MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

プロカウンセラーが教える1on1コミュニケーション入門(編著:諸富祥彦、著:島田友和、青木美帆)

『プロカウンセラーが教える1on1コミュニケーション入門』(編著:諸富祥彦、著:島田友和、青木美帆)(◯)

 

 これまでに読んだ1on1の書籍で一番良かった一冊。職場における1on1コミュニケーションの実践、理論、事例がバランスよく書かれており、「あるある!」という共感と「どうすれば良いか」というハウツーが学べます。現場で1on1を実践する前にざっと目を通したり、振り返る際の参考として1on1の要点を確認するなど、実践で使いやすい内容になっています。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯部下の話を聞く「3つの条件」

①受容

②共感

③一致

 

◯まずは、この「4つのテクニック」から始めよう

①説教したいのをグッと我慢する

②「あなたはどうしたいのかな」と尋ねる

③「そうか」「うんうん・・」と、うなずきとあいづちだけで黙って1分聴く。それ以外は言わない。

④「そうか。あなたならできると思う」と信頼と期待を伝える

 

◯1on1「11のメソッド」

①「心理的安全性」で不安をゼロにする

②「4つの動機」でモチベーションを高める

1)達成欲求(自分で設定した目標を達成したい)

2)親和欲求(他者から良く見られたい)

3)権力欲求(他人に影響力を与えコントロールしたい)

4)回避欲求(失敗や批判を避けたい)

③「自己開示」で心理的距離感を縮める

④「学習性無力感」を克服して限界を知る

⑤「課題の分離」で問題点をシンプルにする

→それは誰の課題か?

⑥「12の禁句」でモチベーションを下げない

1)命令、指示

2)注意、脅迫

3)説教

4)忠告、解決策の提示

5)講義、論理の展開

6)批判、避難

7)(やみくもな)称賛、同意

8)悪口、馬鹿にする

9)分析、診断

10)激励、同情

11)質問、尋問

12)中止、注意を他へそらす

⑦「NVC」(ノンバーバル<非言語>コミュニケーション)で悪循環をストップする

⑧「ストレスマネジメント」で心の状態を知る

⑨「アンガーマネジメント」で心の限界を知る

⑩「アンガーマネジメント」で感情に呑み込まれないようにする

⑪「ピグマリオン効果」で相手の能力を引き出す

◯実践1on1「16のスキル」

①自分の「聴き方」をチェックする

1)話を否定することが多い

2)話を奪ってしまうことがある

3)感情に寄り添えない

4)アドバイスが好き

5)沈黙が苦手

6)話に関心がない

7)決めつける

8)議論が好き

9)違いを理解できない

10)結論や根拠が好き

→ビジネス会話は結論と根拠をわかりやすく、理路整然と、テンポ良く話すことが求められるが、1on1はその反対
②「安心して話せる人」になる
③「心の状態」をクリアにする
④「心の声」を聴く
⑤「おもてなし」する気持ちを持つ
⑥「相手のキーワード」を繰り返す
⑦「あなたの味方」という姿勢で接する
⑧「いいね!」で承認欲求を満たす
⑨「伝え返し」で相手の心を言語化する
⑩「2つのクエスチョン」で聞きやすい空気をつくる
⑪「3つのシンプルな質問」で気づきを引き出す

1)具体化する

「具体的には?」「もうちょっと教えて?」「たとえば?」

2)広げる

「それから?」「他には?」

3)まとめる

「一番大事なことは?」「話してみてどうですか?」「一番言いたいことは言えた?」


⑫「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」で解決策を引き出す

1)ミラクルクエスチョン

「奇跡が起きて、問題がすべて解決していたとしたらどんな状態ですか?」

2)例外探しの質問

3)スケーリング・クエスチョン

「一番いい時を10点、最悪を0点として、今何点ですか?」

「1点上げるためにどんなことができそう?」

4)サバイバルクエスチョン

「一番大変だった時に、どのようにやって来られましたか?」

5)タイムマシーンクエスチョン

「◯年後の自分はどうなっていますか?」

6)アウトカムクエスチョン

「この状態がどうなるといいですか?」
⑬「GROWモデル」で解決策をリストアップする

1)Goal「どうなりたいか?」

2)Reality「現実は?」

3)Options「そうなるために、できることはあるか?」

4)Will「どうしたい?」

⑭「アサーション」でお互いの立場を尊重する
⑮「Iメッセージ」「Youメッセージ」で感じたことを伝える
⑯「DESC法」(事実、気持ち、提案、代替案)で伝えたいことを整理する