マンガ老荘の思想(蔡志忠、和田武司、野末陳平)
無為自然で有名なスローライフ生活の老荘思想。本書は、漫画で老荘思想のエッセンスがわかるというとっつきやすさ。ページ下部にミニ解説が書かれており、これがまた勉強になる。中国古典という難しそうだけれど、なんか学びになって良さそうというジャンルを手軽に学んでみようというかにおすすめの一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯上善は水の如し
・徳のある人は、まるで水のようである。水には3つの特性がある。
①水は万物を育て養う
②水の性質はやら若く弱い。自然に従い、争うことがない。
③水は人々が嫌がる低いところへ流れる。
・水は低いところへ流れ、徳のある人は人の下に甘んずる。水は底深く清らかであり、徳のある人は心静かに何も語らない。水は万物に施し、とくある人もまた、施して報酬を望まない。
・水は万物をありのままに映し出し、徳のある人の言葉は偽りがない。水は柔らかく弱く、どこにでも流れていく。人々も水のように争わず下に立つことができて初めて、「道」に近く。
◯功遂げて身退く
・どのような器でも水が満ちれば溢れ出てしまう。包丁はちゃんと切れれば良い。もし研ぎ過ぎてしまうと折れやすくなってしまう。金銀財宝を持ちすぎる人は、他人の嫉み受け、強奪に合う。そうでなければ乱れ切った生活のため、最後にはそれらの財宝を保持することができない。
・だから成功した後、得意な時に思い切って身を退くことが自然の道に合っている。それは天と同じである。天は万物を生んでも自分のものとはせず、万物を育てても自分の能力を誇示せず、功成っても居座ることがない。
◯弱は強に勝つ
・縮めたいなら、まずは伸ばしてやる。弱めたいなら、まず強めてやる。廃したいなら、まず挙げてやる。奪いたいなら、まず与えてやる。これは明らかな道理である。弱は強に勝つ。
◯荘子の考え
・人は自覚的な存在。他人から自分を描いてはいけな。過去と未来から現在を描いてはいけない。価値のないものから価値のあるものを描いてはいけない。無限から有限を描いてはいけない。死から生を描いてはいけない。そうすれば人は自由になれる。
・荘子の哲学は自由の哲学。生命を無限の時間・空間に解き放つ体験哲学。荘子から見れば世人の生活は「生命のない秩序」。荘子が求めたのは、「生命のある無秩序」だった。
◯不知の知
・人間の判断は、常に相対的なもので合って、相対的な正しさなどどこにも存在しない。にもかかわらず、人間は「知」に 頼り、事故の判断を絶対視しようとする。ここに知的動物である人間の、宿命的な悲劇の根がある。この悲劇の根を断つ道は、ただ一つ。「知」の限界を自覚して、「知」を超えることである。
マンガはイメージが湧きやすくて良いですね。儒家のリーダーシップとは異なり、自然体を重視した自然に生かされているスタイル。逆の発想や行きすぎない中庸の発想。生きやすさを感じる考え方です。