『自分の息をつかまえる』(ドナ・ファーリ)(◯)
以前、『人生を思うように変える呼吸法』(パム・グラウト)という良書を読みましたが、その書籍が引用していたのが1998年に発行された本書です。呼吸と心、呼吸と身体について掘り下げ、数多くのワークも詳細に記述されています。ワークの写真だけ見ると、「なんだか怪しそう!?」「古い本だなぁ」といった第一印象を持ちますが、じっくり読んでみるといいことがいっぱい書いてあります。1日に22,000回くらい繰り返す呼吸。この呼吸をよりよくしていくことは、人生に多大な効果があると思います。
(印象に残ったところ・・本書より)
◯正しい呼吸こそ健康の要
・呼吸というプロセスは、反射的行動を含めたあらゆる行動の中心にあるので、呼吸に戻ればストレス対策の核心に迫ることができる。
・正しい呼吸は満足のゆく健康体への最適の条件を整え、お粗末な呼吸は心臓病や高血圧といった病気の温床を用意する。
・呼吸の仕方には、その人の人生への取り組み方、生き方、人生にはつきものの変化への対応の仕方が、きっちりと反映される。
・様々な呼吸法が病気を予防する効果を上げるのは、ウイルスに対する抵抗力をつけ、血圧とコレステロール値を下げるから。リラックスして呼吸していると、停滞した代謝機能が活性化され、慢性的なストレス状態からリラックスしているけれども冴えているという状態に移行することができる。それによって、蛋白質、脂肪、炭水化物の総合作用が促されて免疫系の細胞生成が活発になり、骨の再生力や成長力が促進されるとともに、細胞、ホルモン、航路の動きを向上させる。
◯呼吸に合わせて動く私たちのからだ
・呼吸の自然な流れを体で感じるようにするやさしい方法として、息を吸ってはう間に体の中で基本的にどのような動きが見られるか読み取る練習をするという方法がある。その動きを観察すれば、息がどこを動いているのかがわかる。
・呼吸をチェックする
①「どこに息を感じるだろう?」
②「息はどんな感じだろう?」
◯のびのびした呼吸の特徴
①からだが揺れる
②横隔膜が動く
③内から起こる
④全方向に拡がる
⑤安定して規則的
⑥2ー3のリズム(吸気が約2秒、呼気が約3秒)
⑦変化に富む
⑧無理がない
◯呼吸の解剖学
・一次呼吸(腹筋・肋間筋を使う)は、呼吸の大部分をこなしており、1日22,000回以上も動かないといけないので強い。二次呼吸(小胸筋、僧帽筋などを使う)は、補佐的でとても疲れやすい。両者の役割は決して取り替えてはいけない。二次呼吸には絶対に一次呼吸の役割を任せてはいけない。
・下の方の筋肉を使って呼吸する方が安定する。意識と呼吸をウエストから下に集中させると、ずっと「足が地についた」気分になる。
◯自分の息をつかまえる
・息が抑えられてしまう呼吸法
①逆式呼吸(息を吸うと腹部が引っ込み、吐くと膨らむ)
②胸式呼吸
③過換気呼吸(呼吸が速くなる)
④喉を締め付ける
⑤息をむさぼる呼吸(間を取らずに慌てて次の息を始める)
⑥コチコチの呼吸
◯からだを開く
・第一原則:呼吸によって自然に体が揺すられるにまかせること
・第二原則:呼吸の収縮段階も体の動きに反映させること
⇨どのポーズをするときにも、からだを流木のようなものとイメージして、寄せては返す呼吸の波に揺られるままになる。
◯実践ガイド(本書にワークの詳しい内容が書かれています)
①一般向け元気回復Aコース(1・2週目)
1)「トントン叩く」+「ライオンのポーズ」
2)「呼吸によるストレッチ」
3)「ロールダウン」
4)「肩時計」
5)「横隔膜を緩める バリエーションA」
6)「肩と骨盤を開く」
7)「楽な休憩のポーズ」
8)次から一つを選び始めの2〜3週間は集中的にそれをするか,ひとつずつやっていく。
・「横隔膜呼吸の訓練 バリエーションA」
・「横隔膜呼吸の訓練 バリエーションB」
・「声を出しながら息を吐く」
②一般向け元気回復Aコース(3・4週目)
1)「ロールダウン」
2)「肩時計」
3)「肩と背を開く」
4)「猫のポーズAとB」
5)「横隔膜を緩める バリエーションB」
6)「肩と骨盤を開く」
7)「滝のポーズ」
8)「腹をひねるポーズ」
9)「楽な呼吸のポーズ」
10)次のうち一つを選択
・「ストロー呼吸法」
・「三分割呼吸法」
③一般向け元気回復Cコース(5・6週目)
1)「トントン叩く」+「ライオンのポーズ」
2)「呼吸によるストレッチ」
3)「滝のポーズAとB」
4)「門口のポーズ」
5)「腰と骨盤を開くA」
6)「腰と骨盤を開くB〜E」
7)「股間を開くポーズ」
8)「楽な休憩のポーズ」
9)リクライニングの姿勢で次からひとつ。
・「数を数えながら片鼻呼吸をする」
・「呼吸とひとつになる」
④その他紹介されている方法
・呼吸法矯正ガイド(7種類)
・あがったとき、緊張したときの対処
・アレルギーに対処する
・痛みを和らげる
・関節症の症状を和らげる
・禁煙
・更年期の火照りを鎮める
・集中力、精神的スタミナをつける
・出産を楽にする
・ショック症状、トラウマによるストレス症候群に対処する
・頭痛を和らげる
・スポーツの記録を向上させる(ランニング、サイクリング、水泳)
・性感度をアップさせる
・摂食障害に対処する
・喘息の症状を和らげる
・疲労回復および病後の体力回復
・副鼻腔の炎症を治める
・不眠症を解消する
・便秘症を解消する
・憂鬱症を解消する
・頭痛を和らげる
本書を読んでいると、呼吸と心、呼吸と身体が一体となっていることが理論的にもわかりやすく伝わってきて、実際のワークもイメージしやすく書かれているので、すぐに試したくなります。この領域は実践と体感覚での納得感がまず大事。実感できればインプット意欲が増し、自ずと知識も吸収できると思います。人生にずっと活かせると思うと、一度は学んでおきたい内容です。