MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方(荻野淳也ほか)

『世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方』(荻野淳也ほか)

 本書は、ハーバード、GoogleFacebookなど、世界の最前線が取り組んでいると言われるマインドフルネスの入門書です。前半100ページ強は、「瞑想×脳科学」がビジネスにもたらすメリットについて、後半150ページは瞑想の方法について書かれています。主に前半部分のビジネスとの接点を論理的に理解するのに役立つ書籍であり、具体的な瞑想の方法は、挿絵がない分、他の書籍のほうがイメージが湧きやすいと思います。

 

(印象に残ったところ‥本書より)

〇マインドフルネスとは

 「今この瞬間に完全な注意を払うことから浮かんでくる意識」のこと。

 特定の注意(ある対象への集中)と、とらわれのない開放的な注意(起きてくる様々なことにその都度集中、執着せず手放す)が、自己認識を深める上での基盤。

 

〇情報の豊かさは注意の貧困を作る

 集中力を奪う最大の要因はマルチタスクマルチタスクは仕事の効率を落とす。とくに、Eメールの影響は大きい。

 

〇立ち止まって考える力、今までのやり方を手放す力

 身についた従来のクセや習慣を見直さなければ、従来の生き方を変えることはできない。人間は放っておくと普段から慣れ親しんだ自動操縦モードの振る舞い、考え方を踏襲してしまう。

 

〇マインドフルネスの効果

 複雑な問題を複雑なまま受け入れ、それを許容しながら先に進む、タフなメンタリティが身につく。マインドフルネスは心身をリフレッシュする効果があり、居心地の悪さも自分とは切り離して一時的な経験として受容する姿勢を養う効果もある。決めなければ居心地が悪いという感情に負けて決断をくだしてはいないか?混沌の時代のリーダーは、矛盾や対立から目を背けず、しっかり直視して、まずは受け入れることが求められる。矛盾を矛盾のまま受け入れるには、タフなメンタリティが必要。

 

〇静寂こそが自分自身と世界のありように気付くきっかけ

 穏やかに持続する快適な心理状態において、人は注意力や認知力、行動の選択肢が広がる。雨の日も風の氷魚穏やかに受容できるようになると、科学的な意味におけるポジティビティが生まれてくる。

 

〇共感力の向上

 認知的共感(他者の視点を理解する力)、情動的共感(他者の感情をくみ取る力)、共感的関心(相手が自分に何を求めているか察知する力)。自然に発揮されている共感力には個人差があるものの、それは訓練によって開発できる。マインドフルネスや瞑想により、コミュニケーションにおける傾聴や真の客観的な視点を持って他者と関わる姿勢についての教育、思いやりの醸成などを養うことができる。

 

〇マインドフルネスに関わる脳機能(マインドフルネスできること)

①注意力の制御→注意を維持し免れても戻せる

②身体的な認識力→内的な体感覚(呼吸・感情・体温)を認識

③情動の制御→状況をポジティブに受け止める、衝動に支配されにくい

④自己認識→柔軟な自己認識、相手の立場で見られる。

 

 机上の論理よりも実践9割と言われるマインドフルネス。本書が終盤に差し掛かったころに、もう1冊、ビジュアル面で分かりやすく書かれている瞑想を実践するための入門本を買い、まずは実践。本書にもありましたが、最初は息遣いを意識する所から始めています。まだ、この先何を感じることができるのか、どう変化していくのか分かりませんが、とりあえず始めてみます。

 

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