『内なる宇宙の発見』(OSHO)
20世紀のインドの思想家OSHOによる講話集。タントラ秘宝の書10冊シリーズの第1巻です。「宇宙」って聞くだけで怪しそう!って私も思うくらいなので、もう少し噛み砕くと、無意識的でも意識的でもない世界。ただ在ること。存在そのものって感じでしょうか。そうした感覚に至るための考え方や瞑想方法が紹介されています。「それの何がいいの?」と言えば、ありのままを受け止められる心の安定や自分の軌道修正に使えるかなと思います。どうしても日常は外部環境に左右され、ありのままには生きにくい世の中ですからね。自分の調子が整うと、周りへの影響も変わり、自分の捉え方も変わり、それが幸福感や豊かさをより感じることにつながるのではないかと思います。
【本書の学び】
①タントラとヨガはともに技法だがまったく別物。タントラはあるがままに受け入れるが、ヨガは欲を抑えて闘う。
②微細なものには力がある。原子や愛。例えばキスをしたとしても愛を感じなければ単なる肉体的な感触でしかない。愛はもっと深いところにある。
③第三の目に焦点を合わせると観照者となる。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯技法①:二つの息の隙間を観察する
・「光り輝く者よ、この体験は二つの呼吸の間に起こる。息が入った後(息が下降した後)、息が出る直前(息が上昇する直前)、そこに賜物がある」(シヴァ)
・息が出る前、息が上向きに変わる前、一瞬の間、ある一点において呼吸は止まる。
・その呼吸をしていない瞬間、この世界にはいない。真理を知るということは、生まれも死にもしないものを知ることであり、変わることのない永遠の原理を知ること。あなたは出て行く息や入ってくる息なら知っているが、その二つの間にある隙間のことは知らない。
◯技法②:二つの息の転回点を見守る
・「息が下降から上昇に転じるとき、そして息が上昇から下降に転じるとき、この両方の展開を通じ覚れ」
・マニュアル車のギアと同じ。いつでもニュートラルを通る。息を吸う時と吐く時の間にニュートラルを通る。そのニュートラルギアが転回点。
・観察とは、言葉なく、言語化なく、マインドの中でつぶやくことなく、ひたすらそれとともにとどまること。
◯技法③:二つの息のつなぎ目を見守る
・「あるいは、入息と出息が融け合うその瞬間。そのエネルギーなき中心。エネルギーに満ちた中心に触れよ」
・息はあなたと身体の架け橋。
・なぜ成長するに従って呼吸が浅くなるのか。我々の呼吸は腹までいかない。臍に触れない。呼吸は胸にちょっと触れただけで出ていく。中心までは届かない。
◯技法④:息が止まる瞬間に気づく
・「あるいは、息がすべて出終わり、ひとりでに止まるとき、あるいは息がすべて入り終わり、止まるとき、そのような全休止において、人の小さな自己は消え去る。これが難しいのは不純なもののみ。
◯技法⑤:第三の目に注意を集中する
・「眉間に意識を集中し、マインドを思考の前に置く。息の精気をもって身体を満たす。頭頂部まで。そしてここから、光として降り注がせる」
・両目の間には第三の目が存在しているが、それは機能していない。それはそこにあって、いつでも機能できる状態にある。だが自然には機能していない。
・目を閉じ、両目の焦点を両眉の真ん中に合わせる。閉じた目で、あたかも自分が両目で見ているように、その焦点を真ん中に合わせる。すべての注意をそこに向ける。この技法は注意を保つ技法のうちで最も簡単なもののひとつ。
◯技法⑥:普段の行動の中で隙間に集中する
・「日常生活の中で、二つの息の間に注意を保つ。それを実行していけば、数日のうちに生まれ変わる」
◯技法⑦:夢の中で覚醒するための技法
・「額の中央の不可触の息、それが眠りの瞬間にハートへと達するとき、眠りを支配し、そして死をも支配せよ」
・息の不可視な部分を感じる最も容易な方法は、第三の目に中心を合わせること。息の不可視な部分が感じられれば、6ヶ月前から自分の死がわかるようになる。息の内容物、つまりプラーナの流入を見ることができる者は、その流れの逆転をすぐさま察知することができる。
◯技法⑧:献身とともに、ふたつの息の転回点を見守る
・「最大限の献身とともに、息の二つの継ぎ目に中心を合わせ、そして知る者を知る」
・入息と出息の転回点のわずかな違いに気づく。「最大の献身とともに」が付加されただけで技法全体が違ったものになる。
◯技法⑨:死んだように横たわる、まばたきすることなく凝視する、何かを吸い「吸うこと」そのものになる。
・1)死んだように横たわる、2)激しく怒り、そのまま止まる、3)あるいはまつげを動かすことなく凝視する、4)あるいは何かを吸い、そして「吸うこと」そのものになる
・クリシュナムルティの技法は、ただこの一つに基づいている。激しく怒り、そのままとどまる。怒っているなら、そのときは怒る。怒りの中にとどまる。決して動かない。そのようにとどまることができたら、怒りは消え去り、きっとあなたは別人となって現れるだろう。
このほか、くつろぎの技法として、⑩愛撫そのものになる、⑪諸感覚を閉じ石のようになる、⑫自分自身を無重力にする、が紹介されています。
瞑想をやったことがない人には、わかりにくいところが多いかと思いますが、「呼吸」は今ここに気づくための最も簡単な方法。呼吸に気づけは、思考・感覚に気づくことができ、周りのことではなく自分のことに気づく。そして、次の行動をとる。ありのままを感じることは主体的に、能動的に生きる基本でもあります。呼吸に意識を向けることで、いかに普段、思考が未来や過去に行ってしまっていて、今ここを生きてはいないことに気づくと思います。これは、永続する幸福感とも繋がりが深い部分でもあり、大切にしたい部分です。この文書を書いている今も「今ここ、呼吸」です。
内なる宇宙の発見―ヴィギャン・バイラヴ・タントラ (タントラ秘法の書)
- 作者: OSHO
- 出版社/メーカー: 市民出版社
- 発売日: 2015/10/01
- メディア: 単行本
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