MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

よくわかる真言宗(瓜生中)

『よくわかる真言宗』(瓜生中)

 本書は、空海が開いた真言宗の基礎知識、教義と行法、本尊と諸尊、空海の生涯、ゆかりのある主な寺院、真言宗のお経がコンパクトにまとめられた一冊です。宗教は幅広いので、エッセンスをまずは掴みたいという方に適したシリーズで、他にも浄土真宗曹洞宗などもあります。

 一度読んでも全体像を掴みづらいほど幅があり、それぞれ探求し始めると奥が深異世界ですが、時代を超えて受け継がれてきた分野なので、何かしら生きていく上で参考になる考え方があり、よくわからないなりにも気づきはあるもので、そのうち頭が慣れてきたら、もう少し綺麗に頭に入り、腹落ちしてくるのかなと思いながら読み進めてみました。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

密教とは

・インドの龍猛(りゅうみょう)という学僧が、密教の根本経典である『大日経』と『金剛頂経』を発見し、それを体系化して創始したもので、大乗仏教の最高の教えと言われている。

・この教えがインドから中国に渡って6人の学僧に伝えられ、7番目の恵果阿闍梨から入唐の折に教えを受けた弘法大師空海が、我が国に本格的に伝えた。

密教とは、大日如来の秘密の教えという意味で、我々人間を含めて世の中の全ての存在は大日如来の化身であるとされる。

 

◯即身成仏と三密加持

密教の教義の中心となるのが即身成仏。それを達成するための修行が三密加持。

・仏教では悟りを開くまで長い長い時間がかかると考えられていた。しかし、大乗仏教の最後に登場して、かつ最高の教えとされる密教では、今生(今生きている身体のまま)で成仏することができると説く。これを即身成仏という。

・即身成仏をするためには三密加持が重要な修行となる。三密とは、身、口、意で、身は身体的な行為、口は言葉、意は心に思うことである。身密は印(仏像が結ぶ様々な手つき)を結ぶこと、口密は陀羅尼(真言)を唱えること、意密は心の中で祈願する仏をイメージすること。

・三密に修することによって仏と合体するのが加持。仏と合体する、すなわち仏が祈願者の身体に入ってくることによって、仏はその人の苦しみや悲しみ悩みを悉く把握する。つまり、祈願者の痛いところや痒いところが手に取るようにわかる。それらを仏の知恵と能力によって治してくれる。

・加持を取り持ってくれるのが密教の僧侶。宗派や流派によっても異なるが、護摩供養のとき、導師の僧侶が退出した後に他の僧侶が祈願者の前に立ち、洒水を行なった後に「これからお加持を行います」と言って両手を胸の前に掲げて、ハスの花のような形の印を組むと同時に護摩供養の本尊である不動明王真言を唱え、心に不動明王をイメージする。このとき不動明王と祈願者の間に加持が成立し、祈願者は不動明王とともにハスの中に生まれる。これを「一蓮托生」と言っている。つまり、一つのハスの中に一緒に生を受けるということ。

 

◯多くの流派に分かれた真言宗

真言十六宗と言われるように16の宗派に分かれた。

古義真言宗

高野山真言宗高野山金剛峰寺)
東寺真言宗教王護国寺、東寺)
真言宗醍醐派(京都、醍醐寺
真言宗御室派(京都、仁和寺
真言宗善通寺派香川県善通寺
真言宗大覚寺派(京都、大覚寺
真言宗泉涌寺派(京都、泉涌寺
真言宗中山寺派兵庫県中山寺
真言宗清澄寺派(兵庫県清澄寺
真言宗須磨寺派兵庫県須磨寺
真言宗山階派(京都、勧修寺)
信貴山真言宗奈良県朝護孫子寺

新義真言宗
新義真言宗和歌山県根来寺
⑭智山派(京都、智積院
豊山派(奈良県長谷寺

鎌倉時代叡尊が開いた真言宗の一派
真言律宗奈良県西大寺

 

 難しいことは別にして、地元に帰ったときにお寺を回ってみたくなりました。なんとなくお寺に行くのと、少しでも目的を持っていくのとでは受ける印象や得るもの、感じることも違いそうで、まずは京都市内で空海ゆかりのお寺を回ってみようかなと思います。

よくわかる真言宗 重要経典付き (角川ソフィア文庫)

よくわかる真言宗 重要経典付き (角川ソフィア文庫)

 

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