MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ゴミ人間(西野亮廣)

『ゴミ人間』(西野亮廣)(◯)

 映画「えんとつ町のプペル」の公開を2020年12月25日に控えた1週間前に発売された本書。発売日を楽しみにしていたので、当日すぐに買って読みました。これまでの著者の著書の中で最も想いが伝わってきた作品で、普段著者がどのようなことを感じながら今の状況を作り出されてきたのかがわかる良書だと感じました。クラウドファンディング支援総額国内最高(5億円)、オンラインサロン会員数国内最大(7万人)という結果に注目されますが、その過程では、「新しいことをする人を叩く」という変化を好まない文化があり、そうした社会の変化を肌で感じ、いろいろな思いを抱きながら現在の立場を築かれた著者には学ぶところが多く、「自分らしく生きる」ことについて改めて考えさせられる一冊でした。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯どこで結果を出すか?

・一番を目指すなら、競争に参加するのではなく、競争を作る側(ハード)にならないといけない。

・目的を達成するために何をするのか?ではなく、何をしたら確実に目的が達成できないのか?をリストアップする。

・報われる努力に巡り会えるかどうかは運が絡んでくるので、コントロールできないが、報われない努力を排除するには運が絡んでこないのでコントロール可能。

 

◯作品の育児放棄

・「作るだけ作って売ることは他人に任せています」というスタンスは、一見するとクリエイターのあるべき姿のようですが、実際のところは「育児放棄」。

 

◯商品と作品

・商品は、販売を目的として生産されたもので、作品は作者の思想を具現化したもの。

マーケティングを済ませた後に生産されたものが商品で、生産された後にマーケティングによって届けられるものが作品。

・いずれにしても、お客様に届かなければ意味がないので、マーケティングは必要不可欠。

 

◯買うもの、買わないもの

・買ったことがあるものと買ったことがないものを書き出してみると面白い答えが見えてくる。買ったことがあるものは、生きていく上で必要があるか否か。

・「おみやげ」は作品の姿形をしているが、実際のところは生きていく上で必要なもの。お茶や牛乳と一緒のカテゴリー。

 

◯ファン

・世界の理は、弱肉強食ではなく、適者生存。いつの世も、環境に適した者が残っていく。そんな中、変化することを認めない人たちをファンとして、その人たちのリクエストに応えてしまうと、時代の変化と共に全てが終わってしまう。

・顧客とファン、ファンだった人を明確に区別する必要がある。

 

◯ルール

・いつの時代も、圧倒的オリジナルは「違うルール」から生まれる。世界を変えるには、ルールから変えなければならない。そこには大きな痛みが伴う。ルール変更を快く思わない人がいる。

 

◯リーダー

・たまたま一番前に並んでいたら、皆のせいでファーストペンギンになってしまった。

・リーダーの成り立ちもそれとよく似ている。

・全員の意見に耳を傾けて、最後は独裁する。

・正解を選ぶのではなく、選んだ道を正解にする。

 

  本書を読みながら感じたことは、ノウハウやまとめ・ポイントといったところの表面ではなく、その考え方が生まれた背景、著者の思いを感じることに意味があると思います。ポイントのまとめは表面的なものですので、気になった方は、本書を手に取ってみてください。

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