MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

「言葉」があなたの人生を決める(苫米地英人)

「言葉」があなたの人生を決める(苫米地英人)(◯)

  認知科学者であり計算機科学者という著者。コーチングの祖ルー・タイスの名著『アファメーション』の入門版がこちら。思考は言葉で成り立っており、どんな言葉を受け入れるかによって、選択や行動が決まる。アファメーションとは、あるルールに基づいてつくった言葉を自らに働きかけること。その簡単でシンプルなルールが示されています。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯人生のゴールを設定する(第1章)

・「成功」は他者評価の視点があるので、「成功」という言葉は使わず、「人生のゴールを達成する」と言っている。「人生のゴール」は漠然としたもので良い。

・ゴールは現状の延長線上では決して達成できないものでなければならない。ゴールは現状の外側に設定すること(今の自分とはかけ離れ、今の仕事や環境では考えつかないような突飛なゴール)。

・強い望みが先にあり、それが必要な能力の獲得という結果をもたらす。

 

◯あなたの人生を一変させる「言葉の法則」(第2章)

・ルー・対すが勧めるアファメーション

「私はもっと大きな人間になれる。もっと多くのことができる。もっと多くを手にすることができる。まずは自分のことから始めよう。自分に語りかけることで可能性を切り開こう」

・「何を達成するかは、ほとんどの場合、何を信じるかによって決まる」。ブリーフ(信念)を持っているか。ブリーフとは化学的に言えば、その人の前頭前野大脳辺縁系に作り上げられた認識のパターン。現状から抜け出したければ、ブリーフシステムを変えること。

・ブリーフシステムを変える方法

①人生のゴールを設定する

②ビジョンを描く

・ゴール設定がなされていない人やビジョンを描くことのできない人は、現状を照らし出すサーチライトしか持っていないのと同じ。現状の外側に人生のゴールを設定することは、新しいサーチライトを手に入れる最も簡単な方法。

・ビジョンとは、現状の外側にあるゴールを達成した将来に、その人が見ている自分と世界の姿のこと。「理想的な現状」を思い浮かべてもそれは決してビジョンにはならない。

・自由に、将来の自分の姿や、将来の自分が見ている世界を思い浮かべることから始める。ビジョンを描き、価値観をはっきりさせれば、「◯◯しなければならない」(have to)とは考えずに、常に「◯◯したい」(Want to)と思うようになる。人間は、「しなければならない」と考えると、それをしなくていい理由を潜在意識がいくらでも作り出す。

・「したい」に変える早道は、アティテュード(態度)を変えること。どんなアティテュードを獲得するかに意味はない。どんな方向でもいいので、とにかく変えてしまう。

 

◯自己イメージとブリーフシステムを変える方法(第3章)

・人間が選択と行動を行う際に働く思考

①意識的思考

②潜在意識

③創造的無意識(自己イメージと強く結びついた無意識)

→③が元の自己イメージの状態に戻るよう、その人に強烈に働きかける。これは、「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」の働きによる。

・自己イメージは、自分の内側から生成し、オリジナルの個性に基づいた変え難い自己像という理解は間違っている。過去に外部の人が発し、あなたが肯定した情報が、あなたのブリーフシステムを作っている。

・スコトーマ(盲点)は、思い込みが障害物になって、見えない範囲を作り出したことが原因。人間は、ブリーフシステムに従った物事だけを受け入れ、それ以外のことはシャットアウトしてしまう。そして、人はその人が見たい世界だけを生きている。

・何とかして人生のゴールを達成しようと思っても、あなたに見えている世界が昨日と同じであれば、どんなに努力したところで不満を解消することができない。人生のゴールを達成する具体的な方法は、今あなたが見ている現実世界にはなく、スコトーマがかかって今は見えていない現状の外側にある。現状で見ている方法を実行しても現状を抜け出す役に立たないどころか、現状維持を強めるばかり。

 

◯ゴールを脳にプログラミングする技術(第4章)

・目的的思考とは、目的論的なプロセスを使って前進し、なりたい自分になること。

・目的的思考を働かせるのは、①イメージ、②言葉、③情動

・目的的思考の8原則

①行動を起こす前に心の準備を整える

②イメージの中の現実を変える

③目標の設定は「そこまで」ではなく、「その次」を考える

 輪ゴムの原理が占めるように、ゴールが近づいてくると、ゴムの緊張は緩み、ゴールに引っ張る力は弱まる。ゴールの達成が見えてきたら、より遠いところに「その次」のゴールを設定してやる必要が生まれる。

④普通ではないことを普通にする

⑤機会を逃さず、自分に逃げ道を与えない

⑥自分の価値にふさわしいものを選ぶ

⑦ゴールに向かって成長する

⑧リソースについて心配しない

 

◯あなたをゴールへ導くメカニズム(第5章)

・自動的にゴールに辿り着くように潜在意識を働かせるためには、現状のコンフォートゾーンを、ゴール設定した時の将来のコンフォートゾーンにあげてやる必要がある。

・現状のコンフォートゾーンをゴールの世界に相応しいコンフォートゾーンに上げるために必要なのは、高いエフィカシーと強い臨場感。そしてアファメーションはこの2つのものを、誰もが簡単に獲得するための技術。

アファメーションで大切なのは、言葉、イメージ、情動。この3つを使ってエフィカシーを高め、ゴールの世界のコンフォートゾーンがいかに自分にとって相応しいものであるかを、自らに刷り込む。

・刷り込みのプロセス:創造力×臨場感=現実

アファメーションの11のルール

①個人的なものであること
②肯定的な表現のみを使い、肯定する対象のみを盛り込む
③「達成している」という内容にする
④現在進行形で書く
⑤決して比較をしない
⑥「動」を表す言葉を使う
⑦情動を表す言葉を使う
⑧記述の精度を高める
⑨バランスを取る
⑩リアルなものにする
⑪秘密にする

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