MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ブッダの真理のことば 感嘆のことば(中村元)

ブッダの真理のことば 感嘆のことば』(中村元)(◯)

 本書は、『法句経』の名で知られる「真理のことば」(ダンマパダ)と「感嘆のことば」(ウダーナヴァルガ)の日本語書き下し文を収録。どちらもブッダの教えを集めたもので、人間そのものへの深い反省や生活の指針が、まとめられれています。

 とくに、「真理のことば」には、現代を生きるためにも活かせる真理が多数収録されており、内省するにも役立つ一冊です。

 岩波文庫もワイド版で読むと読みやすいです。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯第1章より

・ものごとは、心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。車をひく(牛)の足跡に車輪がついて行くように。

・ものごとは、心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。影がそのからだから離れないように。

・「かれは、われを罵った。かれは、われを害した。かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。」という思いをいだく人には、怨みはついに息(や)むことがない。

・「かれは、われを罵った。かれは、われを害した。かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。」という思いをいだかない人には、ついに怨みは息(や)む。

・実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以ってしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である。

 

◯第4章より

・うるわしく、あでやかに咲く花でも、香りの無いものがあるように、善く説かれたことばも、それを実行しない人には実りがない。

・うるわしく、あでやかに咲く花でも、しかも香りのあるものがあるように、善く説かれたことばも、それを実行する人には実りがある。

・愚かな者は生涯賢者につかえても、真理を知ることがない。匙が汁の味を知ることができないように。

・聡明な人は瞬時のあいだ賢者に仕えても、ただちに真理を知る。舌が汁の味をただちに知るように。

 

◯第9章より

・「その報いはわたしには来ないだろう」と思って、悪を軽んずるな。水が一滴ずつ滴り落ちるならば、水瓶でも満たされるものである。愚かな者は、水を少しずつでも集めるように悪を積むならば、やがてわざわいに満たされる。

・「その報いはわたしには来ないだろう」と思って、善を軽んずるな。水が一滴ずつ滴り落ちるならば、水瓶でも満たされる。気をつけている人は、水を少しずつでも集めるように善を積むならば、やがて福徳に満たされる。

 

◯第11章より

・学ぶことの少ない人は、牛のように老いる。かれの肉は増えるが、かれの智慧は増えない。

 

◯第12章より

・先づ自分を正しくととのえ、次いで他人を教えよ。そうすれば賢明な人は、煩わされて悩むことがないであろう。

・他人に教えるとおりに、自分でも行え。自分をよくととのえた人こそ、他人をととのえるであろう。自己は実に制し難い。

 

◯第20章より

・「一切の形成されたものは無情である」(諸行無常)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそが人が清らかになる道である。

・「一切の形成されたものは苦しみである」(一切皆苦)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそが人が清らかになる道である。

・「一切の事物は我ならざるものであるである」(諸法非我)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそが人が清らかになる道である。

 

 今回は、「真理のことば」に絞ってまとめまています。全体に文章が対になって書かれているのが特徴的です。訳もわかりやすくてハードルが下がった印象です。YouTubeで「真理のことば」(ダンマパダ)の著者の講義も聞けるので、読書と併用するのもいいと思います。

ブッダの真理のことば・感興のことば (ワイド版 岩波文庫)

ブッダの真理のことば・感興のことば (ワイド版 岩波文庫)

 

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