MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

ハーバードの個性学入門(トッド・ローズ)

『ハーバードの個性学入門』(トッド・ローズ)

 平均思考からの脱却。そもそも平均的な人なんかいない。それぞれにある個性を見つけどう活かすか。そんな個性にまつわるテーマを学問的にまとめた一冊。表紙や目次から想像した以上に学問的なちょっと固い内容でした。ここからコンテンツやワークを作るというようり、論理的裏付けをとりにいくような内容でした。

 

(印象に残ったところ・・本書より)

◯平均的な人はいない

・4063人のパイロットの中で10項目全てが平均の範囲内に収まったケースは一つもなかった。

・平均という気まぐれな基準が制度の設計や研究に採用されているおかげで、自分も他人も偽りの理想像との比較を強いられている。

・個人的に比べるのではなく、集団として比較する際には、平均が役立つ。個人に関して決断を下す必要が生じた途端、平均は役に立たなくなってしまう。

・平均からは貴重な知識が得られるという幻想のせいで、個人に関する最も重要な情報が覆い隠されてしまう。

 

◯個性学

・平均主義は他のどの選択肢よりもうまく機能した。タイプやランク、平均を基準にしていれば、結局のところ非常に都合がいい。「彼女は平均よりも賢い」「彼女は内向的だ」などと発言するために努力する必要はほとんどない。

・曖昧さとは無縁の数字に基づいている印象があるので、簡潔な発言が真実のように思われてしまう。だからこそ工業化の時代には、平均主義は完璧な価値観だった。

 

◯ばらつきの原理

・体の大きさ、知性、性格、才能など、複雑な任的特性について考えるとき、私たちの心は一次元的な思考に頼る傾向を持っている、例えば誰かの体の大きさについて尋ねられたら、大きい、小さい、いたって普通といった判断を本能的に下す。あの人は大きいと聞かされたら、腕も足も体も、何もかも大ききな人物を想像する。

・あるいは、あの女性は賢いと言われたら、幅広い分野での問題解決能力に優れ、おそらく学歴の高い女性ではないかと推測するだろう。平均の時代において学校や企業などの社会的機関は、人々の長所を成績、IQテストの点数、給与など、一つの基準で比較するよう奨励した。おかげで私たちの心は、一次元的思考への偏重を自然に強めてしまった。

 

◯コンテクストの原理(特別の状況)

・この原理によれば、個人の行動はコンテクスト、すなわち特別の状況に左右されるもので、コンテクストから切り離して説明することも予測することもできない。

・一方、コンテクストが及ぼす栄光は、当事者がどんな特性の持ち主かによって異なってくる。言い換えれば、行動は特性だけ、状況だけで決まるわけではない。両者のユニークな相互作用によって生まれる。もしあなたが誰かを理解したいと思えば、平均的な傾向や「本質的な性質」に注目しても明確な回答は得られない。新たは発想から、コンテクストごとに異なるシグネチャー(行動パターン)に目を向けなければならない。

 

 平均的って違和感ある。個性が溢れている社会の方がいいっていう方が、脱平均を学問的に学んでみる際に役立つと思います。コーチングでも個性と向き合うので、脱平均思考はとっても大切だと感じます。 

f:id:mbabooks:20200212065721j:plain