MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ザ・ワーク(バイロン・ケイティ)

『ザ・ワーク』(バイロン・ケイティ)

 「人生を変える4つの質問」という副題が付いている本書。

 非常にシンプルなのが良い点です。人はそれぞれのものの見方があるので、それを問いによって考え直すことで、いろいろな気づきが生まれます。まさに、コーチングやカウンセリングで行われていること。よりシンプル化する方向で絞り込んでいけば、こういう形になるのかと、普段は「深め、広げる」方に意識が向いていたので、逆に絞り込む大切さを感じました。対話の事例もたくさん掲載されているのですが、事例を読んでいても、シンプルな問いで十分効果があることを実感します。大切なことはシンプルなのかも!と改めて考える機会にもなりました。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯「4つの質問」と「置き換え」の基本

(例)「彼は私を大切にしていない」

・4つの質問

①それは本当でしょうか?

→「はい」であれば②へ、「いいえ」であれば③へ進む。

②その加賀絵が本当であると、絶対言い切れますか?

③そう考える時、(あなたは)どのように反応しますか?

④その考えがなければ、(あなたは)どうなりますか?

 

・置き換え

①「内容を反対」に置き換える

(例)彼は私を大切にしている

②「主語」を置き換える

(例)私は彼を大切にしていない

③「自分自身」に置き換える

(例)私は私を大切にしていない

 

◯ワークの基本的な考え方

①自分の考えが現実と闘っていることに気づく

②自分自身の領域にとどまる

③自分の考えを理解する

④自分のストーリーに気づく

⑤苦しみの背景にある考えをつきとめる

⑥問いかけ(探求)

 

ジャッジメント・ワークシート

・あなたがまだ100%許していない誰かのことについて、空欄に簡潔に記入する。その状況が今、起きているかのように、怒りや痛みをフルに味わうようにする。この機会に、自分が誰かや何かについて裁いている考えを紙に表現してみる。

①誰について怒りを感じたり、混乱したり、悲しかったり、失望しますか?それはなぜですか?あなたが好きではないのは、どんな点ですか?

私は「◯◯」に対して、「・・・」。なぜなら「・・・・・・」。

②あなたはその人にどのように変わって欲しいですか?何をして欲しいですか?

私は「◯◯」に「・・・・・・」。

③その人がすべき(あるべき)こと、すべき(あるべき)でないことは何ですか?考え(感じ)るべきこと、べきでないことは何ですか?あなたは、どのようなアドバイスをしますか?

「◯◯」は、「・・・」すべきである/すべきではない。「・・・・・・」。

④あなたが幸福になるために、その人はどうする必要がありますか?

私は、「◯◯」に「・・・・・・」してもらう必要がある。

⑤その人のことをどう思いますか?リストアップしてください。

「◯◯」は、「・・・・・・」。

⑥その人との間で、二度と体験したくないことは、何ですか?

私は二度と「・・・・・・」。

 

 コーチングセッションに取り組み初めて7年目に入りました。毎回セッションは生き物で、予測不能、そしてその時の流れに乗りながら質問させていただいています。本書のように、「基本質問」を持っておくことの大切さを感じます。それにしても、「問いの効果」「問われる効果」というものがあり、「良い問い」を立てることができると、素晴らしい貢献ができるなぁと思います。そのための訓練は、どうやっているのだろうという次の興味が湧いてきました。