MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

心配ごとの9割は起こらない(升野俊明)

『心配ごとの9割は起こらない』(升野俊明)

 曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多数の書籍を執筆されている著者。本書タイトルの「心配ごとの9割は起こらない」は、『99.9%は幸せの素人』(星渉・前野隆司)において、心配事が実際に起こる可能性は13%(しかもそのうち8割は対処可能)、「降水確率13%で傘を持って出かけますか?」という内容と通じるところがあると思います。

 「ホントかな?」と思う方は、実際に心配事をノートやスマホのメモ機能に記録して、1ヶ月後にチェックしてみるといいと思います。私も実際にやってみましたが、心配事がそのまま生じたケースはほぼありません。「取り越し苦労」って言葉を思い出し、実感した瞬間でした。

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 本書は、禅の言葉を解説しながら、心を楽にする秘訣が散りばめられた一冊です。とても読みやすく、ちょっとゆったりしたいなぁという心境のときにおすすめの一冊です。

 

(備忘メモ)

◯「莫妄想」(妄想することなかれ)

・大切なのは妄想を減らすこと。妄想の根源的なものは「二項対立」の考え方。

・「禅ではどんなものも、どんな人も、他とは比べようがない「絶対」の存在とします。比較することをやめたら、妄想の9割は消えてなくなります。心はずっと軽くなります。

 

(活読:学びを深め実際に活用する)

◯二項対立の事例

・「生死」「勝負」「美醜」「貧富」「損得」「好き嫌い」という事例が紹介されています。

・これは他にもたくさんありあそう。

 「良い悪い」「優れている、劣っている」「優秀、優秀でない」「高評価、低評価」「頑張っている、頑張っていない」「楽しい、楽しくない」など、日常生活に二項対立的な考え方は溢れていると思います。

・これら二項対立は、すべて心が作り出しているもの。「それってホント?」って自問自答してみることも必要。

 

◯心は自然と二項対立的に考えてしまうもの

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・「二項対立」という観点では、田坂広志先生の『運気を引き寄せるリーダー七つの心得』の中で、次のようにおっしゃっています。

→「心の双極的性質」とは、二項対立の思考のことで、例えば、表面では、「絶対うまくいく!」と「ポジティブな想念」を抱いても、心のどこか無意識の世界では、「失敗するかもしれない」と、「ネガティブな想念」が生じる。心は、表面的な意識にかかわらず、逆のことを考えてしまう、天邪鬼のようなところがあります。

・そう考えると、二項対立という考え方は、割と自然な発想なんだろうと思います。大切なことは、気がついて、立ち止まり、改めて「二項対立」の両方を考えてみて、行動すること。

 

◯「二項対立」を意図的に使う

・どういうことかというと、自分の盲点を防ぐためにも、「絶対賛成!」と思ったら、「反対」の立場から考えてみる。「絶対」と思った時は、むしろ要注意で、「それってホント?」って自問自答するプロセスを挟んだ方が、対極的に物事が見れるのではないかと思います。

・意思決定を行うとき、あらゆる条件を検討することは難しいと思いますが、少なくとも、真反対の立場からの検討を1つ入れてみるだけで、俯瞰する力がつき、最初に思った「絶対賛成」という判断もさらに裏付けられて自信を持てたり、抜け漏れを検討したりと、アウトプットの質が高まっていくのだと感じています。

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