世界三大幸福論のひとつ。「嫉み」に関する感情について調べていたところ、本書の存在に気づき、その部分を再々読しました。ラッセルの幸福論はとても読みやすく、三大幸福論の中で最初に読んでもいいかもしれません。「不幸の原因」と「幸福をもたらすもの」に二分して解説されています。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯嫉みについて
・総じて、普通の人間性の特徴の中で、嫉みが最も不幸なものである。嫉み深い人は、他人に災いを与えたいと思い、罰を受けずにそうできるときには必ず、そうするだけでなく、嫉みによって、我と我が身をも不幸にしている。
・自分の持っているものがから喜びを引き出す代わりに、他人が持っているものから苦しみを引き出している。できることなら他人の利益を奪おうとする。
・同じ利益を我がために確保するのと同じくらい望ましいことなのだ。もしも、この情念が荒れ狂うままにしたなら、あらゆる優秀なものを破滅させ、さらには、特殊技能の最も有益な行使も不可能にしてしまう。
・自分の嫉み深い感情の原因を自覚しただけでも、そういう感情を治す方向に大きく一歩を踏み出したことになる。他人と比較してものを考える習慣は、致命的な習慣である。
・成功によるだけで妬みから逃れることはできない。歴史や伝説の中にはいつもあなたよりももっと成功した人がいるからである。自分よりも幸運だと(もしかすると、てんで誤って)思っている人たちとの比較をやめるなら、あなたは嫉みから逃れることができる。
・妬みを減らす方法の一つは、疲れを減らすことだ。しかし、断然重要なことは、本能を満足させるような生活を確保することだ。
嫉みは「幸福論」の観点から見ると、最もマズイ存在ですが、人類の歴史から見ると人にはつきものの感情。どううまく付き合っていくか、そこが問われるテーマですね。