『時間のすべて』(Newtonライト)
理系脳を鍛えるNewtonシリーズのライトバージョン誌。ビジュアル重視で、難しそうな話もパッと見てわかりやすい特徴があります。特にこのライトバージョンは、本誌の抜粋・要約版でさらっと目を通せる手軽さが魅力です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯楽しい時間はあっという間
・心理学の実験では、時計を何度も見るなど、時間経過に注意を向ける機会が多いほど、長く感じられる傾向にあることがわかっている。
・これは、時間経過に注意を向けると”心の時計の目盛り”が大き刻まれることになり、経過も長く感じられるのだと説明されている。
・逆に楽しいとき、つまり時間経過に注意がむきにくいほど、時間短く感じられる。
◯大人になると時間を短く感じるワケ
・新しい出来事を体験しにくくなったり、日常の細部に注意を向けなくなったりすると、時間は短く感じられる。これは、ある期間中に体験した出来事の数を手掛かりに、時間の長さを推定しているからだと考えられている。
・大人は同じことを繰り返しがちだが、子供は経験を積み、細部に注意する。
・体の代謝と心の時計の進み具合には関係があると考えられている。大人は子供よりも代謝が落ちているため、1年が短く感じられがちなのかもしれない。
◯夜のスマホや飲食は体内時計の乱れを招く
・全身の抹消時計の指揮者である中枢時計(両目の奥の脳の部位にある)は、自律神経や全身に送るホルモンを通じて、抹消時計の時刻合わせを行っている。
・朝に光を浴びなかったり、夜にスマートフォンの画面などを見続けていたりすると、体内時計が昼夜のリズムに対して遅れていってしまう。
・朝食を食べなかったり、夜10時以降の食事を避けたりすることも、体内時計を正確に保つために必要。
◯「時間とは何か?」2500年以上続く問い
・アリストテレスの「時間」
ろうそくに火をつければ、ろうそくの長さの変化から時間の経過を認識できる。ろうそくに火をつけない限り、時間が経っていることを確かめる手段がない。アリストテレスは、著作『自然学』の中で、「時間というものは、運動や変化が起きてはじめて認識できるものであり、運動や変化がなければ時間もない」と論じた。
◯時間は一定ではなく、伸びたり縮んだりする
「運動する時計の進みはゆっくりになる。運動の速度が光の速さに近づくほど時間の遅れは強まり、光の速さに達すると時間は止まる」
重力によっても時間が遅れることを明らかにした。重力が強いほど、時間の遅れは大きくなる。ただし、日常生活の中では時間の伸び縮みがあまりにも小さく気づかない。
◯時間はなぜ、過去への流れないのか?
・ミルク入りのコーヒーを「かき混ぜる前」と「かき混ぜた後」の画像を見て、どちらが過去かを迷うことなく答えられる。これは、かき混ぜたコーヒーとミルクが再び分離することがないため。このような、元に戻らない過程は、身の回りにたくさんあふれている。
・こうした不可逆過程があるために、時間が過去から未来への一方通行であるように感じている。このような性質を「時間の矢」という。
本書ではあくまでざっくりと大づかみする感じですが、「時間のスピードの感じ方が違うのはなぜ?」という点については、実感として変化があるので、少し掘り下げたくなっています。
「今ここを時間する機会の増加⇨その時その時を丁寧に生きている感覚⇨時間があっという間に過ぎないという感覚はなぜ起きるの?」
「過去を振り返った時間感覚と未来に向かう時間感覚。同じ1年でも感じ方が違うのはなぜ?」。
成長しながら自分らしく幸せに生きることと時間は切り離せないテーマなので、これを機に理解を深めていきたいと思います。