『外資系コンサルの知的生産術』(山口周)
著者は、著者はイノベーション、組織開発などのコンサルタントで、『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?』など、ベストセラーも多数出されています。本書は知的生産性を高めることを目的に、「思考の技術」ではなく、行動するための技術についてまとめられた一冊です。約300ページを99の項目に分けて解説されているので、1つの項目あたり約3ページとコンパクトにまとめらており、読みやすいと思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯情報ソースは幅広に取る
・それぞれの「問い」に対して、どのような情報ソースを用いて答えを出すかというおおまかな「あたり」をつけておく。
・次のようなマトリックスを意識すると良い
縦軸に「紙と声」、横軸に「社内と社外」。こうすると、それぞれの象限から、「社内資料」「公開資料」「社内の関係者インタビュー」「社外の関係者インタビュー」という4つの情報ソースが浮かび上がる。
◯学習のS字カーブを意識する
・学習曲線を立ち上げるには、一定の臨界量を超えるインプットが必要。一方で、インプット量がある一線を越えると学習効果は逓減してしまう。
・その道の専門家としてやっていくというのでない限り、ある分野について勉強するのであれば、マックスその分野の書籍は5冊、という目安を持っておくと良い。
◯長く考えるのではなく、何度も考える
・せいぜい5分の思考を、時間と場所を変えて繰り返し行うのがポイント。
・思考の総量は「考える時間」の量よりも、「考える回数」の量によって決まる。
◯「Less is more=少ないほどよい」と知る
・少ないほうが効率が良い。
・知的生産は最終的に「望ましい行動を起こさせること」を目的としている。行動を起こさせるには、メッセージが明快に伝わる必要があり、メッセージを明快にするには、余計な情報をできる限り削ぎ落とす必要がある。
◯説得よりも納得を、納得よりも共感を追求する
・人はいくら合理的な理屈で説得されても、本当に共感しなければエネルギーを全開にできない。これは意識的なコミットメントレベルというよりも生理的な反応の問題であって要するに人間という生物はそういうふうにできている。
◯ガベージイン/ガベージアウト
・情報論の用語。システムがどんなに優れたものであっても、そこに入れる情報がゴミのようなものであれば、出てくるのはゴミのようなアウトプットでしかない。
・いくら優れた知的生産システムを持っていたとしても、ゴミのようなインプットを繰り返していれば、いつまで経ってもゴミのようなアウトプットしか生み出せない。
・ゴミの峻別は難しいので、まずは名著・定番と言われているもの、つまり「ハズレ」がなさそうな評価の確立したインプットをしっかり抑えることが重要。
論点が99と多いので、多くを紹介することはできませんが、私にとって必要だと思われたところをピックアップしてみました。最後の「ガベージイン/ガベージアウト」、何をインプットするのか、先人たちの知恵は膨大にあるだけに、自分の時間を有効に活用するためにも、生産性を上げるためにも、今後も、これはという書物や情報に触れていきたいと思います。