『原始仏典 長部教典II(第2巻)』(監修:中村元)①(◯)
原始仏典19冊シリーズの2冊目。2冊目も464ページとボリュームがあり、時間がかかりました。第14経〜23経までの10経典。理解ができなくてもまずは読み進めようという1周目なので、とにかく前へ前へ。物語のように読みやすいものが多いので、意外にスッと読めてしまいます。真意を考え出すと進めない局面もありますが、そうやって考えることが大切なんだなと感じます。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ヴィパッシンの成道(縁起を悟る)『大本経』より
①「いったい何があるとき、老いること、死ぬことがあるのか。何を成立条件(縁)として、老いること、死ぬことがあるのか」
⇨「生まれること(生)があるとき、老いること、死ぬことがある。生まれることを成立条件として、老いること、死ぬことがある」
②「いったい何があるとき、生存があるのか。何を成立条件として、生存があるのか」
⇨「執着(取)があるとき、生存がある。執着を成立条件として、生存がある」
③「いったい何があるとき、執着があるのか。何を成立条件として、執着があるのか」
⇨「渇愛(愛)があるとき、執着がある。渇愛を成立条件として、執着がある」
④「いったい何があるとき、渇愛があるのか。何を成立条件として、渇愛があるのか」
⇨「感受(受)があるとき、渇愛がある。感受を成立条件として、渇愛がある」
⑤「いったい何があるとき、感受があるのか。何を成立条件として、感受があるのか」
⇨「接触(触)があるとき、感受がある。接触を成立条件として、感受がある」
⑥「いったい何があるとき、接触があるのか。何を成立条件として、接触があるのか」
⇨「六つの領域(六処)があるとき、接触がある。六つの領域を成立条件として、接触がある」
⑦「いったい何があるとき、六つの領域があるのか。何を成立条件として、六つの領域があるのか」
⇨「名称と形態(名色)があるとき、六つの領域がある。名称と形態を成立条件として、六つの領域がある」
⑧「いったい何があるとき、名称と形態があるのか。何を成立条件として、名称と形態があるのか」
⇨「識別作用(識)があるとき、名称と形態がある。識別作用を成立条件として、名称と形態がある」
⑨「いったい何があるとき、識別作用があるのか。何を成立条件として、識別作用があるのか」
⇨「名称と形態があるとき、識別作用がある。名称と形態を成立条件として、識別作用がある」
■「この識別作用は、名称と形態から、再びきた方向に向かって転ずる。それより先にはいかない」
■「人が生まれ、老い、死に落ち、再生するであろう限り、すなわち、名称と形態を成立条件として識別作用が、識別作用を成立条件として名称と形態が、名称と形態を成立条件として六つの領域が、六つの領域を成立条件として接触が、接触を成立条件として感受が、感受を成立条件として渇愛が、渇愛を成立条件として執着が、執着を成立条件として生存が、生存を成立条件として生まれることが、生まれることを成立条件として老いること、死ぬことが、そして悲しみ・嘆き・苦しみ・憂鬱・いらだちが生ずる。こうして苦しみの複合体全部の生起がある」
⑩「何がないとき、老いること、死ぬことがないのか。何が止滅すると、老いること、死ぬことが止滅するのか」
⇨「生まれることがないとき、老いること、死ぬことがない。生まれることが止滅すると、老いること、死ぬことが止滅する」
⑪「何がないとき、生まれることがないのか。何が止滅すると、生まれることが止するのか」
⇨「生存がないとき、生まれることがない。生存が止滅すると、生まれることが止滅する」
⑫「何がないとき、生存がないのか。何が止滅すると、生存が止滅するのか」
⇨「執着がないとき、生存がない。執着が止滅すると、生存が止滅する」
⑬「何がないとき、執着がないのか。何が止滅すると、執着が止するのか」
⇨「渇愛がないとき、執着がない。渇愛が止滅すると、執着が止滅する」
⑭「何がないとき、渇愛がないのか。何が止滅すると、渇愛が止するのか」
⇨「感受がないとき、渇愛がない。感受が止滅すると、渇愛が止滅する」
⑮「何がないとき、感受がないのか。何が止滅すると、感受が止するのか」
⇨「接触がないとき、感受がない。接触が止滅すると、感受が止滅する」
⑯「何がないとき、接触がないのか。何が止滅すると、接触が止するのか」
⇨「六つの領域がないとき、接触がない。六つの領域が止滅すると、接触が止滅する」
⑰「何がないとき、六つの領域がないのか。何が止滅すると、六つの領域が止するのか」
⇨「名称と形態がないとき、六つの領域がない。名称と形態が止滅すると、六つの領域が止滅する」
⑱「何がないとき、名称と形態がないのか。何が止滅すると、名称と形態が止滅するのか」
⇨「識別作用がないとき、名称と形態がない。識別作用が止滅すると、名称と形態が止滅する」
⑲「何がないとき、識別作用がないのか。何が止滅すると、識別作用が止滅するのか」
⇨「名称と形態がないとき、識別作用がない。名称と形態が止滅すると、識別作用が止滅する」
■ヴィパッシン求道者はこう思った「悟りのための、真理観察によるこの道に、ついに私は到達した。すなわち、名称と形態が止滅すると識別作用が止滅し、識別作用が止滅すると六つの領域が止滅し、六つの領域が止滅すると接触が止滅し、接触が止滅すると感受が止滅し、感受が止滅すると渇愛が止滅し、渇愛が止滅すると執着が止滅し、執着が止滅すると生存が止滅し、生存が止滅すると生まれることが止滅し、生まれることが止滅すると、死ぬこと、そして悲しみ、嘆き、苦しみ、憂鬱、いらだちが止滅する。こうしてこの苦しみの複合体全部の止滅がある」
物事は循環している。その循環に気づき止めることができれば、苦をはじめとしたネガティブな感情は止められる。逆に言えば、ここには書かれていませんでしたが、楽に向かう循環も作れるということでしょうかね。