MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

考える術(藤原麻里菜)

『考える術』(藤原麻里菜)(◯)

 ムダな物を作るをテーマにしているYouTuberによるアイデア発想法。そもそも、「ムダ作り」という発想からして普通じゃない感じです(実際にYouTubeを見てみると、その普通じゃない感がさらに増します)。では、そのムダ作り意味あるの?という疑問。そこは表面的なものに過ぎず、そのムダかも?と思う発想法がヒントになり商品化される可能性もあり、まぁ他の人が考えなさそうなことを考えるところにチャンスがあるのではないか?という逆張り発想のおもしろい一冊です。

 中でも、実際あったらいいなと思ったのが「オンライン飲み会脱出装置」。オンライン飲み会(オンラインセミナーも含む)は、「抜けたいけど抜けられない」ということがあると思いますが、画面をフリーズさせたように見せて、そのまま退出しちゃう(他の参加者には「電波悪いのかな?」という印象でサラッと終わってしまう)。ちょっと面白くて、ナイスアイデア!というものも、普段から制約・常識感というものにとらわれない発想が大切だなぁと思います。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯単語を合体させる

・ゼロから作るよりも、組み合わせを考える方が簡単。

・組み合わせは、深く考えず、即興で。ランダムに言葉を組み合わせて、タイトルを作る。「それはどんなものか?」と想像を膨らせることで、シュールなイメージが、形のあるアイデアに変化する。

(例)椅子カバン、萌えキャラスポーツ祭り、猫楽器

 

◯「使い道」を考える

・「それはどんなものか?」「どういうときに使えるものか?」「それがあると、誰がどんな感情を抱くか?」

・単語を合体させてタイトルをつけたものに、役割や意味をつける

(例)①料理ふでばこ:キッチンの道具がコンパクトにまとめられるふでばこ。

②拳銃楽器:拳銃を楽器としてリメイク。暴力反対や世界平和を訴えられる。

 

◯逆を考える

・逆を考えると常識を簡単に壊すことができる。

・「GAX Umbrella」という傘は、雨の水滴がつく面が内側になるように閉じることで、濡れた傘を持って周りの迷惑になることがなくなるという商品。

(例)前リュック:満員電車でリュックを後ろから前に持ち帰る必要なし。財布が取り出しやすい。スリに会いにくい。

 

◯主語を変える

・「主役を誰にするか」をスライドさせていくことで、無数に思いつくことができる。

・主語のディテールを細かくしていくことで、よりニッチなアイディアにすることができる。

・「美しい人のコンテスト」ではなく、「美しくご飯を食べる人コンテスト」、「美しい靴下の履き方コンテスト」など。

 

◯「ストレス」から考える

・シチュエーションや何にまつわるストレスかを限定すると考えやすくなる。

・「通勤のストレス」

⇨満員電車でハンドバッグの角が脇に当たる。改札を通るときにICカードの残高が足りるか不安になる。電車の座席に丸まったティッシュが置いてあると座りにくくなる。

・社会の多数と自分の共通項が多いほど、多くの人に刺さるアイディアが作りやすい。

 

◯ストレスを増やす

・イヤホンコードが絡まないように、コードを綺麗に負けるアクセサリーがあるが、逆にコードを絡ませるマシーンを作った。マシーンの中にイヤホンを入れて、スイッチを押すと、数秒間マシーンが動き、止まった頃には中のイヤホンがぐちゃぐちゃに絡み合っているというもの。

・日常のストレスを解決するのではなく、増やすという視点で考えることで、例えば、「爆音の目覚まし時計」、遊び、ゲーム、エンタメとしての罰ゲームなどに役立つ。

・解決と正反対のことを考えるのは、アイディアに別の意味や価値を生む。

 

◯「身近なもの」で考える

・「無理だ」と考えを止めるのはもったいない。

・どこまでも妥協を受け入れれば、どんな壮大なよくでも身近なもので実現する。

・スーパーモデルが写真を撮るときに前から風を当てられて髪をなびかせるのをみるが、自宅で自撮りするときにドライヤーで代替できる。

・憧れの人と写真を撮りたい場合は、その人の写真を切り抜いてスマホのカメラの前に置いたら、遠近法で一緒にいるような写真が撮れる。

・ハリウッドデビューの夢はどうか?LINEの友達の名前を全部ハリウッドスターに変更してはどうか?と考えた。友達から LINEが来るたびに、自分がセレブの一員のように感じられる。

 

  本書は、アイデア発想法がたくさん紹介されていますので、楽しみながら読んで、あまり構えずに誰かと一緒に遊びながらアイデアを出していくような感じで取り組んでみるとおもしろいかなと思いました。

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