『ブッダの伝記〜その資料と解釈〜』(谷川泰教)
高野山大学のテキストです(文部科学省認可通信教育)。まさに、ずしっと重い教科書って感じ。大学時代ってこうだったなぁと思い出しながらテキストを読み、線を引き、レポートを書くという作業に取り組んでみました。本書自体は、単独経典として『スッタニパータ』『サンユッタ・ニカーヤ』を取り上げた後、仏伝の基本経典が紹介されています。まぁ、日常生活では特に接することのない世界であり、参考までにシェアします。
この中では、ブッダのエピソードをざっと眺めると一生が終えます(それぞれの場面については、各経典で詳述されています)
(印象に残ったところ・・本書より)
◯2つのこの極端には、出家者は従ってはならない。
①欲望の対象の中にあって、欲望のもたらす快楽にふけること
これは劣っていて、下品で、凡夫の行いであって、聖人のそれではなく、ためにならないもの。
②自らを痛めつけること
これは苦であり、聖なるものではなく、ためにならないものである。
⇨これが眼をもたらし、知をもたらし、安静と証知と正覚と涅槃のために役立つ。
◯中道
・聖なる八支からなる道
①正見
②正思
③正語
④正業
⑤正命
⑥正精進
⑦正念
⑧正定
⇨これが眼をもたらし、知をもたらし、安静と証知と正覚と涅槃のために役立つ。
◯苦という聖なる真理
・生も苦、老も苦、病も苦、死も苦。
・好きではないものたちと会うことは苦、好きなものたちとの別れは苦、求めるものが手に入らないのも苦、要するに5つの執着の対象となる集まり(五取薀)は苦である。
⇨これが苦の発生。
・渇愛は再生をもたらすものであり、喜と貪と連帯し、あれやこれやと愉悦するもの、すなわち、欲望の対象への渇愛(欲愛)と苦の生存への渇愛(有愛)と非存在への渇愛(非有愛)である。
⇨これが苦の滅という聖なる真理。
・その渇愛の、余すところなき滅、放棄、捨棄、解脱、愛着の対象がないこと。
⇨これが苦の滅に行く道という聖なる真理。これこそが八支(正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定)。
・苦、苦の発生、苦の滅、苦の滅にいたる道を四聖諦という。
◯ブッダの生涯のエピソード「原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究」
1 ディーパンカラ(燃灯)仏から記別を受ける
2 トゥシタ(兜率)天に住む
3 トゥシタ天において世間を観察する
4 釈尊の家系:先祖、種姓
5 釈尊の家系:親族
6 入胎:マハーマーヤーナの夢
7 入胎:占い師が夢を占う
8 入胎:胎内で十ヶ月を過ごす
9 出胎:マハーマーヤー、ルンビニー園へ
10 出胎:三十二種の瑞兆
11 出胎:誕生
12 出胎:「天上天下唯我独尊」と宣言する
13 出胎:サルヴァールタシッダと命名される
14 出胎:「天中天」の異名
15 出胎:アシタ仙人の予言
16 出胎:三十二相八十種好
17 マハーマーヤーの死
18 マハーパジャーパティー乳母となる
19 太子の教育:学問
20 太子の教育:種々の競技
21 デーヴァダッタが射た雁を助ける
22 樹下の禅定
23 結婚:妃の選択
24 結婚:婿選びの種々の競技
25 三つの宮殿に住む
26 四門出遊
27 夫人の懐妊とラーフラの誕生
28 出家の前兆:スッドーダナの夢
29 出家の前兆:マハーパジャーパティーの夢
30 出家の前兆:太子夫人の夢
31 出家の前兆:菩薩の夢
32 出家:美女達の熟睡中の姿態
33 出家:出城
34 出家:悪魔が出家を止めようとする
35 出家:意識が道標となって天道を示す
36 出家:剃髪し、狩人と衣を交換する
37 バッガヴァ仙人を訪問する
38 ビンビサーラ王と会う
39 アーラーラー・カーラーマ仙人を訪問する
