『すべては1人から始まる』(トム・ニクソン)
これは簡単には理解できないぞという奥深さと可能性を感じました。本書は、トップダウン×ボトムアップの2つの力を創造的に活かす新しいリーダーシップである、ソース(創造の源)原理について解説した一冊。ソースとは、ビジョンの実現に尽力するために、自分をさらけ出してリスクを負いながらイニシアチブ(ビジョンの実現という目的に向けた継続的なプロセス)を立ち上げた人物のこと。何かが動き始める時には、源になる人がいる。共同創業であっても2人ではなくどちらか1人が最初の動き始めの源となっている。
第一部で「ソース原理とは何か?」が説明され、第二部でソース原理を日々の実践活かす視点がまとめられ、第三部ではマネーワークとして、特にお金に焦点をあてて自分のアイデンティティと向き合うことについて記載されています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ソースとは?
・ビジョンの実現に尽力するために、自分をさらけ出してリスクを負いながらイニシアチブ(ビジョンの実現という目的に向けた継続的なプロセス)を立ち上げた人物。
→まだ存在しない未来を思い描き、それを現実化する人間の素晴らしい力(創造力)を発揮する。
・ソースの役割は、1人の個人が、傷つくかもしれないリスクを負いながら、最初の一歩を生み出し、アイデアの実現を身を投じたとき、自然に生まれるもの。
◯ソース原理を創造活動に活かすプロセス
①ソースである自分から始める
②イニシアチブのソースを特定する
③ソースやサブソースとしての役割へ踏み込む
④フィールドマップを作る
⑤サブソースを支援する
⑥ソース原理を組織づくりと規模拡大に活かす
⑦ソースを継承するか、イニシアチブを閉じる
→①〜⑦のステップについて、本書で詳細に紹介されています。
◯イニシアチブ
・イニシアチブとは、何かのアイデアを実現するプロセスのこと
・アイデアとは違い、イニシアチブには始まり(物事を始めた時点)がある。
・どれほど共同創業者たちが親密な関係であったとしても、ひとつのイニシアチブには1人のソースしか存在しない。
・ソース役が適切な継承プロセスを踏まずに去ってしまった場合、イニシアチブはありがちな形で崩壊してしまう可能性がある。
・イニシアチブの未来像に関しては、ソースだけが向き合えるポジションにある。
◯ソースの仕事
①全体としてどこまでが範囲で、どこからが範囲外になるのか、耳を傾けながらイニシアチブの境界を明確にしていく
②その境界を守ることで、イニシアチブの境界を明確にしていく
③イニシアチブ全体としての次のステップを感じ取り、判断し、行動する
④サブソースとクリエイティブ・フィールドを分かち合う
◯サブソース
・ソースがイニシアチブの立ち上げへと動き出すと、そのビジョンとエネルギーは磁石のように人を引きつけていく。そうして引きつけられた人の中には、自ずとビジョンの特定領域における責任を担う人も生まれてくる。そうした人を「サブソース」と呼ぶ。
・ソースと同じように、サブソースである人たちも、それぞれ個人としてのビジョンやエネルギーを持っている。しかし、彼らは自分で新しいイニシアチブを始めるというよりも、ソースの生み出すクリエイティブ・フィールドが自分のビジョンの一部または全部を実現するのに適した場所だと感じ取る。
物事は誰かが動き出したところから始まる。その動き出した1人に共感し支えるような形で人が集まってくる。最初の一人が目指した形を周りがサポートするようなイメージです。最初の動きを捉えること、最初の1人の思いを共有すること。ここから物事が動き出していくので、組織の中でその力学を捉え、組織がより有効に活動していく状態を作り出していく考え方なのだろうと理解しました。
帯で『ティール組織』の著者が「もし私が事前に知っていたら必ず『ティール組織』で紹介していた」とおっしゃっているように、組織開発や人材育成に関心のある方に参考になる内容だと思います。初めて『ティール組織』を読んだときのように、スッと理解できない難しさはありますが。