『RANGE』(デイビッド・エプスタイン)(◯)
知識の専門化に問題を提起する一冊。「1万時間の法則」で同じことを1万時間継続するとその道の専門になれる。変化の激しいこの時代、その専門領域自体がなくなったらどうしますか?専門特化が推奨される世界で、どうやって幅の広さや多様な経験や、分野横断的な思考を維持していけば良いのか、そのポイントをまとめた一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯少なく、幅広く練習する効果
・「訓練の幅の広さは、応用の幅の広さにつながる」
・多くの文脈で学べば学ぶほど、学習者は抽象的なモデルをより多く構築する。
・学習者は、これまでに見たことがない状況に知識を応用するのが上手くなる。これこそがクリエイティビティーの根幹。
・一般的な子供には600のルールが課されているのに対して、非常にクリエイティブな子供たちの家では、ルールは1つだけ。クリエイティブな子供の両親は、自分がしてほしくないことを子供達がやった時に、自分の意見を伝える。あらかじめ禁止しておくことはなく、制約も少ない。
◯速く学ぶか、ゆっくり学ぶか
・正しい答えを出させようと生徒にヒントを与えることは、賢明で便利な方法だ。しかし、この便利さが、幅広く活用できる概念を学ぼうとする時に裏目に出ることがある。
・「望ましい困難」にはいくつかあるが、そのうち一つは「生成効果」として知られている。自分一人で答えを出そうと「生成しよう」と奮闘することは、たとえ出した答えが間違っていても、その後の学びは強化される。
◯未経験のことについて考える方法
・早期教育や早期の専門特化がユーザーに酷い長期戦略であっても、それを売り込もうとする勢力が世の中に溢れている。あらゆることの中で最も重要な知識や見聞は、ゆっくりと身につける必要がある。その重要な知識とは、「そもそもあなたは何に取り組むべきなのか」「何があなたに合っているのか」。
◯いろいろな自分を試してみる
・コンピュータ科学者のポール・グレアムの高校卒業生へのスピーチより
「自分が何をしたいのかは、簡単にわかる気がします。でも、本当はとても難しい。その理由の一つは、仕事の正確な姿を知るのが難しいからです。(中略)私が過去10年間にしてきた仕事の大半は、高校生の頃には存在していませんでした。(中略)このような世の中で、計画をがっちり固めてしまうのは、賢明ではありません」
◯アウトサイダーの強み
・私たちは自分の業界で集めた情報を通じてものを見る傾向があり、そのために壁に突き当たってしまう。戻ったり、別の道を行こうと考えたりするのは難しい。
・心理学者は「アインシュテルング効果」と呼ばれる。問題を解決しようとするとき、人は自分がよく知っている方法に引きずられて、別のもっと優れた方法を無視してしまう。
私は、特に書籍選びの際に、意識的に新しいジャンル開拓を行いながら領域を広げるようにしています。あらゆる領域に広げることは難しいのかもしれませんが、インプットもアウトプットも、一歩広げるというより、ジャンプしてみることで、興味関心は後からついてくるのものだと思います。