40 ウッダカ・ラーマブッタ仙人を訪問する
41 苦行:ウルヴェーラーへ
42 苦行:五人の侍者が菩薩と共に苦行に入る
43 苦行:六年間の苦行
44 苦行を捨てる:苦行が悟りに役立たないと知る
45 苦行を捨てる:五人の侍者が菩薩を見捨てる
46 成道:村の乙女の供養
47 成道:ネーランジャラー河で沐浴する
48 成道:前正覚山に上る
49 成道:龍王カーリカの讃歌
50 成道:草刈り人のクサ草献上
51 成道:菩薩樹下の近い
52 成道:降魔
53 成道:菩薩樹下の成道
54 解脱を楽しむ:悪魔が涅槃に入れと誘惑する
55 解脱を楽しむ:アジャパーラ樹下にて
56 解脱を楽しむ:ムチャリンダ樹下似て
57 解脱を楽しむ:タプッサとバッリカの供養と帰依
58 解脱を楽しむ:ディーパンカラ仏の因縁
59 解脱を楽しむ:天神がカリロク果を献じる
60 解脱を楽しむ:天女が糞掃衣を献じる
61 梵天勧請:説法を決心する
62 梵天勧請:カーラーマとラーマプッタの死を知る
63 ウパカに遇う
64 初転法輪:五比丘と会う
65 初転法輪:中道を説く
67 初転法輪:コンダンニャに法眼生ず
68 初転法輪:善来比丘戒
69 初転法輪:他の四人に法眼生ず
70 初転法輪:無常・苦・無我を説く
71 初転法輪:五比丘心解脱す
72 ヤサの教化:ヤサに法眼生ず
73 ヤサの教化:ヤサの父が優婆塞となる
74 ヤサの教化:ヤサ阿羅漢果を得る
75 ヤサの教化:ヤサを侍者とする
76 ヤサの教化:ヤサの母と妻が優婆塞となる
77 ヤサの四人の友人の出家
78 ヤサの五十人の友人の出家
79 プールナの帰仏
80 ナーラダの帰仏と龍王の帰依
81 サビヤの帰仏
82 六十人の弟子達を布教に出す
83 悪魔を破す
84 弟子たちに弟子を取ることを許す
85 三帰具足戒を定める
86 三十人の賢衆の出家
87 ガンジス河の船師の出家
88 ウルヴェーラーの牧女が優婆塞となる
89 三カッサバの帰仏:ウルヴェーラ・カッサバの帰仏
90 三カッサバの帰仏:ナディーとガヤーの帰仏
91 三カッサバの帰仏:ガヤーシーサ山において阿羅漢果を得る
92 法雨林の苦行者の教化
93 ビンビサーラ王の帰依:釈尊を訪ねる
94 ビンビサーラ王の帰依:王に法眼生ず
95 ビンビサーラ王の帰依:五種の願い
96 竹林園の寄進
98 マハーカッサバの帰仏
99 王舎城の人々の非難
101 ウダーイが帰郷を促す
102 カピラヴァットゥへ
103 ナンダの出家
104 ラーフラの出家
105 スッドーダナ王の帰依
106 祇園精舎の寄進:スダッタ長者の帰依
107 祇園精舎の寄進:精舎建設を発起する
108 祇園精舎の寄進:ジェータ太子の園林を買い取る
110 パセーナディの帰依
111 釈迦族の子弟の出家
112 ゴーシタ園の寄進
113 ウデーナ王の帰依
114 舎衛城における神変
115 三十三天でマハーマーヤーに説法する
116 マハーパジャーパティ・ゴータミー最初の比丘尼となる
117 アングリマーラの教化
118 デーヴァダッタの教団分裂
119 ヴェーランジャーにて馬麦を食する
120 諸弟子の教化
121 パータリ村の繁栄を予言する
122 ナーディカ村への人々への授記
123 アンバパーリーの帰依
124 村竹村で最後の雨安居を過ごす
125 入城を決意する
126 ボーガ城における説法
127 チュンダの供養
128 スパッダの帰依
129 最後の説法
130 涅槃
131 葬儀:火葬
132 葬儀:舎利の分配
生老病死のすべてが苦であり、生きることは苦である。だからこそ、その苦がなくなるよう、8つの行いを行うべしという考え方。苦行をするというよりも、正しい行いを実践することの大切さが説かれています。この辺りの考え方からいはいると、他に繋げやすいなぁと思います。