MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

マインドフルネスを越えて(バンテ・H・グナラタナ)

『マインドフルネスを越えて』(バンテ・H・グナラタナ)

マインドフルネス(気づき)とその根底にある教えについての『マインドフルネス』に次ぐ第二弾。本書は瞑想実践者のために、できる限りステップ・バイ・ステップで進んでいけるような形で説明されています。読者がすでに『マインドフルネス』もしくはそれに類似した本を読み終わり、次のステップへ進む準備ができているものとして書いてある、中上級編です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯煩悩

・深く集中するためには、あるものを取り除かないといけない。「煩悩」。煩悩は邪悪で、不純物で、汚染物。心の泥であり、毒のようなもの。心を病気にさせ、多くの苦しみを引き起こす。

・心を成長させるためには、煩悩とは何か、どのように煩悩を取り除くのか、ということを学ぶことが必要。煩悩を取り除くには、気づきを育てる必要がある。

 

◯禅定のロードマップ

・煩悩を取り除くためには、それぞれ少し異なる「心を清らかにする行為」を実践する。

・集中の道を進んでいくためには、まず「五蓋」を観察し制御する。五蓋は悪い心の働きのこと。五蓋を制御すると特別な瞑想の状態である「禅定」に達する。禅定に達すると「束縛」が一時的に機能しなくなる。束縛とは、五蓋よりも微細な働きのこと。五蓋を一時的に制御すると、集中力が強くなる。その強くなった集中力を有益な善い対象に向け、心の解放へと導く特相を観察する。

・この道を進んでいくと、これまでにないほど集中力が高まり、新しい光景が突然見えることもある。粗雑な感覚と思考が弱くなり、それによって喜びや楽、これまでに経験したことのない微細な感覚を経験する。それが「色界禅定」。

 

◯禅定

・禅定とは、深い集中瞑想によって達することのできる心の境地。

・禅定は、感覚や思考、感情を超越している状態。言葉で表すことは困難。言葉というものは概念や感覚の印象、感情に押さえ込まれているから。

 

◯正しい集中と間違った集中

・正しい集中(正定)とは、意識がはっきりして、気づいている状態。気づきと明晰な理解があること。気づきは、正定の先駆となるもの。気づきを使って五蓋を制御することによって正定が現れる。

・間違った集中(邪城)とは、気づきが働いていない状態で対象に夢中になること。

 

◯八正道

・在家者にも守ることができる戒律(道徳)

①正見(正しい見解)
②正思惟(正しい思考)
③正語(正しい言葉)
④正業(正しい行動)
⑤正命(正しい仕事)
正精進(正しい努力)
⑦正念(正しい気づき)
⑧正定(正しい心の統一)

 

◯呼吸のヴィパッサナー(観察)

・伝統的な見方によれば、21の現象が起きている。

①〜④

 息を吸うときー始め・途中・終わり・主観的な間
⑤〜⑧

 息を吐くときー始め・途中・終わり・主観的な間
⑨圧力

 肺が吸う息でいっぱいになると圧力を感じる
⑩解放

 呼吸を吐くとき、圧力が解放される
⑪不安または緊張感

 息を吐くと肺の中の息が空っぽになり、不安か緊張感を少し感じる
⑫不安または緊張感の解放

 息を吸うと、不安はなくなり、解放を感じる。

<四大要素>
⑬地の要素

 息が鼻腔や鼻先、上唇、両目の間の鼻の内側に触れる
⑭水の要素

 息の感想や湿り気
⑮火の要素

 呼吸の温かさや寒さ
⑯風の要素

 風(空気)

五蘊を観察する>
⑰色蘊

 色(物体・身体)の集まり
⑱受蘊

 感受の集まり
⑲想蘊

 知覚の集まり
⑳行蘊

 意思の集まり

㉑識蘊

 認識の集まり

 

◯集中を妨げる五蓋

①欲
②怒り
掉拳・後悔(不安感)
④昏沈・睡眠
⑤疑

◯集中と気づきで五蓋をブロック

・気づきを使って次の5つのことを観察することが大切

①いつ現れているのか?
②いつないのか?
③どのように生まれるのか?
④どのように対処するのか?
⑤どうすれば将来、生まれないのか?

 

 「瞑想といえば無になる」って以前は思っていましたが、瞑想は今ここ起きていることに気づくことということを知りました。今ここに気づき続けることはとても難しく、思考が邪魔をします。過去のこと未来のこと、あれこれ考えてしまいます。そんな今ここに意識を向けることを妨げる要因に対してどのように対処すればいいのか。本書はそんな気づきがあります。

マインドフルネスを越えて

マインドフルネスを越えて

 

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