本書は、『法句経』の名で知られる「真理のことば」(ダンマパダ)と「感嘆のことば」(ウダーナヴァルガ)の日本語書き下し文を収録。どちらもブッダの教えを集めたもので、人間そのものへの深い反省や生活の指針が、まとめられれています。
とくに、「真理のことば」には、現代を生きるためにも活かせる真理が多数収録されており、内省するにも役立つ一冊です。
岩波文庫もワイド版で読むと読みやすいです。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯第1章より
・ものごとは、心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも汚れた心で話したり行ったりするならば、苦しみはその人につき従う。車をひく(牛)の足跡に車輪がついて行くように。
・ものごとは、心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出される。もしも清らかな心で話したり行ったりするならば、福楽はその人につき従う。影がそのからだから離れないように。
・「かれは、われを罵った。かれは、われを害した。かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。」という思いをいだく人には、怨みはついに息(や)むことがない。
・「かれは、われを罵った。かれは、われを害した。かれは、われにうち勝った。かれは、われから強奪した。」という思いをいだかない人には、ついに怨みは息(や)む。
・実にこの世においては、怨みに報いるに怨みを以ってしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない。怨みをすててこそ息む。これは永遠の真理である。
◯第4章より
・うるわしく、あでやかに咲く花でも、香りの無いものがあるように、善く説かれたことばも、それを実行しない人には実りがない。
・うるわしく、あでやかに咲く花でも、しかも香りのあるものがあるように、善く説かれたことばも、それを実行する人には実りがある。
・愚かな者は生涯賢者につかえても、真理を知ることがない。匙が汁の味を知ることができないように。
・聡明な人は瞬時のあいだ賢者に仕えても、ただちに真理を知る。舌が汁の味をただちに知るように。
◯第9章より
・「その報いはわたしには来ないだろう」と思って、悪を軽んずるな。水が一滴ずつ滴り落ちるならば、水瓶でも満たされるものである。愚かな者は、水を少しずつでも集めるように悪を積むならば、やがてわざわいに満たされる。
・「その報いはわたしには来ないだろう」と思って、善を軽んずるな。水が一滴ずつ滴り落ちるならば、水瓶でも満たされる。気をつけている人は、水を少しずつでも集めるように善を積むならば、やがて福徳に満たされる。
◯第11章より
・学ぶことの少ない人は、牛のように老いる。かれの肉は増えるが、かれの智慧は増えない。
◯第12章より
・先づ自分を正しくととのえ、次いで他人を教えよ。そうすれば賢明な人は、煩わされて悩むことがないであろう。
・他人に教えるとおりに、自分でも行え。自分をよくととのえた人こそ、他人をととのえるであろう。自己は実に制し難い。
◯第20章より
・「一切の形成されたものは無情である」(諸行無常)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそが人が清らかになる道である。
・「一切の形成されたものは苦しみである」(一切皆苦)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそが人が清らかになる道である。
・「一切の事物は我ならざるものであるである」(諸法非我)と明らかな智慧をもって観るときに、ひとは苦しみから遠ざかり離れる。これこそが人が清らかになる道である。
今回は、「真理のことば」に絞ってまとめまています。全体に文章が対になって書かれているのが特徴的です。訳もわかりやすくてハードルが下がった印象です。YouTubeで「真理のことば」(ダンマパダ)の著者の講義も聞けるので、読書と併用するのもいいと思います。