MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

自分のための人生(ウエイン・W・ダイアー)

『自分のための人生』(ウエイン・W・ダイアー)(◯)

  冒頭の訳者のことばに「この本ほど『ニューヨーク・タイムズ』や『タイム』のベストセラー・リストで第一位を長期間にわたって独走し、また全世界でも圧倒的に読まれた本はない」とあります。人生のあらゆる問題は全て自分で選択、解決することができる。今日1日を徹底的に丁寧に生きる。そうした先に感情や幸福も選択できる世界があるということをまとめた一冊。思考は感情を生み出し、感情は行動を生み出し、幸福は感情から生まれる。そして思考はコントロールできる。だから、幸福も自分でコントロールできる。多くの人に読まれる本は、理由があることを感じる一冊です。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯人生の一瞬一瞬を捉えて味わう生き方

・感覚を研ぎ澄ませて、一瞬一瞬を受け止め、過ぎ去った過去やいずれ訪れる未来にはそっぽを向くこと。願う、望む、後悔するといった行為は、現在を回避する最もありふれた、そして最も危険な策略。

・現在をしっかりと捉え最大限に活用する方法を知っている人々は、自由で自己実現をする人生を選んだ人々。それは私たち一人ひとりにとって可能な選択。

 

◯「成長心」が人間の器を大きくする

・動機付けは、自分に不足しているものを補おうとする必要性よりも、むしろ成長しようとする欲求から生じるようだ。

・成長の動機づけとは、自分の生命力を使ってより大きな幸福を求めるもの。何か悪いことをしたから、あるいは自分はどこか不完全だから、向上しなければならないのとは違う。

・成長を動機づけとして選択すれば、必然的に人生の現在という時を全て、自分で支配できるようになる。つまり、自分が自分の運命の決定者となれる。人と張り合ったり、躍起になったり、世間に調子を合わせたりすることはない。むしろ周りの世界を自分に合わせて選ぶのである。

 

◯自分を愛せない「不幸」

・精一杯生きている人は決して不平を言わないもの。受け入れるということは、不平を言わないこと、幸福とはどうにもできないような事柄に関しては不平を言わないということ。不平は自分に自信のない人の慰め。

 

◯「価値ある自分」を常に自覚する

・自分の業績にかかわりなく、自分には何らかの価値があるということを自覚しなければならない。この自覚がなければ、いつまでも自分自身と自分の表面的な行動を混同することになるだろう。自分の価値を他人が自分をどう見るかと結びつけるのも愚かなら、外面的な業績によって決めるのも同じく愚かな真似である。

 

◯「自分の考え」はどこに行った?

・人に認められたいと思うのは、それが必要だからというよりも、むしろ一つの欲求であると考えること。人から認められたいと思ったり、賛同が得られたら良いのにと思っているうちは、認められれば嬉しいと感じるだけ。しかし、それが不可欠と思い込むと、それが得られない場合には気落ちしてしまう。

・避難をうまく処理するのが面倒なのに比べて、賛成を得るような態度を取るのはやさしい。しかし、このやさしいほうを選ぶと、自分で行なった自己評価よりも自分に対する他人の意見の方が重要であるとみなすことになる。これは悪質な罠であり、現代の社会においてはそこから逃れるのは容易ではない。

 

◯失敗の悪循環を断つ

・ある種の活動から巧みに逃れたり、性格上の欠点を誤魔化したいと思う時、決まって「私は・・・である」で自分を正当化する。

・過去に執着し「私は・・・である」に頼ることで手にする第一の報酬は、変化を回避するという行為。

・例えば、①私は内気だ⇨②あの魅力的な人たちを見ろ⇨③よし、近づきになろう⇨④いや、それはできない⇨⑤なぜできないのか⇨⑥なぜなら⇨①私は内気だ、という循環。

・「私は・・・である」というレッテルは、「私は自分で決めてこうなった」という風に変えることができるだろう。

 

◯人生における「黄金の日々」とは?

・人間の一生で最も無益な感情が2つある。

①済んでしまったことに対する自責の念

②これから行うことへの不安

・自分が昨日、そして先週、さらには去年、不安に思ったことを全部並べて、不安の一覧表を作ってみるといい。それらの不安のうち、一つでも自分にとって生産的だったものがあるかどうかを調べる。それから、自分が心配したことのうち、とにかく具体的な形をとって現れたものがいくつあるかも調べる。

 

◯「口」を出すこと「手」を出すこと

・先に延ばすというのは、実行を避ける時に用いる生き方の一つのテクニック。実行しない人間というのは批評家である場合が多い。

・建設的な批評は役に立つが、もしあなたが、何事でも実行するよりも傍観者となる方を選ぶなら、あなたは成長していないのである。自分の能力の無さからくる責任を本当に努力している人に押し付け、自分は責任逃れをするために批評を利用することがある。

 

 本書では、いろいろリスト的なものも盛り込まれており、頭の整理にも役立つ内容でした。何れにしてもどのような思考をするのか、その発想を内省もしながら、形作っていくことに意味があると感じる内容でした。

自分のための人生 (知的生きかた文庫)

自分のための人生 (知的生きかた文庫)

 

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