『道は開ける』(D・カーネギー)<3回目>(◯)
古典的名著です。『人を動かす』で有名な著者のもう一つの名著です。『人を動かす』が人間関係の機微について述べられているのに対し、本書は人間に共通する「悩み」の実態とその克服法が述べられています。豊富な材料を駆使しながらも簡潔な実証を報告が書かれている実践的な内容です。様々な偉人たちの語録的な引用も多く、今も昔も変わらない本質的な部分にも触れることができます。良書ですので、まだの方は是非。
(印象に残ったところ・・本書より)
①今日、1日の区切りで生きよ
・「自分の荷物がどんなに重くても、日暮れまでなら誰でも運ぶことができる。自分の仕事が辛くても、1日なら、誰でもできる。太陽が没するまでなら、誰でも快活に、辛抱強く、親切に、貞淑に生きられる。これこそが人生の秘訣そのもの」
・「1日だけを精一杯生きること。賢者には毎日が新しい人生である」
②悩みを解決するための魔術的公式
1)「起こりうる最悪の事態とは何か」を自問すること
2)やむを得ない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をすること
3)それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力すること
③悩みがもたらす副作用
・「悩みに対する戦略を知らないものは若死にする」
・「苦悩は人並みはずれて頑健な人間をも病気にする」
④悩みの分析と解消法
・問題を3段階に分けて分析する
1)事実の把握
2)事実の分析
3)決断、そして実行
・悩みに対する4つの問い
1)私は何を悩んでいるか?
2)それに対して私は何ができるか?
3)私はどういうことを実行しようとしているか?
4)私はそれをいつから実行しようとしているか?
⑤仕事の悩みを半減させる方法
・4つの問い
1)問題点は何か?
2)問題の原因は何か?
3)いく通りの解決策があって、それらはどんなものか?
4)望ましい解決策はどれか?
⑥心の中からなやいを追い出すには
・「忙しい状態でいること。悩みを抱えた人間は、絶望感に打ち負けないために、身を粉にして活動しなければならない」
・「悩みに対する治療法は、何か建設的な仕事に没頭すること。悩みは人間が活動している時ではなく、1日の仕事が終わった時に人間に取り付き、害をなすことが最も多い」
⑦カブトムシに打ち倒されるな
・気にする必要もなく、忘れても良い小事で心を乱してはならない。
「小事にこだわるには人生はあまりにも短い」
⑧多くの悩みを締め出すには
・「記録を調べてみよう」。そして、こう自問するのだ。
「平均値の法則によると、不安の種になっている事柄が実際に起こる確率はどのくらいだろうか?」
⑨避けられない運命には調子を合わせよう
・「幸福への道はただ一つしかない。意志の力でどうにもならない物事は悩んだりしないこと」
⑩悩みに歯止めをかけよう
・3つの問い
1)現在、自分が悩んでいることは実際にどの程度の重要性があるのか?
2)この悩みに対する「ストップ・ロス・オーダー」をどの時点で出して、それを忘れるべきだろうか?
3)この呼子笛に対して正確にはいくら支払えば良いのか?すでに実質価値以上に払いすぎていないだろうか?
⑪オガクズを挽こうとするな
・「すでに終わったことについてクヨクヨと悩むのは、ちょうどオガクズを挽こうとしているだけ」
・「賢い人たちは座ったまま損失を嘆いたりしない。元気良くその損害を償う方策を探すのだ」
⑫生活を転換させる指針
・快活に考え行動すれば自然に愉快になる。
・「自分に平和をもたらすのは、ほかならぬ自分自身なのだ」
・「人は自分の心で考える通りの人間になる」
⑬仕返しは高くつく
・仕返しをしてはならない。敵を傷つけるよりも自分を傷つける結果となるからだ。嫌いな人について考えたりして、1分たりとも時間を無駄にしないことだ。
⑭恩知らずを気にしない方法
・3つの視点
1)恩知らずを気に病む代わりに、むしろ恩知らずを予期しよう。
2)幸福を見つける唯一の方法は、感謝を期待することではなく、与える喜びのために与えることである。
3)感謝の念は、後天的に「育まれた」特性であることを思い出そう。
⑮百万ドルか、手持ちの財産か?
