『やってのける』(ハイディ・グラント・ハルバーソン)(◯)
本書は、目標を達成するための取り組み方について、まとめられた一冊。著者は、社会心理学者で、モチベーションと目標達成分野の第一人者。強い意志力を使わなくても目標が達成できる取り組みの視点について、参考になる内容です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ゴールを固める(目的地を定める)
・具体的なはっきりとした目標に落とし込まなければ、願望は願望のまま。
・「ベストを尽くせ」は漠然とした言葉。
・「なぜ」を考えるとモチベーションを上げやすくなり、「何」を考えると難しい行動ができる。
・遠い将来のことを計画するときは「なぜ」(抽象)、近い将来のことを計画するときは「何」(具体)。
◯勝ちパターンを掴むには
・「獲得型」は称賛によってモチベーションを高め、困難に直面すると諦めやすくなる。
・「防御型」は批判によってモチベーションを高め、困難に直面しても簡単には諦めない。
・「あったらいい」資質や特徴は獲得型の考え。「なくてはならない」の方が防御型の考えと関連がある。
・獲得型の目標は究極的には愛情を得るためのもの。防御型の目標を追求するのは、究極的には自分の身を守るため。
・獲得型の人はリスクを好み、防御型の人は警戒を好む。
◯満足をもたらす3つの要素
①関係性:他者と深く結びつき、互いに尊重し合う関係を築きたいという欲求。
②有能感:周囲への影響力を持つことや、それによって何かを得ることに関わりがある。
③自立性:自由に関する欲求。
◯人を動かす科学
①「選択の感覚」を与える
目標と目標への到達手段を選ばせる選択の感覚は意欲を大いに高める
②「契約の力」を活用する
公に誓いを立てることでモチベーションが高まる
③適切な「引き金」を使う
言葉やモノなどが合図(引き金)となって無意識のうちに行動をとる
④「フレーミング」を利用する
習得型(成長を評価)、証明型(他者と比較)、獲得型(何かを得られる)、防御型(何かを失う)。課題を与える際に意識すると良い。
⑤「伝染の力」を使う
誰かが目標を追いかけている姿を目にすることで、強い引き金になる。
◯シンプルな計画を作る
①計画を作る
②「何」をするかを決める
③「時間」と「場所」を決める
④条件型計画を作成する
「〜のときは、〜する」「もし〜であれば〜する」
⑤障害物を明らかにする
◯少ない自制心でも動ける4つの方法
①一旦動き始めた物体はそのまま動き続けようとするという、物理学の法則に似た原則を利用する→「始める前にやめる」「初めから手をつけない」→ポテトチップスを一口食べて残りを我慢するより、最初から食べない。
②「なぜ」という理由を考える
③自制心が多く求められる目標を同時に2つ以上、追い求めようとしない。
④証明型(他者との比較)の思考や目標設定の活用
→適切な報酬を設定することで、動機づけが高まる。
本書を読むと、取り組みには枠組みのような型を知っているか知らないかで、成果も異なれば、プロセス(効率性)も異なってくることを感じます。より短い時間でより高い成果をあげたい。この贅沢なような、机上の理想論のような考えについて、実践の中でコツを掴むことができれば、いわゆる「複利の効果」が働いて、その後の成長速度が加速度的に増していくのだと思います。