『幸福優位7つの法則』(ショーン・エイカー)(◯)
著者は、ポジティブ心理学の第一人者の一人。「成功→幸せ」ではなく「幸せ→成功」という順序であることが、心理学と脳科学の最近の研究によって証明されています。幸福感や楽観主義は、実際に業績を高め優れた成果をもたらす。幸福感そのものが競争力の源泉となるから。本書は、この幸福優位性(ハピネス・アドバンテージ)を生み出す7つの法則についてまとめた一冊です。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯7つの法則
①ハピネス・アドバンテージ
脳を再訓練して積極性を高める。
②心のレバレッジ化
心の持ちよう(テコの原理)を調整する方法を学ぶ。
③テトリス効果
脳を再訓練して肯定的なパターン(ポジティビティ)を探す。
④再起力
その経験があったからこそ、より幸せになり成功をつかむ道を見出す。
⑤ゾロ・サークル
まず達成可能な小さなゴールに注目してコントロール感覚を取り戻す。
⑥20秒ルール
エネルギーの調整によって、別の道を「最も抵抗の少ない道」にし、悪しき習慣を良い習慣に置き換える方法を学ぶ。
⑦ソーシャルへの投資
友人、同僚、家族との関係を大事にし、人のネットワークにもっと投資する必要があることを学ぶ。
◯法則1:ハピネスアドバンテージ
〜幸福感は人間の脳と組織に競争優位をもたらす〜
・目標は気分を引き立て、ポジティブなマインドセットを生じさせ、それによって「幸福優位性」の恩恵を得る。
①瞑想する
②何かを楽しみにする
③意識して人に親切にする
④ポジティブな感情が生じやすい環境を作る
⑤運動をする
⑥お金を使う(忠、モノを買うのではない)
⑦固有の強みを発揮する
・ロサダライン(1:2.9013)
1つのネガティブな意見や経験や表現の悪影響を打ち消すのに、3倍の量のポジティブな意見や経験や表現が必要。
◯法則2:心のレバレッジ化
〜マインドセットを変えて仕事の成果を上げる〜
・天職記述書
「職務記述書」を書き換える。自分の仕事を他の人がぜひやりたいと応募してくるように書き表すとどうなるかを考えてもらう。
・期待理論
私たちが次に起こるだろうと予測することに、脳が反応するようにできている。
誰かの潜在的可能性を信じれば、その可能性は命を吹き込まれる。
・何かに挑戦するときに一番大事なことは、世界が固定したものだと考えるのをやめること。実際には、現実というのは相対的なものに過ぎない。
◯法則3:テトリス効果
〜可能性を最大化するために脳を鍛える〜
・「テトリス効果」とは、世の中をどう捉えるかが脳のパターンに支配されている状態のこと。
・いつもゲームをしていると、新しい神経回路ができ、現実の状況まで歪んで見えてしまう。人の脳は、世の中を何らかのパターンで見るようにできている。だから、私たちは、良いパターンにも悪いパターンにも、いとも簡単にはまってしまう。
・問題は、年中ネガティブな面ばかりを探し出して拾い上げていると、そのパターンにはまり込んでしまうこと。ネガティブを探し出すのが上手になればなるほど、幸せと成功を運んできてくれるポジティブな面を見逃してしまう。しかし、幸いなことに、私たちは脳を訓練して、ポジティブな面を探すようにもすることができる。
・脳が処理しなければならないことがあまりに多いので、脳はそれに対処するためにフィルターを持っていて、適切な情報だけを意識に通すようになっている。このフィルターは、「スパムメール」をブロックするフィルターと同じようなもの。我々は入ってくる情報のうち、1/100しか覚えていない。
・脳が常にポジティブな面をスキャンしてそれに注目すると、最も重要な3つのツール「幸福」「感謝」「楽観性」の恩恵を受けることができる。
・例えば、「今日起こった3つの良いこと」を書き出そうとすると、脳は一日の出来事を振り返り、ポジティブと思えることを探し始める。
◯法則4:再起力
〜下降への勢いを利用して上昇に転じる〜
