『永久の哲学2〜ピュタゴラスの黄金詩〜』(OSHO)
ピュタゴラスといえば、ピタゴラスイッチ?ギリシアの宗教家、数学者、哲学者で、哲学者を名乗った最初の人。輪廻転生から解脱を得るため、特別の戒律を守る新宗教の一派を主宰し、南イタリアで活動したそうです。このピュタゴラスの思想を、20世紀のインドを代表する思想家OSHOが上下巻約800ページのボリュームで講話したものがまとめられた一冊。ピュタゴラスが遺した詩句の解説とQ&A形式といういうものOSHO本スタイルです。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ピュタゴラスの詩句3(テーマ:中庸)
「耳をすませなさい。そしてあなたのハートに私の言葉を刻み込ませること。偏見に対しては、目と耳の両方を閉ざしなさい。他人の例を恐れ、あなた自身で考えること。相談し、熟慮し、そして自由に選びなさい。愚か者には、漫然と理由なく、なすがままにさせておくこと。あなたは、今、未来に観照すること。自分が知らないのに知っているふりをしないように。自分に言い聞かせなさい。時と忍耐があらゆる恩寵(恵み)を与えるのだと健康をなおざりにしないこと。節制を緩めなさい。体には食物を。マインドには休息を。注目の過多、あるいは慎みの過小。羨望にかられ、両極端に走るのは執着と変わらない。贅沢と食欲には同様の結果あり。どんな物事においても、公正にして正当なる中庸を選ぶこと」
◯詩句3の解説より
・聞くというのは、とても表面的。あなたには耳があるから聞くことができる。それだけだ。あなたが注意深く聞く時、それが耳を澄ますということ。聞くというのはただ物理的なこと。あなたの魂も伴っていたら、それは耳を澄ますという事になる。耳を澄ますとは理解する事。真実にはどんな証明もいらない。真実はそれ自体が証拠だ。必要なのは、耳を澄まして聴く能力だけだ。
・先入観にとらわれている時、既に前もって何かを決めてしまっている時は、実に偏った聴き方になる。自分の先入観を支持するようなことしか、耳に入らない。自分の先入観に反することを聞く耳は持たない。それが人々の聞き方であり、ものの見方だ。見ることでさえ先入観にとらわれている。あなたは見たいものだけを見る。そして聞きたいことのみを聞く。その時、あなたは先入観に従って解釈し続ける。
◯ピュタゴラスの詩句4(テーマ:光明)
「何をなおざりにし、何を為したか。これを自問する事なく、決して疲れた目を、眠気で閉じさせないように。目覚めの瞬間、自分の勤めは何なのか、何を成し遂げるべきなのかを、静かに熟考しなさい。悪きことは断ち、善きことはたゆまず行うこと。瞑想し、愛し、私の助言に従いなさい。そうすれば、私の助言がいかにして神の美徳へ導くかを知るだろう。我らが胸の中の「聖なるテトラッド」無限かつ純粋、自然の源にして神の原型たる象徴。これを刻んだ者によって、私は誓う。しかし全てに先立ち、その魂を忠実な義務へと向けなさい。情熱を持って神々に祈り、加護を求めなさい。あなたの努力は始まろうとも、独りでは終わらせることもできない。神に教えを受けたのなら、何事もあなたを欺くことはできない。異質な存在の本質を見抜き、原理とすべての終わりを、あなたは知る。もし天が望めば、あなたが万有を知る。それは同様にして全ての中に、至る所に同じくある。このために真の権利が光明を得た時に限り、あなたの心はもはや無益なる欲望に生きることはない。人を飲み込む悪を、あなたは見るだろう。あなたの選択することは、その報いとなる。
◯詩句4の解説より
・ゆっくりと、瞑想的に、その日一日で自分が何を為し、何を為さなかったのかを見続けていく。やり残したことは何か、不完全なままになっているものは何か。それをせめて想像の中だけでも完全なものとする。何か悪いことをしてしまったのなら、せめてそれを、想像の中だけでも正しいものとしなさい。やり損ねたこと、なおざりにしたことが何かあったら、少なくとも想像の中だけでもそれを完全なものとしなさい。そうすれば、驚くべき事に、セラピーは一切要らなくなる。毎日一切のゴミとの関係が切れるからだ。それによって事は正される。
・早朝の、まだマインドが入り込んでいない時のことを観察したことはあるか?マインドが機能するには数秒かかる。自分が起きたと気づいたらすぐ、内側を見なさい。全てのものが静まりかえっている。そして数秒、二、三秒のうちにマインドは目を覚まし、働き始める。それが起こる前の静止の瞬間、その瞑想的瞬間に、これから生きるその日のヴィジョンを持つことは有用だ。
ここでは書ききれませんが、この詩句に対する解説の深さがすごいです。まさにOSHOの世界観です。
ピュタゴラスはギリシアの哲学者ですが、アレクサンドリアで数年過ごしエジプトを研究し、インドを訪れインド人の人間の内なる世界について学び、チベットから中国にわたり、西洋の精神と東洋の精神を統合した方だということをはじめて知りました。その偉大な哲人の思想をOSHOが解説するというのは、何か大切なものに気づけたように思えます。読んだ人だけが感じ取る、言葉で説明しづらい世界かもしれません。