MBA男子の勝手に読書ログ

グロービス経営大学院を卒業したMBA生の書評と雑感。経営に関する基本書、実務書のほか、金融、経済、歴史、人間力、マネジメント力、コミュニケーション力、コーチング、カウンセリング、自己啓発本、ビジネススキル、哲学・思想など、幅広い教養を身につけ、人間性を磨く観点で選書しています。

112の瞑想秘法の書(上)(OSHO)<1冊目『内なる宇宙の発見』より>

『112の瞑想秘法の書(上)』(OSHO)(◯)

 <1冊目『内なる宇宙の発見』1〜12の技法より>

 20世紀のインドを代表する思想家OSHO。ガンジーブッダらと共にインドの運命を変えた10人に挙げられる方です。数々の講話が書籍になっていますが、本書は、112の瞑想法を講話した内容を書籍10冊にして発売されていたものを、上下巻にまとめたもの。この上巻には5冊分の書籍が掲載されています(なので、上下2段書きの体裁で900ページ超のボリューム)。

 単に瞑想法というよりも、人間の探究本といった感じで、宗教でもなく、思想本でもなく、「人」を本質的に掘り下げていった内容となっています。OSHO初読でお勧めする書籍ではありませんが、私は、コーチング、組織づくり、人間関係づくり、人や組織の理解などに役立てています。

 

(『内なる宇宙の発見』より・・印象に残ったところ)

◯タントラ(技法、方法、道)とは

・タントラにとって重要なのは、なぜ(Why)ではなく、どのように(How)。「真理とは何か」ではなく「どのように真理に到達するか」。

・無意識や意識とには二元論。その両方を超えていかない限り、究極には到達できない。ある絶頂に至ると、ふたりが「ふたつ」であるのは外面だけで、内面的には「ひとつ」になる。二元性は超越される。

・マインドが変わったら違った世界が見えてくる。そしてマインドがなくなったら(ノー・マインド(無心))の状態をもたらす。それがタントラの究極地。媒介なし世界を見る。

・マインドが動くためには未来が必要。マインドが動けるのは過去か未来。真理は現在の中にある。だからマインドと真理が出会うことはない。真理が「今、ここ」にあるのに対し、マインドは常に「そのとき、そこ」へと動く。まずこの点を理解しておくこと。真理は見つけることはできるが、探求することはできない。探求することそのものが妨げになる。探求を始めた途端、現在から離れ、自分自身から離れる。老子は言う「求めるな。求めれば逃す。求めずして見つけ出せ。求めることなく見つけ出せ。」

・シヴァによるこれらの技法(=瞑想法)は、みなひとえに未来や過去から、現在へとマインドを向け直すためにある。要は、探求から無探求へとマインドの方向転換をすること。

 

◯第1の瞑想技法

・経文:「光り輝く者よ、この体験はふたつの息の間に起こる。息が入った後、息が出る直前。そこに賜物がある」

・息が入り始める前、あるいは出始める前、一瞬の間あなたは呼吸していない。その瞬間そのことが可能となる。呼吸していないとき、あなたはこの世界にいないからだ。その瞬間があまりに短いため、それに気づいていない。

・呼吸の中には、あなたがまだ一度も観察したことのない点がいつくか存在している。そうした点は自分に一番近い扉。あまりに近いものだから、自分と呼吸の間には隙間がない。あるいはその隙間があまりにも小さいものだから、細心の観察力があって初めて、そういった点に気づくことができる。そういった点がこれらの技法の基礎となる。

・タントラにおいては、ひとつひとつの出息は死であり、ひとつひとつの入息は再誕生。

 

◯第2の瞑想技法

・経文:「息が下降してから上昇に転じるとき、そして再び息が上昇から下降に転じるとき、この両方の転回を通じ、覚れ」

・ここでは重点が隙間ではなく、転回に置かれている。入息は円環の半分、出息は円環の残り半分。

・なぜ転回点なのか。車の運転で言えば、ギアはチェンジのたびに必ずニュートラルギアを通す。ニュートラルギアはギアでもなんでもない。

・観察というのは、言葉なく、言語化なく、マインドの中でつぶやくことなく、ひたすらそれと共にとどまること。もしあなたが3分間、完全に心を動かすことなく、一輪の花とともにとどまることができたら、そのことが起こるだろう。それが賜物。あたなは覚る。

 

◯第3の瞑想技法

・経文:「あるいは、入息と出息が融け合うその瞬間、そのエネルギーなき中心、エネルギーに満ちた中心に触れよ」

・出息と入息が融け合うとき、ひとつになるとき、出息と入息の区別ができないとき、息が入っているのかでているのか判定が難しいとき、息が入り切りそして出始めるとき、そこに融合の瞬間がある。

 

◯第6の瞑想技法

・経文:「日常生活の中で、二つの息の間に注意を保つ。それを実行していけば、数日のうちに、生まれ変わる」

・息を忘れ、その「間」に注意を保つ。息が入り終わって、それが転回する前、吐き出される前、隙間がある。

・これは継続的に行う必要がある。日常生活の中で。何をしていようとも、ふたつの息の隙間に注意を向ける。それを他の活動と共に実行する。

 

 やはり、OSHOの世界は深く、本質的で、考えさせられます。現代社会で見失ってしまうような人間本来の姿に気づき、考えることで、ビジネスやプライベートの過ごし方や人間関係に良い影響があるように思います。

 この計112の瞑想法には、セットとなる「112の瞑想カード」というのが発売されています。カード112枚には、それぞれの瞑想のタントラとイメージ画が描かれ、説明書にワークの要点(本書からの抜粋)がまとめられており、瞑想の実践に使えると思います。

112の瞑想秘法の書 上

112の瞑想秘法の書 上

  • 作者:OSHO
  • 市民出版社
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