MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

サービスを超える瞬間(高野登)

『サービスを超える瞬間』(高野登)(◯)

 著者はリッツカールトンホテル元日本支社長。2005年に発行された本書は、リッツカールトンホテルのホスピタリティの源泉となる、「クレド」「7つの仕事の基本」など、リッツカールトンの人材を育成する考え方や手法がまとめられています。

 サービスマネジメントを学ぶうえで欠かせない代表企業のひとつであるリッツカールトンホテル。宿泊した方も、レストランに行ったことがある方も、サービスの高さを実感された方は多いと思います。

 サービス業に関わらず、小売業でも、他の業界でもお客様と接点があるお仕事なら広く参考になる一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

クレド

リッツ・カールトン・ホテルは

お客様への心のこもったおもてなしと

快適さを提供することを

もっとも大切な使命とこころえています。

私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ

そして洗練された雰囲気を

常にお楽しみいただくために

最高のパーソナル・サービスと施設を

提供することをお約束します。

リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、

それは、感覚を満たすここちよさ、

満ち足りた幸福感

そしてお客様が言葉にされない

願望やニーズをも先読みしておこたえする

サービスの心です。

 

◯従業員への約束

リッツ・カールトンでは

お客様へお約束したサービスを

提供する上で、紳士・淑女こそが

もっとも大切な資源です。

信頼、誠実、尊敬、高潔、決意を

原則とし、私たちは、個人と会社の

ためになるよう、持てる才能を育成し、

最大限に伸ばします。

多様性を尊重し、充実した生活を深め、

個人のこころざしを実現し、

リッツ・カールトン・ミスティー

(神秘性)を高める・・・

リッツ・カールトンは、このような

職場環境をはぐくみます。

 

◯サービスの3ステップ

①あたたかい、心からのごあいさつを。お客様をお名前でお呼びするよう心がけます。

②お客様のニーズを先読みし、おこたえします。

③感じのよいお見送りを。さようならのごあいさつは心をこめて。できるだけお客様の名前をそえるよう心がけます。

 

◯7つの仕事の基本

①PRIDE&JOI

 誇りと喜びを持てば意欲が湧く

②Don't think,Feel

 考える前に、お客様の温度を感じなさい

③Let's have fun!

 仕事を楽しめば自分の感性が発揮できる

④CELEBRATION

 お祝いしたいと思う気持ちがサービスの質を高める

⑤Chicken Soup for Soul

 優しさは仕事人としての必須条件

⑥PASSION

 情熱は組織を動かす大きなエネルギーになる

⑦EMPOWERMENT

 お客様の願望をスピード解決

 

◯目指す年収の5%を自分に投資する

・1,000万円を目指すなら、50万円を自分の成長のために投資する。

・自分のキャリアパス(人生設計図)をちゃんと意識しながら働いているか?

・現在の年収の5%ではなく、目指す年収の5%を自分に投資に回す。

・そして感情を磨く。

 

◯トップ5%の感覚を大切にする

リッツ・カールトンのブランド戦略は明快。トップ5%の顧客層をコアターゲットにする。

・お金持ちしか相手にしないという誤解をされるが、そうではなく、「トップ5%の方の感性を満足させるようなサービス」をお客様全員に提供するという意味。

 

 MBAの授業の中でリッツカールトンホテルが取り上げられたことをきっかけに、初めてレストランを利用したのが約10年前。その後、レストラン利用が何度かあり、一度、経営者合宿でお招きいただき宿泊したことがあります。その時の感覚は、贅沢でもありますが、とても心地よく、その時は合宿の目的を最高の形で終えることができ、場所にエネルギーをもらったように思いました。自分の目的とマッチングする場所、時間は人生の質を高めてくれるように思います。

 贅沢に思える分、その体験価値はその後の人生に何度も記憶として甦り、良い影響を与えてくれるものだと思います。