2006年に出版され16万部以上のロングセラーとなっている本書。高校数学も使わず中学数学だけで臨めるハードルの低さがウリです。その分端折られているところはありますが、そこはトレードオフ。まずは統計学の骨格を学ぶこと、そして単に簡単というだけでなく、第一部で基本、第二部では母集団推定、カイ二乗分布、t検定など、統計学の実務で扱われる推計領域が扱われています。私のように、高校数学を学び直している方には最初の1〜2冊目あたりにぴったりの一冊でした。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯本書で扱っている主なテーマ
・度数分布、平均値、分散と標準偏差
・正規分布
・仮説検定、区間推定
・母集団推定、母分散、母標準偏差、母平均
・t分布
◯本書の特徴
・本書では、「標準偏差」を最も重視し、様々な角度から標準偏差について理解が得られるようにまとめられています。
(標準偏差とは、データが平均値の周辺にどのくらいの広がりや散らばりを持っているか」と言うことを表す統計量)
→著者曰く、「標準偏差にこれほどのページ数を割いている教科書は他にないのではないか」
・本書では「確率」をほとんど扱わない
学びの混乱の原因は、統計と確率の違いが微妙であること。統計とは「過去に起きたことに関する記述」、確率とは「未来に起こることに関する記述」。
統計学を推測に使うためには、記述統計の方法論に確率理論を加えなければならない。記述統計で習った平均値は、確率変数では期待値という名前で再登場し、データの標準偏差は確率変数においても同じ標準偏差という名前で再登場する。
・数学記号も数学公式もほとんど使わない
本書では確率に触れていないため、コンビネーション記号やシグマ記号や確率変数の期待値も使わず、微分積分も完全に排除。使うのは中学までの数学、それもおおよそ一次不等式とルート計算だけ。
私のように高校時代に数学が苦手で文系の道に進んだ方が、ビジネスに使うからと高校数学を学び直す場合、なかなか理解が進まず苦労するものです。そんな中で、独習する時に、どんな教材を使うかというのはとても大切な観点。
私が使ってみて良かったのは、以下の教材です。
・書籍:本書と『データの分析と統計的な推測』(佐々木隆宏)。
・YouTube:①データサイエンスLab.、②予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」、③統計チャンネル
これで、とりあえず統計検定3級には臨めそうです。