『夢の科学』(アラン・ホブソン)
魅力的なタイトルの一方、理解するのはちょっと難しい・・。そんな内容ですが、理解したいという意欲が高まる内容であり、そんな難しさとワクワクの相まった感覚があります。夢は不思議ですね。潜在意識にあることがふわーっと浮かんでくる。このトロールできそうでできない。すぐ忘れちゃう。いいことが浮かぶこともたくさんなるので、そんな時はすぐにメモるようにしています。セミナーのコンテンツも結構寝ているときに降りてきます。不思議不思議!!
(印象に残ったところ・・本書より)
◯繰り返し見る夢
・多くの人が「同じ夢を繰り返してみる」。
・「繰り返す」のは、”内容”ではなく、夢の中での知覚・認識・感情の質、つまり夢の”形”のこと。
・夢は視覚性であると同時に情動的である。中でも高揚感、怒り、不安といった情動が多い。繰り返されるのは、情動によって作られるテーマ。
◯夢判断から科学へ
・夢が奇妙で非論理的なのは、”いつ・どこ・誰”などの見当識を欠いているから。思考についてはどうかというと、夢を見ているときの働きは抑制されていて、たとえ働いているにしてもかなり鈍いことがわかっている。
・記憶の種類
①エピソード記憶:体験したことの記憶
②意味記憶:特別な時間や場所と関連のない一般的な事実の記憶
③手続き記憶:技能習得に関わる記憶
・観念連合
記憶というのは類似した事・物・人・考えなどに基づいて整理され、内容的にもカテゴリーごとにまとめられている。
◯睡眠中の脳の活性化
・ほとんどの夢は静かな眠りのもとで、脳の活性化という、本来、誰にでも備わっているメカニズムが毎晩作動する結果起きていることがわかってきた。
・眠りに入ると例外なく脳波はゆっくり(周波数が減る)となり、大きな振幅を見せ始める。この変化は、ノンレム睡眠と呼んでいる睡眠の特徴。
・”夢”と言えるほどの長さと内容を持った夢を見るには、レム睡眠が最適で、ノンレム睡眠ではよくてその半分、さらに入眠期ではノンレム睡眠以下であることが実証されている。レム睡眠に見られる脳状態のいくつかの要素が、他の睡眠期にも備わっていれば、それだけ夢を見る確率は増す。この夢と睡眠相との関係は、夢の”形”を分析することによって心理学的にも説明できる。
・夢の”形”の研究とは、「何を見たか」ではなく「幻覚はどの程度だったか」「何を考えたか」ではなく、「思考はどの程度だったか」を探ること。
◯夢みる脳の分子生物学
・脳は睡眠中に自動的に活性化されうる。
・「脳は外部からの感覚刺激によってのみ活性化される」
・一部の非常に原始的な種類を除くほぼ全ての哺乳動物で、睡眠中に脳が活性化されることが確かめられている。
・夢というのは、脳がある程度持続して電気的に活性化されることで生じる精神状態であると同時に、興奮やある種の強い情動を引き起こす時に特有の”喚起刺激”からなる精神状態であることも考えられる。
◯夢の役割
・夢は付随現象である。夢には特にこれといった役などない。身もふたもないが、科学的には十分批判に耐えうる見解である。
・夢は往々にして強い情動を伴い、また心理学で過連想ともいうくらい連想性が強い。夢を見ている脳は、アミン作動性物質ではなくコリン作動性物質で活性化されている。これによって重要な機能がリフレッシュされるのだと考えられる。
夢の役割がこれといってないと言われると、ちょっと残念な気もしますが、まぁそんなもんなんですかね。レム睡眠状態であるかどうかを見極めるのに夢を見たかどうかでチェックするという方法が試せそうなので、「今何を考え、感じているか」「眠りは深いか」。この点の目安にしていきたいと思います。
夢の科学―そのとき脳は何をしているのか? (ブルーバックス)
- 作者: アラン・ホブソン,冬樹純子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/12/21
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (14件) を見る