MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

才能の正体(坪田信貴)

『才能の正体』(坪田信貴)

 著者は、坪田塾塾長で、あの「ビリギャル」の著者として有名な方です。ビリギャルの彼女ももともと才能があったわけではない。「才能がある」と言われている人たちは、その人に合った動機付けがまずあって、そこから正しいやり方を選んで、コツコツと努力を積み重ねている。本書は、才能は誰にでもあり、みんなその才能をどう見つけたらいいのか、どう伸ばしたらいいのかについてまとめた一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯「地アタマ信仰」を今すぐやめる

・どんな人であっても、結果が出たら「元がいい」「地アタマがいい」と言われ、結果が出なければ「もともと才能がない」と言われる。

・多くの場合、「結果」が才能の有無の判断基準になる。つまり、結果によって、過去の解釈もすべて変わってしまうということ。人々は、「結果」から遡って「物語」を作ろうとするもの。

 

◯動機付け

・「動機」のない子なんて一人もいない。いかに動機付けするかが重要。

・動機付けは、3つの行動から成り立つ。

①認知:「これなら自分にできそう」「これはきっと人生に役立つに違いない」と思えたら、行動に移すもの。「継続は力なり」というのは本質的に真実。

②情動:「テンション上がるわ〜の状態」

③欲求:本当に自分がそれをやりたいと思うかどうか

 

◯「やらない理由」を探すのをやめる

・理屈を習うとどんなことでも、より早く効率的に能力を伸ばすことができる。

・何歳になっても後悔しているのが人間。どうやって断ち切るか。「今すぐ」⇨「後悔をしないための選択肢を選び」⇨「やる」こと。「やらなかった」という後悔を、無くしていくしかない。

・「人のせい=他責」にしたとき、つまり「自分のせいじゃない」と言ってしまった瞬間に、才能の芽はたちまち枯れ果ててしまう。才能は、本質的に自分の中にしかないもの。自分を変えることはいくらでもできる。

 

◯バランスよりも尖ること

・自分の中にある「すべての尖り」を一つひとつ丁寧に磨いていったら、その分だけ、選べる仕事や職業ができるはず。選択肢を広げるのは、自分自身。

 

◯才能の正体は洞察力

・才能がある人というのは「結果」を出せる人。結果はどういう人が出せるのか。洞察力がある人に他なりません。洞察力とは、物事を深く鋭く観察し、その本質や奥底にあるものを見抜くことであり、観察しただけでは見えないものを直感的に見抜いて判断する能力のこと。

 

守破離

・能力値の高い人は、単純に効果的に磨いてきただけ。「本来は誰もが持っている能力」をどのように伸ばせば「才能がある」と言われるべきもの=他の人にはないような突出した能力になるのか。大事なキーワードは守破離

・守:師や流派の教えを、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。

・破:他の師や流派の教えについても学び、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。

・離:一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

 

◯行動を完コピせよ!

・いつも言うのは、「頭のいい人の行動を完コピしろ」ということ。同じ行動を完コピする方が成績上昇に直結する。完コピで能力を磨くための基礎を作る。

・完コピを徹底的にやると、必然的にオリジナリティが出てくる。それが「個性」。

・完コピにあたって、大切なポイントは、その人の「考え方」だとか「言っていること」ではなく、「行動」を完コピすること。

 

◯黙って見守る

・子供が夢を語って努力を始めようとしたときに、親が「そんなの無理だ」「できるわけない」と否定せず、信念を持って守る。愛情を与える。そして子供のことばを信じて、温かく見守る。子供の才能を開花させるには、これに尽きる。

 

◯技と術

・どうしても成績が上がらない、何度やってもスキルアップできない人というのは、「技」と「術」を一緒にしている可能性がある。技の練習ばかりしている場合があるので、「技」と「術」に分け、その場に応じて使い分けてみるべき。

 

◯基礎

・あるポイントで限界を迎えてしまうのは、最初の部分、スタートに問題があることがほとんど。壁にぶつかってしまった人は、先に進むのを一旦休止して基礎の基礎まで戻った方が、その後の成績は格段に違う。

 

 ◯ビジョンと大義

・人は言葉を発したとき、その言葉とともに感情が動き、それによって「大義=歩むべき大切で正しい道」となって心に残ることになる。単なる「目的」を超えた「大義」を持つことで、人は動き方が変わる。

大義をその人の中に植え付けるためには、「感情の幅」「感情が動くこと」がすごく重要。

・「なぜそうなりたいと思ったのか、その理由を明確に、自分の言葉で言ってみてください」と聞く。「自分の言葉で言ってもらう」のが大事。

 

◯自分で自分にフィードバック

・自分で自分を動かすためには、なんでも自分で自分の実況中継をする。実況中継によって自分をメタ認知することで「私は今これを気にしてるんだな」ということに気づけるようになる。

・誰かを実況中継することは、「中立的なフィードバック」になる。

 

 本書の末尾には、4大思考停止ワードとして、①才能、②天才、③地アタマ、④運を挙げ、能力は「磨いていくも」「より良くなるもの」と書かれています。今既に持っているものにまずは気づき、次に発揮していくこと。持って生まれたものの可能性を追求していくことは実生活の中で生かせるヒントになりますね。

才能の正体 (NewsPicks Book)

才能の正体 (NewsPicks Book)

 

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