・頭の中の地図をスキャンし、第二の道(悪いことが起きるとどんどん悪くなっていく)を拒絶し、ポジティブなチャンスを探せば、自分が持っている一番強い力を引き出すことができる。それは「不運にもかかわらず上方へ向かう」のではなく、「不運があるからこそ上方へ向かう」能力である。
・反事実(実際とは異なるストーリー)
脳が作り出したポジティブな反事実もネガティブな反事実も完全な仮定。私たちはどんな状況においても、自分はみじめではなく幸運だと思えるような反事実を選択することができる。ポジティブな反事実を選べば、気分が良くなるだけでなく、心がポジティブな状態であれば、モチベーションが生じ業績も向上する。
・困難をチャンスに変えるというのは一種の技能。逆境から好機へ向かう道を見つけるための方法の一つは、解釈のABCDモデル。
Adversity(困難な状況)
Belief(信念)⇨変えられる
Consequence(結果)
Disputation(反論)
◯法則5:ゾロ・サークル
〜小さなゴールに的を絞って少しずつ達成範囲を広げる〜
・征服すべき最初の目標、つまり最初に描くべき一番小さい円は、「自己認識」である。ひどい落ち込みから一番早く回復する人は、自分の気持ちを認識してそれを言葉で表現できる人。
・自分が違いを生み出せると思う小さな範囲に努力を結集させること。難題は、比較的易しいものから一つずつ取り組む。小さな円から始めて少しずつ範囲を広げていく。それによって、自分の行動が結果的に直接影響するということ、つまり自分は自らの運命の大半を支配する主人なのだということを再学習できる。「内的統制感」が高まり、自分の能力に対する信頼が固まってきたら、さらに外側に向けて努力を拡大していけばいい。
◯法則6:20秒ルール
〜変化へのバリアを最小化して悪い習慣を良い習慣に変える〜
・人間は、生物学的に習慣が作られやすくできている。前もってルールを決めておくことにより、我々は意志の力を弱めさせる絶え間ない選択から解放され、それは生活に大きな違いを生み出す。
・行動を毎日繰り返すコツは、その望ましい行動をできる限り「最も抵抗の少ない道」に置くこと。そのためには、何が「活性化エネルギー(それをするために必要な時間や選択肢や心身の努力)なのかを見極めて、それらを減らす必要がある。成功をもたらす習慣を始めるための「活性化エネルギー」を、1回あたり20秒でも減らすことができれば、その効果はすぐにでも現れる。
◯法則7:ソーシャルへの投資
〜周囲からの支えを唯一最高の資産とする〜
・人間関係に積極的に投資している人たちこそ、繁栄する組織の核であり、チームを前に進める力である。スポーツの世界では、こういう人たちのことを接着剤になぞられて、「グルーガイ」と呼ぶ。ウォルストリート・ジャーナル紙は、グルーガイをこう説明している。「このタイプの選手は勝利チームの中にいて静かにメンバーをまとめている。統計学者はこういう選手の存在を信じないが、心理学者はそういう選手がいることを理解している。選手もマネジャーも、こういう選手に全幅の信頼を置いている」。
本書の7ステップを見ると自分の幸福度愛と比例していることが見えてくるのではないでしょうか。例えば、私は、2年前から「昨日のプチハッピー、自分のいいところ、◯◯さんのいいところ」を10年日記につけるようにし、8カ月前から毎朝10の感謝を書き出し、寝る前に今日の感謝を1つ思い出すようにしています。こういう習慣により、「いいところ」に注目する癖付けができ、これに瞑想の効果で気づき力が高まっていることが加わり、いいところへの気づき力が高まっている気がします。環境にかかわらず、心の状態が高位安定しているのはこうした取り組みの効果かもしれません。
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論
- 作者: ショーン・エイカー,高橋由紀子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/08/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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