MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

原始仏典 中部教典I(第4巻)(監修:中村元)

『原始仏典 中部教典I(第4巻)』(監修:中村元)(◯)

 シリーズ4冊目は、630ページとちょっと大変でしたが、GW期間ということもあり、3日目で到達いたしました。中部教典(本書は1〜40までの40経典が収録)に入り、若干一つひとつの経典が短くなったのですが、引き続き、物語(エピソード)を通して、学ぶところが多くあります。特に、「何を捨てるか」という点にスポットを当てて、記録を残したいと思います。断捨離もそうですが、捨てること、削ることによって、入ってくるものの種類も質も変わってくると思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯削りとる(第8経「削減経」より)

・脳害しない者となろう

・生き物を殺すことから離れた者となろう

・与えられていない物を取る(盗む)ことから離れた者となろう

・清らかな行為を行う者となろう

・嘘をつくことから離れた者となろう

・中傷のことばを離れた者となろう

・粗暴なことばから離れた者となろう

・飾りの駄弁を離れた者となろう

・食欲のない者となろう

・瞋(いか)りのない者となろう

・正しい見解を持つ者となろう

・正しい言葉を述べる者となろう

・正しい業務を行う者となろう

・正しい生活をする者となろう

・正しくはげむ者となろう

・正しい思念を持つ者となろう

・正しい精神統一をする者となろう

・正しい智を持つ者となろう

・正しい解脱者となろう

・沈うつと眠気を離れた者となろう

・浮つかない者となろう

・疑いを越え渡った者となろう

・怒らない者となろう

・恨みを持たない者となろう

・覆い隠さない者となろう

・悩まさない者となろう

・嫉妬のない者となろう

・物惜しみをしない者となろう

・狡猾でない者となろう

・誑(たぶら)かさない者となろう

・強情でない者となろう

・過度の慢心のない者となろう

・ことばに容易な者となろう

・善い友をもつ者となろう

・放逸のない者となろう

・信ある者となろう

・慚心ある者となろう

・愧(き)心ある者となろう

・聞くことの多い(博識の、他聞の)者となろう

・精進に励む者となろう

・思念が現れ起こる者となろう

智慧を備えた者となろう

・自分の見解に執著せず、自分の立場に固執せず、よく捨てる者となろう

 

◯正しく見る(第9経「正見経」より)

(なにが不全か)

・生き物を殺すことは不善である。

・与えられない物を取る(盗む)ことは不善である。

・もろもろの欲望にかかわる邪な行いは不善である。

・嘘をつくことは不善である。

・両舌のことばは不善である。

・粗暴なことばは不善である。

・飾りの駄弁は不善である。

・貪欲は不善である。

・瞋(いか)りは不善である。

・邪悪な見方は不善である。

 

(なにが不善の根か)

・貪りは不善の根である。

・瞋(いか)りは不善の根である。

・癡(おろ)かさは不善の根である。

 

(なにが善か)

・生き物を殺すことから離れるのは善である。

・与えられない物を取ることから離れるのは善である。

・もろもろの欲望にかかわる邪悪な行いから離れるのは善である。

・嘘をつくことから離れるのは善である。

・両舌のことばから離れるのは善である。

・粗暴なことばから離れるのは善である。

・飾りの駄弁から離れるのは善である。

・無どんよくは善である。

・瞋(いか)りがないのは善である。

・正しく見るのは善である。

 

(善の根本)

・貪りがないのは善の根である。

・瞋(いか)りがないのは善の根である。

・癡(おろ)かさがないのは善の根である。

 

(四食)

・なにが食なのか。なにが食の生起(因)か。なにが食の消滅か。なにが食の消滅におもむく実践修行なのか。粗大な物や微細な物で、丸めて作る食が「第一食」、接触が「第二食」、意思が「第三食」、識別知が「第四食」。

・聖なる八支の道だけが食の消滅におもむく実践修行である。すなわちそれは、①正しい見解、②正しい思惟、③正しいことば、④正しい業務、⑤正しい生活、⑥正しい精進、⑦正しい思念、⑧正しい精神統一。

 

四諦

・苦を知り、苦の生起を知り、苦の消滅を知り、苦の消滅におもむく実践修行を知るならば、正しく見る者であり、見方は真直に行き、法に対して絶対の浄信をそなえ、この正法に通じた者である。

・生まれも苦、老いも苦、病気も苦、死も苦である。愁い、悲しみ、苦痛、憂い、悩みも苦である。およそ求めているのに得ないと、それも苦である。簡単に言えば、五取薀(取著する色・受・想・行・識)は苦である。これが苦と言われる。

・なにが苦の生起か。およそこの渇愛があり、それは再生するものであり、喜びと欲情をともない、それぞれに大きな喜びを持つものである。つまりそれは欲望の渇愛、生存の渇愛、虚無の渇愛であり、これが苦の生起と言われれる。

・なにが苦の消滅か。それはその渇愛そのものの余すことなき離別・消滅であり、捨であり、放棄、解脱、無執著である。これが苦の消滅といわれる。

・苦の消滅におもむく実践修行は何か。この聖なる八支の道こそが苦の消滅におもむく実践修行である。すなわち、それは、①正しい見解、②正しい思惟、③正しいことば、④正しい業務、⑤正しい生活、⑥正しい精進、⑦正しい思念、⑧正しい精神統一である。

・このように苦を知り、苦の生起を知り、苦の消滅を知り、苦の消滅におもむく道を知るならば、かれはあらゆる潜在する欲情を捨て、潜在する瞋りを除去して「私はある」という見方に潜在する自負心を根絶し、無明を捨てて明智を起こし、もう現在のままで苦の終わりを作るものである。

 

 ここでは、四諦(苦に関する4つのこと)、八正道(苦の消滅に至る8つの実践項目)について書かれています。この部分だけで、日常に置き換えて考えてみても、考えることが盛り沢山です。原始仏典の随所に登場する考え方でもあるので、本書ではまずはここから。

原始仏典〈第4巻〉中部経典1

原始仏典〈第4巻〉中部経典1

  • 発売日: 2004/07/01
  • メディア: 単行本
 

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