世界は感情で動く(マッテオ・モッテルリーニ)
『世界は感情で動く』(マッテオ・モッテルリーニ)
直感は極めてエコロジカルな道具。無意識の認知で、過去の経験をもとにして、物事はこうなのだと決めつけてしまう。本書は、行動経済学の考え方に基づき、日常にある脳の自然な判断、その結果としての行動を解説する一冊。日常生活を省みるきっかけになります。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯ピーク・エンドの法則
・経験の記憶は主観によって変えられ、その出来事の長さには関係ない。
・ある経験の良し悪しきを判断するとき、その出来事全体の継続時間には関係なく、その経験が最も強烈だったとき、及びその経験の最後の時間に焦点を当てる。
◯確実性効果
・リスクや不確実さを前にすると、不安や苦悩などの強い感情が生まれてしまう。そこでそのような否定的感情を排除しようと躍起になり、できるなら損をする確率をゼロにしてしまいたいと考える。
・多くの場合、最も賢明なやり方は、リスクを例えば6%からゼロにするのではなく、部分的な減少を図ること(例えば33%⇨20%)。それなのに認知システムが麻痺を起こし、「確実性効果」を狙って「すべてにノーを」と譲らず、ゼロになる道を選ぼうとする。
◯帰属のエラー
・私たちは自分や他人の行動を判断するとき、平等には考えない。他者に対しては人柄や性格をもとにして判断し、自分に対しては置かれた状況や外的環境で判断しがち。
・周囲の人がそういう風に行動するのは、その人の性格がそうだから、その性格に従っているのだと考える。自分のこととなると、性格や意思は棚上げし、行動の原因を外に求めようとする。
◯自己奉仕的バイアス
・周りの人たちの欠点には敏感でも、自分の欠点にはなかなか気づかないもの。その原因は、「自己満足のトラップ」(自己奉仕的バイアス)にある。成功はもっぱら自分の資質のためとし、失敗は他人や状況の悪さのせいにする傾向がある。他人よりよく見せたいとか、自尊心を高めたいと言った、ありふれた動機。
・失敗してうじうじ悩まないように、私たちは「自己抑制」(セルフ・ハンディキャッピング)という策略を使う。まもなく失敗するかもしれないことを正当化する理由を、前もって作る。
◯占いはどうして当たるのか?(バーナム効果)
・次の文章にあてまる人は?⇨5段階評価で4.26という高い数値であった。これは一般化した性格であるため。
「あなたは他人には評価し尊敬してもらいたいが、自分では自分に対して手厳しい。性格に幾らか弱い面があるけれど、ほとんどの場合、それをカバーできる。力量はあるのに、思うように使えていない。みたところはしっかりしているが、実際は細かいことに悩んだり優柔不断だったりする。間違ったことをしたり行ったりしたのではないかと思って、怖くなることがある。毎日の暮らしの中では決断力が少々足りなくてもいいと思うが、変化は大歓迎で、束縛や制限には耐えられない。自主的な考えの持ち主であることを誇りに思い、他人の意見に十分な根拠がないとイライラする。以前、自分を他人にすっかり曝け出すのは得策でないと実感したことがある。概して外向的・社交的で人当たりが良いが、控えめでおとなしく、冷たい感じがするときもある。あなたの願望の中のいくつかはちょっと非現実的である」
◯ハロー効果
・ある対象を評価する際に、その顕著な特徴に引きずられ、他の特徴をもポジティブないしはネガティブに歪んで評価してしまう。
・有能であれば、販売努力と宣伝を「最も売れる商品のイメージ・アップに注ぐ。そうすれば、「ハロー効果」に火がついて、買い手はこの商売人の売る、広告が手薄な商品まで、優秀であると解釈してしまう。
行動経済学は、考え方もそうですし、ワークも色々あるので、コンテンツネタの宝庫です。試してみたくなるものが本書からもたくさん見つかりました。