MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

よくわかる浄土真宗(瓜生中)

『よくわかる浄土真宗』(瓜生中)

 現在も東西本願寺を中心に寺院数約2万カ寺、門徒約1250万人を誇る最大宗派である浄土真宗。本書は親鸞が開いた浄土真宗の基礎知識、親鸞の生涯と教え、主な寺院、浄土真宗のお経がまとめられています。角川ソフィア文庫は、わかりやすくまとめられているので、ザクッと全体像が知りたいときにとても便利なシリーズです。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

親鸞(1173〜1262年)の生涯

・京都郊外の日野で貴族の子として生まれ、9歳の時、父が貴族社会の崩壊に見切りをつけて親鸞と三人の弟を連れて出家。比叡山東塔の堂僧となった。

・28歳の時、比叡山を下り、京都烏丸の六角堂で参籠。

・29歳の時、法然(69歳)の弟子となる。

法然の高弟が後鳥羽上皇に使える宮中の女官を出家させた事件を機に、越後に流罪になる。

・38歳の時、流罪を解かれ、信濃善光寺で2年過ごし、関東(坂東)へ向かう。活動拠点は常陸国稲田郷(茨城県笠間市)。

・41歳の時、主著である『教行信証』完成。この時を持って浄土真宗立教開宗の年とする。

・62歳の時、関東での布教活動に終止符を打ち、京都へ向かう。

・84歳の時、関東に名代で派遣した息子善鸞が邪義を唱えるようになり義絶。

 

絶対他力の教え

・仏教は釈迦の教えに沿って修行をすれば悟りの境地に達することができるとされ、本来は自力の宗教。

・他力本願というと、自分は何もしないで人任せで利益だけにあずかろうという意味で捉えられる。しかし、他力を頼むためには仏に対する絶対的な信頼、つまり信心が不可欠。親鸞は、「きくといふは、信心の御のりなり」(『一念多念証文』)と言っている。

・法座などで僧侶から阿弥陀如来の来歴や功徳を「聞い」て阿弥陀如来が必ず救ってくれるのだからという信心(信)を持って身を任せることが他力である。

・他力といっても仏を信じるということに僅かに自力の部分を残すことになる。親鸞は信ずる、信じないは人間の心が決めることではなく、阿弥陀如来が決めることだという。そして、「他力といふのは如来の本願力なり」(『教行信証』)といい、阿弥陀如来衆生(すべての人々)を救おうとする本願の力を授けてくれるという。これが親鸞が解く絶対他力

 

悪人正機説

・「善人なおもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」(『歎異抄』)

・我々の多くは極悪非道の悪人とは全く別の存在だと考え、自らは善人であると思い込んでいる。しかし、人間は押し並べて愚か者で、過ちも犯せば罪も犯す、つまり、皆等しく悪人。これが親鸞のいう悪人。阿弥陀如来の慈悲はそういうすべての悪人(衆生)に向けられているのであり、そういう悪人を分け隔てなく救ってくれる力が阿弥陀如来の本願力。

 

◯現生の十種の利益

①冥衆護持の益

 目には見えないが、人々から守られる利益
②至徳具足の益

 この上なく尊い功徳が身に備わる利益
③転悪成善の益

 罪悪を転じて善なる念仏と一体になる利益
④諸仏護念の益

 諸仏に守られる利益

⑤諸仏称讃の益

 諸仏に褒め称えられる利益
⑥心光常護の益

 常に阿弥陀如来の光明に包まれて守られる利益
⑦心多歓喜の益

 心が真の喜びに満たされる利益
⑧知恩報徳の益

 阿弥陀如来の大恩を知らされ、常に感謝の心を持って生活ができる利益
⑨常行大悲の益

 阿弥陀如来の大悲を受け、それを生活の中で表すことのできる利益
⑩入正定聚の益

 やがて悟りを開いてブッダになることが確定した正定聚の境地に入ることのできる利益

 

 経典の内容は正直よくわからなかったですが、まずはざっと歴史的な概要をつかめたのでよしとし、次に行きたい思います。

よくわかる浄土真宗 重要経典付き (角川ソフィア文庫)

よくわかる浄土真宗 重要経典付き (角川ソフィア文庫)

 

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