・厄介ごとを数え上げるな、恵まれているものを数えてみよう。
⑯自己を知り、自己に徹しよう
・他人の真似をするな。自己を発見し、自己に徹しよう。
・「我々が利用しているのは、肉体的にも精神的にも、自分の資質のごくわずかな部分だけだ。大雑把な言い方をすれば、人間は自分の限界のはるか手前のところで生活している」
⑰レモンを手に入れたらレモネードを作れ
・運命がレモンをくれたら、それでレモネードを作る努力をしよう。
・人生で最も大切なことは、利益を活用することではない。真に重要なことは、損失から利益を生み出すことだ。このためには明晰な頭脳が必要となる。ここが分別ある人とばか者との分かれ道だ。
⑱二週間でうつ病を治すには
・他人に興味を持つことによって、自分自身を忘れよう。毎日、だれかの顔に喜びの微笑みが浮かぶような善行を心がけよう。
⑲私の両親はいかにして悩みを克服したか
・祈りは、あなたの期待以上にあなたを助けてくれるだろう。
1)祈りは私たちが何のために悩んでいるかを言葉で正確に表現する助けになる。
2)祈りは私たちに自分一人ではなく、だれかと重荷を分担しているような感じを与える。
3)祈りは行為という積極的な原理を強制する。これこそ行動への第一歩。
⑳死んだ犬を蹴飛ばすものはいない
・不当な非難は、しばしば偽装された賛辞であることを忘れてはならない。
・犬が元気であるだけ、大物であればあるだけ、人間はそれを蹴飛ばして大きな満足を覚える。
㉑非難に傷つかないためには
・最善を尽くそう。そのあとは古傘をかざして、非難の雨が首筋から背中へ流れ落ちるのを防げば良い。
㉒私の犯した愚かな行為
・自分の犯した愚行を記録しておいて、自分自身を批判しよう。私たちは完全無欠を望めないのだから。偏見がなく、有益で、建設的な批判を進んで求めよう。
㉓活動時間を一時間増やすには
・軍隊でやっていることを見習って、ときどき休憩しよう。疲れる前に休むのだ。そうすれば、あなたは起きている人生に1日1時間を付け加えることができるだろう。
㉔疲れの原因とその対策
・「ほとんどの人は、困難な仕事は努力する気持ちがなければうまくいかないと信じており、このことが大きな障害となっている」
・「もし眼の筋肉を完全にリラックスさせることができたら、人間はあらゆる悩みを忘れるだろう」
㉕疲労を忘れ、若さを保つ方法
・悩みを軽減するための最良の方法は、「だれか信頼できる人に悩みを打ち明けること」。誰でも「打ち明け話」や「胸のつかえを吐き出すこと」によって、たちまち開放感を味わえることを知っている。
㉖疲労と悩みを予防する4つの習慣
・勤務中の習慣
1)当面の問題に関係のある書類以外は全部机上から片付けよう
2)重要性に応じて物事を処理すること
3)問題に直面した時、決断に必要な事実を握っているのだったら、即刻その場で解決すること。決断を延期してはならない。
4)組織化、代理化、管理化することを学ぼう。
㉗疲労や悩みの原因となる倦怠を追い出すには
・倦怠こそ能率低下の唯一の原因。
・正しい考え方をすることによって、どんな仕事についても嫌悪感を減らすことができる。仕事に脅威を持つことがあなたのためになる。
㉘不眠症で悩まないために
・熟睡するための第一要件は、安心感。
・5つのルール
1)眠くなるまで仕事をするか、読書をしよう
2)睡眠不足で死んだ者はいない。不眠症について悩むことが、睡眠不足以上に有害。
3)詩篇二十三を繰り返し読むこと
4)身体の力を抜くこと
5)運動をしよう
- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,香山晶
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 1999/10/20
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