたが、気分が良かった。時には道に迷うこともあるだろうが、最後には新しいチーズが見つかるに違いないと思った。そうなれば、他にもいろいろいいことが起こるだろう。勇気を奮い起こした。想像力を働かせて、新しいチーズを見つけて味わっているところを思い描いた。できるだけ現実的で細かいところまで。
・自分たち2人がどんなに愚かしく見えるかと思うと笑いたくなった。ようやく自分を笑う余裕が出てきたとき、見切りをつけて、先に進むことができるのだ。

・「変わらなければ破滅することになる」。今までいた場所を振り返って思った。あそこは居心地が良かったなぁ。

 

◯もし恐怖がなかったら・・

・恐怖が役立つこともある。このままでいたら事態はますます悪化するという恐怖にかられたら、いやでも行動を起こすだろう。一方、恐怖のあまり何もできなくなることもある。

・今になってわかるのは、何が起きているのか注意してみていたら、変化に備えていたら、あんなに驚くことはなかっただろうということ。これからは、もっと注意しよう。変化が起こるのを予想し、変化を求めるのだ。いつ変化が起きるか本能的に感じ取り、それに適応する準備をするのだ。

・自分の好きなあらゆるチーズの山に囲まれた自分の姿を、細かいところまで思い描いた。好きなチーズをあれこれ食べているところも想像して、楽しんだ。こんなふうに多くのものを味わえたらどんなに愉快だろう。新しいチーズのイメージが明瞭になればなるほど、現実味を帯びてきて、きっと見つかるという気がした。

 

◯まとめ

①変化は起きる

 チーズは常に持って行かれ、消える。
②変化を予期せよ

 チーズが消えることに備えよ
③変化を探知せよ

 常にチーズの匂いを嗅いでいれば、古くなったのに気づく
④変化に素早く適応せよ

 古いチーズを早く諦めれば、それだけ早く新しいチーズを楽しむことができる
⑤変わろう

 チーズと一緒に前進しよう
⑥変化を楽しもう!

 冒険を十分に味わい、新しいチーズの味を楽しもう!
⑦進んで素早く変わり、再びそれを楽しもう

 チーズは常に持っていかれる。

 

 環境変化に直面した時、困難に直面した時、不安に駆り立てられた時、どういう行動を起こすか。人生のいろんな場面で出くわすこうした状況において取るべき大切な考え方がまとめられています。結局は行動し、変わり続ける。不安要素や壁があるのが普通で、それを乗り越えようと進んでいくのも普通の状態。100%満足、100%安心で止まっているといつかリスクが表面化するもの。考えさせられる1冊でした。

チーズはどこへ消えた?

チーズはどこへ消えた?

  • 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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